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第七話 どこまでなら規約違反にならないか?


鬼畜メガネ清之助「前回は『表現の自由と盗作の境界』を学んだわけだが」

ボケ美少女アレッサ「うむ……え? 途中からパクり推奨講座になっていたような?」


清之助「そもそも完全な法律など作りようがなく、そんな条文を作ろうとするほど読めない言い回しと文量になり、実質での機能は悪化していく」

アレッサ「うむ……え? 前回に解説してないことも入ってないか?」


清之助「以上を踏まえた上でサイト規約についてだ」



アレッサ「これは……ひどい荒らしだな。なぜ運営はさっさと退会させないのだ?」

清之助「マヌケ。言ったばかりだ。規約違反にならん嫌がらせなど、いくらでもやりようがある。防ぎようがない」


アレッサ「だがもう少しなんとか……無料サイトとはいえ、広告収入は得ているのだろう? 運営はほかの利用者を守るため、サイトを適切に管理する責任があるのではないか?」

清之助「たとえ有料だとしても、利用者側だって運営に協力する責任はある」


清之助「店を例にすれば、会計の列にわりこんだ客は店員にあとまわしにされて当然だ。商品陳列をぐしゃぐしゃにした客は店から放り出されて当然だ」

アレッサ「うむ。ほかの客にも迷惑だ」


清之助「だがそれらもグレーゾーンとなる例がいくらでもあるし、まっ黒でも法律違反と認定させることは難しい。ましてそんな訴訟が手間に見合うことなど皆無だ」

アレッサ「悪いのはあきらかに、非常識な利用者のほうだが……」


清之助「それでも経営者だけの管理責任のせいにすると、店の入り口に『わりこみするな』『違反すれば罰金』『同意した上で入店しろ』などと無駄な表示が必要になる」


清之助「しまいには『ご利用の前に登録した会員証の提示をお願いします』『規約は随時更新されますが通知はしませんので、常に確認してから入店してください』となる。そういった余計なシステムのために店は商品の値段が上がり、無料小説投稿サイトは広告がウザさを増して作品の見やすさとサイトの価値が下がる」



アレッサ「理不尽な……そもそもなぜ、嫌がらせなどをくりかえすのだろう? むう、わざわざ規約違反とはならない手口だけ使う者もいるな……」

清之助「『禁止されてないから』を連呼して、山から都市部のどこまで屋外排便できるか試して喜ぶ人間をどう思う?」

アレッサ「いや……それはもう……なんとも……」

清之助「そう。考えるまでもなく、単なる幼稚だ。無視か抹消の二択しかない」


清之助「で、貴様は排便できる場所の線引きはできると思うか? 必要だと思うか?」

アレッサ「なるほど……個々が利用者としての責任を自覚していれば、規約などをいちいち増やす必要はないわけか」

ユキタ「判断しにくいケースへのわかりやすい例示はほしいけど」


清之助「法律や規約は、大多数が守ろうとしなければ機能しないものだ。政治への関心が薄れた国では、憲法違反の法律も作り放題になる」

ユキタ「ひとこと多いよ」


清之助「では規約違反ぎりぎりのポイント稼ぎについてだ」

アレッサ「え……え!?」

ユキタ「どこからつっこめばいいんだよ」



アレッサ「前回の『作家たるもの人々の模範に』はどこへいった!?」

清之助「貴様こそ内容を勝手に変えるな。俺は礼儀を重視して犯罪に手を出さないことが作家として『最も効率がいい』と考えるだけだ。世間的な善悪なんぞをここで語る気はない」

ユキタ「というかポイント稼ぎは次回予定のはずでは……」


清之助「もちろん、完全アウトの複数アカウントなどは論外だ」

アレッサ「携帯とパソコンで別アカウントを持つくらいは多くの人ができそうだが……」

ユキタ「十二ポイントが妙に多い人っているよね……少しずらしたりしていても、作品を見るともう……口調を変えているつもりの感想とかレビューを見るともう……」


清之助「盗作をはじめ、ばれて取り返しがつかないことは『効率が最悪』だ。罰せられないとしても、その行動は必ず作家性に出る。自分の作品や作家性を信用できなかった作家に特有の不安定感が作品と成長にいつまでも残る」



清之助「では最も速いポイント稼ぎについて、結論から言おう」

ユキタ「やめて」

清之助「ユーザ交流を広げて仲良しもどきを増やせ」

アレッサ「最低だ!?」


清之助「いい感想や評価を入れた相手にはどうしても好意的な興味を持ち、相手のためになろうと思うのが自然だ」

アレッサ「そんなことは聞かなくてもわかる! だがそんな浅ましい下心で近づいた人間関係など、なんになる! そんな恥ずかしい行動でポイントを稼いでは作家性が腐る、というのが貴様の持論ではないのか!? みそこなったぞ!!」



清之助「まず『ポイント評価依頼』に関して、規約に巨大な穴がある。というか一点をのぞいて禁止されてない」

アレッサ「どれ……え? この内容だと『サイト外』ではいくらでもポイント依頼が可能になってしまわないか?」


(*注 この作品の掲載時点の内容です。規約の内容や解釈については必ず自分で確認してください)


(*注 ユキタ「2016年8月16日の規約改訂で外部における評価依頼も禁止になりました」)


清之助「営利団体のサイトとして、宣伝を推奨するのは当然だ」



アレッサ「そんな……それではブログ職人や、フォロアーの多いSNSユーザがかたよって有利になって……」

清之助「なってなにが悪い? 知名度やコネも能力のうちだ。そもそも評価依頼のグレーゾーンに関して想像力が足りないようだな」


清之助「友人に作品を読ませて評価を頼むのはアウトか?」

アレッサ「それくらいはまあ……」

清之助「フォロアー数千人が友人ならセーフか?」

アレッサ「そ、それはちょっと……」


清之助「学校の文芸部でサイトを利用して、互いの作品に評価をつけあう行為は?」

アレッサ「それは別に、ほめちぎり感想や最高点を強制しなければ……」

清之助「小説学科の講師が数十人の生徒を集めて『同校生徒の作品を公平に評価し合う』授業は?」

アレッサ「そんなことをされたら、ランキングまで変わってしまう! それに、そんな行為がばれたら盗作なみの恥だろう!?」


清之助「だが『宣伝のつもりはなかったのに』とか『授業で利用しやすいように相互登録させただけ』とか、近い手段はいくらでもある。防ぎようがない上、防ごうとしても線引きができない」


アレッサ「だからといって、自分もそのような恥ずかしい真似をしようとは思わない!」

清之助「一日数人が閲覧するホームページでの小説宣伝は?」

アレッサ「む。その人数ではとても悪い行為とは……いやしかし、規模の問題ではないはず……」

清之助「フォロアー数千人のランキング作家がSNSで新作を宣伝する行為は?」

アレッサ「え……あれ? それも当たり前と言えば当たり前の……」

清之助「当たり前の『営業努力』が恥ずかしい真似か?」

アレッサ「う」


清之助「サイト内での宣伝禁止はサイト内を混乱させないためだ。SNSとつなげるなど、宣伝行為そのものは推奨されている」


(*この作品はフィクションです。作中の会話は架空の人物の個人的見解です)


アレッサ「だが不公平ではないか!? いくらランキングにのらないとポイントが伸びないとはいえ、そんなことをしてまで……なぜそんなことを許してしまうのか……」

清之助「どアホ。宣伝『しない』のではなく『できない』だけのくせに不人気を自分以外のせいにするな」

アレッサ「なっ……」

清之助「宣伝『しない』メリットだって小さくはない」



清之助「まず単純に執筆、練習、読書の時間を守れる。フォロアーが数人のSNSなら宣伝の効果は小さく、ランキング作家のようなブックマーク数なら宣伝しなくても読んでもらえる。それでもあえて手間をかけるに足る作業か?」

アレッサ「たしかに……執筆していると、とても宣伝する時間や気力など残らない」

清之助「いきなり『宣伝できないだけ』を認めるな」

アレッサ「あ」


清之助「次に、多くの者にとって『宣伝時間』以上に大きいのは『しがらみ』『SNS疲れ』を避けられることだ」

アレッサ「う。たしかに。めんどうな気もして……やはり私は『宣伝できない』いいわけをしていただけなのか? それなのに作品を広める努力をさげすむなど、それこそ恥ずべきかもしれない」

清之助「そうでもない」

アレッサ「え」


清之助「宣伝やコネだけで質の低い作品をランキングへ押し上げる行為に嫌悪感をおぼえるのは正常な感覚だ」

アレッサ「む。そういえば出された例では、作品との質の差が大きそうなケースほど不快に感じた」

清之助「やりすぎの背伸びは恥ずかしく、それで他人を阻害していればさらに恥ずかしい。当前に無粋なクズと言える」

アレッサ「これもバランス感覚というか、心意気の問題か」



清之助「ここまで例に出したような手口と比べれば、直接に宣伝できないサイト内で感想やお気に入り登録を増やしてまわる行為はどうだ?」

アレッサ「うむ。露骨に見返り目当ての大量工作などは目も当てられないが……自分がおもしろいと思った作品や、成長を追いたいと思った作家にはもっと積極的に関わってよかったかもしれない」

清之助「そうでもない」

アレッサ「え」


清之助「よほど精神が強いか無神経でない限り『しがらみ』『SNS疲れ』で奪われる時間と気力は大きい」

アレッサ「だが言葉をもらえると意欲が大きく補給されて……」

清之助「大きくありがたいから、大きく束縛される」

アレッサ「う」


清之助「まして貴様のような人間関係に不器用なやつは、トラブルが致命的な精神ダメージになりかねない」

アレッサ「む……相手はよく選ぶことにしよう。適切な距離も保って……」

清之助「それくらいの適性は考えて動け。人間と人間のぶつかりは最も有意義だが、最も危険だ。誰もがこの作品の作者のような人でなしになれるわけではない」



アレッサ「しかしすまない。貴様が最初に言った、ユーザ交流を広げて仲良し……を増やせとは、きわめて正当な手段だったのだな」

清之助「そうでもない」

アレッサ「え」


清之助「『大きく束縛される』と言ったはずだ。相手も同じだ。ほめちぎり感想をいれ続けながら最後に『自分も少しずつでも近づこうとがんばっていますが、まだまだです』のような一文も入れ続けるとか、直接の『評価依頼』にならないで圧力をかける方法などいくらでもある」


アレッサ「うあ……そ、それはもう、規約違反ぎりぎりではないか……」

清之助「最初にそう言った」



ユキタ「もちろん、露骨にそんな行為をしていたら、どこかでさらされちゃうよ」


ユキタ「それにトラブルがなくても、仲良しごっこに夢中になりすぎて、執筆が遅れてきた作家もどきは……そっと気に入り登録をはずしている」




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