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第六話の補足 めんどうな使命感 パクリ関連延長 など

* 本編の内容は掲載当時のものです。

 2018年6月に著作権侵害が非親告罪となる法律が成立し、施行後は前提が大きく転換しますのでご注意ください。


アレッサ「ところで先ほどの、創作にまで影響を与えている社会問題についてなんだが」

清之助「めんどくさいところに興味を持ったな」


アレッサ「作家とて執筆以外にも政治参加するべきではないのか? いや、寄付やデモ参加くらいの話だが……」

清之助「そんなことをする金や時間で小説を学べ、書け。どうせ貴様は悪質団体の割合や判別方法も調べないで言っているだろう?」

アレッサ「う」

清之助「そんな貴様はまだ選挙投票と、そのための情報収集だけにしておけ」


アレッサ「では作品を通して社会問題の実態を暴き……」

清之助「それは有意義なテーマだが、本当にそんなものに興味があるのか? お前は? お前の想定する読者は?」

アレッサ「う」

清之助「法学の初歩の初歩も知らず、報道の裏を見ようともしなかった貴様がなにをどう暴く気だ?」

アレッサ「ぐ」


清之助「作家による政治主張が無駄とは言わん。だが貴様の相性では、その目的であっても小説を書くほうが効率がいい」


清之助「恥ずかしい犬溺愛小説を書く貴様だからこそ、そんなものを読みたがる読者へ効果的に伝えられる言葉がある」


アレッサ「いや、さすがに犬溺愛にからめて政治主張はテーマが離れすぎでは……」

清之助「『作品は作者そのもの』だ。直接的な表現でなくても、貴様が吸収したあらゆるものは必ず作品からしみだし、読者にもしみこむ」


清之助「興味を持ったなら調べろ。その行動がその部分の説得力や信頼感を育てる。読者の印象に残る。だがそれをテーマに選んだり、直接に描写するかは『おもしろさ』だけを基準にしろ」

アレッサ「その基準ではやはり、私が作品内で政治要素を扱うことは一切なさそうだな……」


清之助「そう思う感性こそが貴重な武器だ」

アレッサ「え」

清之助「貴様のような脳内お花畑のアホでも『おもしろい』と思える政治表現を発見できたとしたら、それは犬溺愛描写を読みたいだけのアホでも共感できる政治表現となる。それは一流の報道でも至難といえる影響力だ」




   *




アレッサ「しかしやはり、盗みを罰する法律を作れないなんて、すっきりしないのだが?」

清之助「著作権に限らず、すべての法律は無力だ。殺人ならそもそも損害の回復が不可能だ。納得できる罰など作りようがない。最高刑だろうが、遺族にとっては『解決』のわけがない。世間の治安や加害者の権利も考慮した『もっともマシな落としどころ』が判決になる」


清之助「それに刑法がどう増えようが、暴動や大災害が発生すれば実務上は役に立たない……役に立たなかった。抑制となったのは法律ではなく、個々の品性だった。『罰せられなくても犯罪は不快』と思える感性の高さだ。その量が街の復興の速さになった。その街の実利的な強さとなった」


清之助「文化は余裕がある者たちのヒマつぶしではない。警察より優先すべき治安力だ。土地や人口を超えうる国力だ」


清之助「それに国同士も、どれだけ国際法や国際条約があろうが、大国は


(*諸事情により一部削除)


(宣伝……『迷宮地獄は花園天国で粉砕する!!』好評掲載中です)




   *




ユキタ「ネットのパクリ認定に否定的だったけど『技術の急発展で誰もが簡単に複製も配布もできるようになった現状』で法律に代わって歯止めになっている面もあるよね?」


清之助「うむ。現状では冤罪が多く、作家つぶしになっている難点も大きいが、信頼度の高いシステムに発展できれば、著作権の救世主になりえる数少ない希望だ」

アレッサ「技術成長の良い面か」

清之助「その現状に合わせて


(*諸事情により一部削除)


した集金システムを作ろうと必死だ」

ユキタ「黙れ。察しろガキ」




   *




アレッサ「模倣ではない、絶対的なオリジナルもあるだろう? 日常会話とか……」

ユキタ「車の衝突音を字におこしたものとか」

清之助「だがそれを最終的には小説にする。そういった取材物をどう文章化するかも、やはり独力ではなく、模倣したほうが速く独創に近づける」


清之助「先人たちも取材から取り入れた表現を積み重ねてきた。というか、模倣で自分の作風を確立させた先は、取材による勝負が大きい」




   *




美しく聡明なシャルラ嬢「ちょっとお!? 結局パクりはいいの!? 悪いの!?」

気高き美少女勇者アレッサ「いや、だからそういう白黒の話ではなくて……」


シャルラ嬢「ふざけないでよ! だったらアンタの恥ずかしい小説をパクって、犬にマゾプレイしこむ話を私の名義で発表していいわけ!?」

アレッサ「そ、そんなものを書いたおぼえはないが、主人公や犬の名前をそのまま使われては困る」


シャルラ嬢「ほら『黒』じゃないの! だったら主人公の名前を一文字だけ変えたり、犬のダイちゃんをビッグちゃんに変えたり、半日ひとりごとの失敗談を成功談に変えるだけでいいの!?」

アレッサ「いや……しかしもう少しだけ変えてもらえたら、文句はつけにくいというか……」


シャルラ嬢「その境界を聞いてるの! サブタイトルの疑問にまともに答えてないじゃない!」

アレッサ「いや、ちゃんと読めば……」

シャルラ嬢「じゃあ『境界』はどこ?」

アレッサ「いや、答としては、そんなものは定義しようがないという……」

シャルラ嬢「はあ!? アンタさっき自分で『もう少し』と言ったでしょ!? それを具体的にするだけじゃないの!」


イケメンエリート清之助「すまないシャルラ。たしかに俺のミスだ。マヌケをからかい疲れて詰めが甘くなった」

アレッサ「待て貴様。線引きはできないと言ったはずでは……」

清之助「法律の条文としては不可能だが、俺なりの基準は示すべきだった」


清之助「いや、単に『類似を指摘されても堂々としていられる』というだけだが」

シャルラ嬢「それだと居直りパクリ屋の限度がなくなるでしょ?」


清之助「うむ。たてまえでの否定は別の話になるな。そのパクリ作家がなぜか理想の妻子を得た時、自分の作品の類似指摘がネットでさらされていても、笑顔で説明できるかだ」


アレッサ「嫌な例だが……礼儀や心意気どうこうの実利が端的にわかりやすくはある」

シャルラ嬢「一切の類似を排除するから、理想の夫をよこしなさいよ」

清之助「すまん」



清之助「模倣は必ずばれると思っていい。多くの作品を知っている者ほど、無意味な指摘をしなくなるだけだ」


ユキタ「このサイトだと、ショートショートでおもしろいと思った作品は星新一か、星新一主催の『ショートショートの広場』とかで見た気がするネタが多いかも」

シャルラ嬢「字数を埋める程度も苦しいどシロウトが『短くて楽』というだけで安直にパクるんでしょ」

ユキタ「ショートショート自体がサイトの隠れ人気ジャンルだしね」


シャルラ嬢「あとは『笑える』『ジョーク』とかで検索して出てくるサイトのコピペまとめそのままのネタとか、テレビのショート作品とか、ちょっと古い四コマ漫画とか……」

ユキタ「短いほどアレンジの余地がないから、見ていて気まずい表層改造が多いね」


清之助「ばれない盗作の方法などはどうでもいい。そんな知識を有益と勘違いできるマヌケに興味は持てない」




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