第九章 『The Ultimate Weapon』
一日一膳。
薙はジステッドへの国内留学を終えて、ラティエナに帰って来て居た。
「やはり、我が城の自室が尤も落ち着く」
「そうなの?」
メネシスが尋ねた。
「うむ」
「ふーん」
ナタルは気のない返事をした。
「余が不在のラティエナに、何か変わったことは?」
「特にないな」
実際、何か変わったことがある訳でもなく、平穏な日常が続いていた。
「来週から新学期で、再び、陛下の学園生活が始まるな……」
「うむ……」
クラスの連中とは割と普通にコミュニケーションが取れている。秋雲夫妻も、その点は心配していない。
「課題は全部消化してある。心配ない」
「若葉の若い頃と違って、偉いわね」
メネシスは薙の頭を軽く撫でた。
「むー」
薙にとっては二人が両親だった。5年前――初めの頃は色々と抵抗があったが、今では二人の言う事を、良く聞いている。二人の前では滅多に虚勢を張る事がなくなった。それは、薙特有の心の病気でもあり、中々、気を許す相手がいないという、やや、難しい性格の持ち主だった。
「まぁ、宿題を終えているのなら、問題ないな」
夏が空けようとしていた――
まだまだ、残暑が厳しいラティエナで、平穏な日常が流れていく。
所要があるので今日はここまで。
GSまで、灯油を買いに出ねば……