第八章 『ハヤシの如く』
人間爆弾。
レムレース・コロニーに来て4日目――
「熱い……」
「ですね」
薙は雷暗以下護衛を連れて、城下を視察していた。
「散策も良いが、何か面白いところはないのか?」
「そうですね……うーん」
雷暗は思案した後、こう提案した。
「滝を見に行きましょう」
大坂より離れた、結界の外に行く事になった。
移動する事、数時間――
「ここか……」
見れば大きな看板に『鈴仙・熊井の滝』と書かれている。
滝と言っても、普通の滝ではない。浮遊大陸の離宮から、地上に流れ落ちる様を見るのだ。
「ふむ、すごいな」
「水は、泉より反重力でワープして大陸のダムに汲み上げられます故、こうして、循環しているのでございます」
なるほどな――
薙は仕切りに感心し、視察を続けた。
「ブラナタス領で巨大な滝を見たことがあるが……比較にならんな。うむ。素晴らしい」
「ありがとうございます」
雷暗は軽く会釈をした。
(ふむ。そう言えば……)
此処では、一応、護衛も同伴している。二人っきりのデートとは行かない。
「それ以前に、貴様は既婚者だったな」
「――は?」
薙は少しだけ笑った。
「いや、何でもない」
視察を終えた後、薙は城に戻った。そして、ジステッド全体の治水事業に付いて学んだ。色んな人間と会見をし、予算の枠組みに付いても議論した。
数日後――
ジステッド全体の国力が少しだけアップした。
色々書きたい事があったのですが、端折りました。
現実論戦みたいに織り込んでも不毛なので……
ファンタジー故に、そこにワンダーがなければならない。