第七章 『フジヤマ・パワー』
お寿司100人分を頂く。わっはっは!
期末テストも無事に終わり、魔法学園中等部も夏季休養に入った。
「――長旅でしたな」
「うむ」
薙は夏期講習の予約を中等部で唯一人、キャンセルし大坂城に来ていた。無論、雷暗に会う為である。
「一応、国内留学でホームステイの扱いにしてあります」
「う、うむ」
雷暗は『じー』っと薙を見つめた。
「サボりはいけません」
「国の元首としての務めもあるのだ」
お目付け役の秋雲夫妻は同伴していない。薙はジステッドでハメを外すつもりだった。
「周りの勉強レベルが低すぎて、歩調が合わないのだ」
「……なるほど」
確かに、そうでもあった。薙は幼い頃から精神年齢が人より高い。既に、大学へ通う若葉と同じぐらいの知識を身に付けている。
「では、自分は下がります。何かあれば女官にお申し付けください」
パタン――
襖が閉じられた。ここは大坂城の本丸の一室。雷暗は自室である天守閣に戻るのであろう。
(一応、勉強しておくか……)
それにしても、城から見渡す景色がいい。浮遊大陸の地平が途切れるところまで見えている。そして、城下にも人だかりが見える。薙はテラスに出て、民衆に手を振ってみる事にした。
『ワー!ワー!』
一応、このレムレース・コロニーでも自分を知る人間は多いらしい。ラティエナはジステッドの宗主国に当たる。国防から内政まで独立しているとは言え、やはり、王として迎えられているのだと、薙は実感した。
その後、部屋に戻り、学習を開始――
部屋にはモニターや音響設備も備わっていたが、薙は勉強する時に、これら一切を使用しない。集中力が落ちるためだ。因みに夏場の冷房は良いが、冬場は床暖房以外は付けない。この集中こそが、高い記憶力を支えている。
これも、又、能力――
ビッグ・ザ・武道!