第二章 『帝国に――』
手元にある前作の設定をまとめたプロットの整理に終われています
霧島は午前中に授業を受けて、午後からはカシスとの会談に臨んだ。
「これは、これは……女王陛下――」
カシスが軽く会釈をする。
「久しいな」
霧島はぶっきら棒に答えた。
「弥生と生まれた赤子は元気か?」
「ええ」
カシスは前大戦の後、フィアンセだった弥生と結婚した。昨月、赤ん坊が生まれたばかりだった。
「一児の父では、昔の様にカガヤルナウス龍機兵師団を率いて前線へは送り出せんな」
『ハハハ!』と薙は笑った。
「いえ、お気遣いは無用です」
「む?」
霧島の眉毛がピクンッと跳ねる。
「国家の為に命を捨てる覚悟は出来ておりますので……」
「ふむ」
愚問だった。カシスは昔から国へ対する忠誠心が高い。
「余も、一度、妻子とも会う機会を設けるとしよう」
「それは光栄です」
3階にある校長室のテラスからグラウンドを見渡す。校庭では魔法学園の生徒達が己が技を磨いていた。
「よく練兵されているな」
「平時に汗を流せば、戦時に流れる血は少なくて済みます故――」
生前の山城アーチェの言葉をカシスは引用した。
「うむ」
大陸最強といわれた剣士は既に他界している。
「イノラッサーパルガは誰が受け継ぐのか……」
「ラティエナの明日を担う戦士が誕生するのを待ちましょう」
精霊イノラッサーパルガと霊刀・菊一文字は修復して、エルケレス城の地下に封印してある。
「新たな持ち主が現れると良いな」
(尤も、山城中将を越えられる逸材は現れないだろう……)
「それが、自分の使命であります」
「ん。励め」
そう言って、霧島はその場を後にした。
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