第十六章 『ロンド・ベル』
この作品は春までの予定です。実際に二月末日が最終更新の予定なので、新しい季節と共に終了したいと思っています。
薙は予定通りラティエナ王国に帰国。そして、二日後。大晦日を迎えた。
「うーむ……」
薙はテーブルの上に並べられた料理を前に、悩んでいた。
「どうしたの?薙――」
メネシスは薙の様子に気づいた。
「いや……最近、贅沢ばかりしている」
「お前が外遊し過ぎなんだ」
何かに付けては会食している。今日も、首都エルケレスで働く重臣を集めて記念行事を行っていた。
「そうは言うがな……」
薙はナタルに反論した。
「頑張り過ぎも良くない。過ぎたるは及ばざるが如しだ」
「なるほどな」
集められた臣下には、ウィルザッポル魔工兵団から昇進した者達も居た。言わば、薙の側近だ。その中には、嘗ての側近中の側近も居た。
「これはこれは陛下。ご機嫌麗しく――」
世辞は言いと薙は手で制した。
「うむ」
四天王で薙の元ロイヤルガードの二人、北上加古と妙高リオルと対面した。
「久しいな。今は秋雲夫妻が護衛を務めている」
「ですか」
ナタルは二人と握手をした。そして、二人の指に出来た血豆にも驚いていた。
「以前にもお会いした事がありますが、あまり、話しをした記憶が御座いませんな」
「そうですね……まぁ、薙の面倒を見てます」
四天王は基本的に大坂城で待機している。
「自分達は武官ゆえ、今の陛下のお側にお使えする事は難しいかと――」
「うむ、心配せずとも二人が面倒を見てくれている」
薙は年相応の婦女子ゆえに、この二人には扱いが難しかった。
「そう言えば……」
「ん?何だ?」
リオルが話を切り出した。
「先ほど、カシス殿とお会いしたのですが――元気そうで何よりでした」
「そうか。ちなみに、弥生の方は育児休暇を与えてある」
望月弥生は、ここ何年か、現場では働いていない。
「貴殿等も、偶には軍を離れて、家族の元へ帰れ」
「そうします」
これは命令だった。逐一、命令を出さなければ、四天王は配属を抜ける暇がない。
「うむ!」
薙は力強く応えた。
今日は鳥取⇔米子を仕事で往復したので疲れました。
長時間、車の乗ると自分の場合、クルマに酔います。