第十章 『宿命の紋章』
ようやく掌編が二桁です。
秋――
新学期がスタートした。薙は勉強に精を出した。クラスとのコミュニケーションも取れている。
『えー……新学期がスタートするワケですが、学生全員が精進に励むよう気を引き締めましょう』
全校集会で校長のカシスが朝礼していた。3年の3月は自由登校なので、実質的には、これが最後の学期になる。
放課後――
「流石に新学期も早々に欠席は許されないですからな」
カシスは薙が学校へ登校した事に感心していた。
「忙しい公務の日程もあるのでな……今日は直ぐに城へ帰る」
「なるほど」
それに、あまりサボっていては進学に差し支える。
「今までは何かと理由をつけて休まれる事が多かったのですが、受験が迫るとこうもして居られない訳ですな?」
コクン――
薙は頷いた。つまり、素直にそれを肯定した。
「色々とやる事が溜まっていく」
「学生は皆がそうです」
実際、薙はこの後も、ラティエナ王国の地方に点在する銀行が抱えた、不良債権の処理などが待ち受けている。もっとも、特需で潤うこの国にとって、大した額ではないのだが。
「高等部に移ったら、その時点で魔法系の資格も取得したい」
「大変ですな。自分も昔を思い出します」
カシスは若葉たちより歳が上で、その頃はまだ、魔法学園は存在していなかった。一般の大学を出て、国に仕官している。
「そう言えば……」
「はい」
薙は重要な事案を思い出した。
「一応、奨学生の届出も出した方が良いのか?」
「陛下につきましては、こちらの方で全て手続きをさせて頂いております故――」
国の元首ともなれば、やはり、待遇が違う。
「まぁ……ラティエナ女王は当学園の理事みたいなモノだからな」
「左様です」
それは初等部中等部だけでなく、高等部もだ。王立の高校なので、出た時点で大卒と同じ扱いを受けている。ラティエナ魔法学園の大学部へ進学した場合は中退となる。そして、外洋国家の大学で修士号を取得するシステムだ。
「公費で留学出来る身分であるなら――」
「心構えが大事ですぞ」
フッ――
「逆に国を背負う使命があるのだから、威信に傷が付いてはな……」
薙は微笑した。
「よろしいかと」
「うむ。では、城へ帰る」
こうして、薙の進路指導は校長であるカシスが直接的に師事となり、無事、終わったのであった。
更新は今月末までで、26章構成で終わりにします。
まぁ、薙の外伝と言うことで――
いつ間でも小説だけに構っては居られません故……(==
夢は追いかけたいですけどねw
新都社から移籍して来て、これが最後ですかね。
機会があれば、また、執筆したいとは思ってるんですが……
どっか他所の投稿サイトに移るつもりもないので。
取り敢えず、ルイネハンガスにシェロ・ガノッサス部隊を送り込んで終わるワケですが。
そこから先は、複数の執筆者が自分の国を発展させていく形式を試みたいなぁと思ってます。
つまり、自分はクックルーンの法王でミッドガルズ大陸が視点ですが。
アトランティスの外洋に幾つか共同執筆者の国があるといいと思うんですよ。
もっとも、魔王軍や遠野家を招集出来るか微妙ですが……
とあるSF研からも駒を出してほしいところ。