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『おとん、あいたいよ』長編小説  作者: のん


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エピローグ

その後は病院で葬儀屋さんに電話をし

病院へ来てもらい霊安室に置いておくという選択も促されたけれど


『絶対にお父さんと離れたくないし、お父さんが寂しがる』

そういってお父さんと一緒に家に帰り、

お葬式までの間1週間ほど一緒に家に居させてもらった。


葬儀屋さんは私たちに親身に寄り添い、

お父さんの身体が腐敗していないように

毎日大きな氷を家に運び続け交換して、

お父さんの身体に乗せ冷やし続けてくれた。


ひと時もお父さんと離れたくないという私たちをみて葬儀屋さんは


『自分の時はこんな風に思ってもらえるのかな』と


私たち娘の『お父さんっ子』を

どこか羨ましそうに呟いていた。


お葬式までの間、たくさんの人がお父さんに

会いに来てくれていた。

病室に何度も足を運んでくれたお父さんの親友、そして友達。


お父さんの身支の際も皆でお父さんを抱え着替えなおしたり


重たい身体を男数名がかりで、

棺桶に移したりしてお父さんのこと

涙を流しながら見続けていた。


来る人皆にいわれた。

『ほんとに偉いね、優しいね』って。


でも偉いとかそんなんじゃくて

私達はただお父さんと離れたくなかっただけだった。


その夜、家族皆でお父さんに向かって献盃をした。お父さんの傍らで煙草を吸い、

酒を飲みながら、お父さんにこれでもかってくらい話しかけていた。


現実が受け入れられないなか、

時間だけが過ぎていきお葬式の日になった。


お父さんが骨になってしまう日。


棺桶のなかに沢山の花が乗せられた。


顔に似合わず、

可愛らしい花達がお父さんの周りに彩られた。


別れの弔辞はお姉ちゃんが涙ながらに語った。その隣で私は涙が止まらずにいて、それをみた一番下の姪っ子が、私の背中をよしよしと撫でてくれていた。


お父さんが焼かれる。


目にいれたくなかった光景が

目の前で起きている。


行ってほしくない、心底そう思った。

でも現実は進んでいってしまう。


お父さんが骨になってしまった。


でも残された骨は思っていた以上にしっかり残っていた。


泣きながらお父さんの骨を拾って行く。


喉仏の骨も綺麗な形のままのこっていた。

それはとても稀なことだと葬儀場の人は説明していた。


お父さんの骨は病に侵されていながらも、骨壺いっぱいになるほど多く残っていた。


やっぱり、お父さんは最後まで凄い父だった。葬儀場の人が納めるのに苦労するくらいに残された骨。最後までそんな風な形にしたお父さんらしさ。


屈強に生きた証。


箱に納められたあと、葬儀は終わり、

家に帰り納骨の日まで祭壇に置いた。


遺影に使われたのはに使われたのは、

孫と釣りに出た際の少年のように飛びっきりに笑っていた写真。


お姉ちゃんもその際壇の前で何度も静かに泣いていた。私達にはお父さんの存在があまりにも大きすぎて、お父さんのいない世界なんて信じられなかった。今でもそう。


数ヶ月経った今でも、

『なんでいないの?』と感じてしまう。




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