狂愛
狂愛も愛の形の一つだ。形という言葉で表現するには歪みすぎているが……。
今日、目の前にいる彼女と付き合った。
本当に、本当に、本当に嬉しい。間違いなく今日は人生の中で最も感激し、興奮した日だろう。
同じ性別なのに、こんな愚かな私に、彼女は寄り添ってくれた。
私には勿体ないほどの魅力的な彼女は、恥じらっている頬を見せながら微笑んでいる。
何も言わないまま、私は彼女を抱擁した。全てを手に入れた気分だ。
――――。
『間違いなく私と彼女は奇異の目で見られる日が来るだろう。』
……私は一瞬、まだ上手く定まっていない未来のことまで考えていた。自分でも正常じゃない思考をしているのはとっくに分かっている。
「これから頑張っていこう」
私は二人で共に励んでいこうと意思を伝えた。
彼女はうんと言いながら頷いた。抱擁したまま言ったため、声がこもっていた。その姿すらも愛おしい。
「私は、昔から貴方の好意に薄々気づいていた。でもこうして本心を聞けて本当に嬉しい」
あぁ、本当に舞い上がりそうだ。今ならどんな罵詈雑言でも跳ね返してみせるとも。
「うん、今凄く幸せだよ」
本心を伝えると、彼女は私の顔を見た。
愚かな私の顔を見ている。恥じらいから私は目をそらした。体から変な熱が湧き上がってくる。
劣情とは違う、本能的な人間の熱だ。このままキスでもしたいよ。
「将来のこととか、まだよく決まってないけど、貴方とずっと一緒にいたい」
なんとか目を合わせて、
「私もだよ。ずっと一緒にいようね」
自分でも分かるほど優しい声で彼女に言った。
人生の中で好きになった人は複数人いる。全員男だった。今考えるとあり得ない。
彼女は、私を理解してくれた。思いやりを持って優しくしてくれた。
まだ私は彼女の全てを理解していない。優しさを疑ったこともあった。
彼女は周りからも慕われていて、私に向けてくれた優しさを当たり前のように周りに振りまいている。
そこが彼女の良いところで、私が尊敬し、釈然としないところである。
「このことは……家族、友達には内緒にしよう。何を言われるか」
「うん。せめて、成人するまで隠しましょう。大丈夫。ずっと気持ちは変わらないから」
私が理想していた答えだった。胸が一杯になる。
体の熱は少しずつ劣情に塗り替えられる。顔に出ていないか心配だ。
いつの間にか、私は彼女の唇しか見ていなかった。そのまま唇に近づいた。
彼女の様子は……よく見えないが、嫌がってはいないみたいだ。目を閉じている。
………………やわらかい。あったかい。かわいい。いとおしい。
このままめちゃくちゃにしたい。
劣情を越えて、狂愛になっていた。
この抑えきれない狂愛を、彼女へ向けていく。
唇を離すと、彼女はふにゃふにゃした艶な目つきをしながら、私の目を見ていた。
「……初めてだよ」
「私もだよ」
妙に理性を保ちながら、私は言った。
今度は彼女から抱擁してきた。あまり私は戸惑わなかった。先程のキスで麻痺したのだろう。
彼女の頭を撫でながら、ずっとこのままでいたいと切実に願った。
君がいなくなったら、私は廃人になるだろう。
君が与えてくれる愛を、私は全て受け取る。
君の悪いところも、酷いところも、醜いところも全て私が理解してあげる。
私の全てを捧げる――。
田舎の誰もいない公園で、私達は愛を語り合った。
恋人繋ぎをするのは……もう少し先になりそうだ。
衝動的に書いた物語です。同性愛を強く描いたのは初めてですね。
今年もよろしくお願いします。




