第4話「オウカ突撃命令」
第4話「オウカ突撃命令」
「飛空ワイバーンを落とす? まさか、本気か?」
レンヤの目が、ギョロリとこちらを向く。
「サブロウ、お前に新しい任務だ。特攻だ」
「ふざけんな。特攻って何時代の話だ」
レンヤが取り出したのは、一枚の書類――『局地任務型魔獣利用許可申請書』。
「こいつは“自爆竜オウカ”だ。旧大戦時に開発された、突撃型の飛行魔獣兵器でな……」
レンヤの説明は要約すると「空飛ぶ爆弾」。命令を入力すると高高度まで飛び上がり、敵の爆撃目標に自動突入する。
「つまり、俺がそれに乗って、ワイバーンのど真ん中に突っ込めと?」
「うむ、勇者たる者、火球とともに空を舞うのだ!」
(頭の中では“火の鳥”のテーマが流れた)
仕方なく、俺は自爆竜オウカに跨がる。
全身は傷と魔術の封印痕で覆われ、片翼はすでに補修跡だらけ。
「飛べるんだろうな……?」
「大丈夫だ、気迫があればな!」
レンヤの言葉を最後に、オウカは咆哮とともに離陸した。
風が顔を打つ。
雲を突き抜ける。
眼下に広がるのは、黒煙を上げる戦場。そして、空に浮かぶ巨大なワイバーン戦団――。
「これが俺の戦場か……!」
その時、通信玉から声が飛んできた。
『突入前に、“魔法記録玉”で映像を回収するのを忘れるな! ノルマに反映されないぞ!』
「爆死前提で書類仕事かよっ!」
自爆竜は吼える。俺は剣を握りしめた。
「いくぞ、オウカ。せめて意味のある死にしよう……」
(つづく)
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