第2話「初陣とノルマ管理表」
第2話「初陣とノルマ管理表」
「さあ、いよいよ出撃だ! 気合いを入れろ、サブロウ!」
相変わらず威勢だけはいいレンヤが、俺の背中を叩いた。
前線の森は霧に包まれ、足元には不穏な魔力の気配。魔物の姿はまだ見えないが、既に空気がピリついている。
「ところで、初陣のノルマはどのくらいなんですか?」
「うむ、今日の予定は“低位魔物10体以上”だ。討伐数の確認はこの“ノルマ管理表”で行うぞ」
そう言って渡されたのは、罫線もガタガタな手書きの表。
「討伐日」「魔物名」「証拠品の写し」「署名欄」などが並び、最後には“備考:証拠品の欠落は自己責任”とご丁寧に赤字で書いてある。
「書類仕事、多すぎない?」
戦場で魔物を倒しては、倒した証拠を写真に撮り、署名して、報告書と一緒に提出……。
「戦場なのに文官気分だな……」
しばらく歩いたところで、小型のスライム型魔物と遭遇。
「まあ、こいつなら……」
剣を構えて斬りかかるが、例の“リース草薙の剣”、聖属性が起動しない。
「あれ? あれっ?」
スライムがプルプル震えながら反撃してくる。俺は盾を構える。
「バキッ」
盾、割れた。
「おい、サブロウ! 壊したら弁償だからな!」
遠くからレンヤの声。俺の精神も、今、割れそうだ。
(つづく)
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