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第1話「契約の書と実演用盾」

第1話「契約の書と実演用盾」


「君が今日から我がアサヒ王国の勇者だ。名誉なことだぞ!」

目の前で契約書を広げた男は、無駄にでかい声でそう叫んだ。

名前はレンヤ。どこかで拾ってきたような儀礼用の軍服に身を包み、胸を張っているが、その姿は滑稽としか言いようがない。

俺の名前はサブロウ。もともとはどこにでもいる冒険者だった。だが、気が付くと“勇者(外注)”という、訳のわからない肩書きを押しつけられていた。

レンヤが差し出した契約書の内容は、

・月間魔物討伐ノルマ:100体以上

・聖剣、盾、鎧はすべてリース契約(破損時弁償)

・成果未達成時は減給および罰則適用

・団結禁止、抗議禁止、退職届は3ヶ月前告知必須

と、ふざけた条項が並ぶ。

「いや、ちょっと待ってくれ。これ、普通にブラックどころか真っ黒じゃないか?」

思わずツッコミを入れたくなるが、契約はすでに国王ピロヒトの勅命によって強制発動済みらしい。

「それに、この装備……」

目の前に並べられたのは「リース草薙の剣(複製品)」、「実演用盾」、そして「防護性能無しの礼装鎧」。

「これは……、祭りのコスプレか?」

聖剣は確かに荘厳な見た目だが、実際には聖属性の起動率は30%未満。

盾はプラスチック製かと思うほど軽く、鎧は薄い金属板に金メッキを施しただけの代物だった。

「勇者たる者、装備ではなく気迫で戦うのだ!」

レンヤの言葉に、俺は遠い目をした。

王国は滅びかけている。だが上層部は現実を見ず、精神論だけで全てを片づけようとしている。

そんな国の、5次受け契約勇者が俺だ――。

(つづく)


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