第8章
この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ございません。
2026年1月5日(月曜日)
コーーー~~~ン コ~~~~~~~ーーーーーーー~~~~~ン
僧侶『妙ぅ法蓮華経ぅ~方ぅ~便~品~第ぃ二ぃ~・・爾時ぃ~世ぇ~尊~。従三昧。安詳而起ぃ~っ。告舎利弗。・・・・・』カッ カッ カッ カッ
長野県長野市差出南 安昇里会館
【故 加地彩音 儀 葬儀式場】
彩音の母『(グスッ)来てくれてありがとうね・・・』
優実『・・っ・・おばさんっ・・・こちら・・こそっ (グスッ)』
恵美香『ぅぅ~~~ぇ~~~・・おばざ~~ん・・ぅぅぇ~~~びぇぇぇぇだんでぇぇなのぉぉぉ』
和義『・・・・ぃぇ・・・・友達・・・ですから・・・』
信之『・・・・(ペコリ)』
彩音の母ともたれるように抱き付いて泣きじゃくる恵美香。ハンカチで顔を抑え小さく震えながら泣いている優実。
ただただ地面を眺め目線を合わせられない和義。そんな和義をジッと見てる斎藤信之
?『うわぁぁぁぁぁ!!なんでぇぇ・・・ぜんばぁぁいぃぃ・・・あぁぁぁぁ』
隣の部屋から一際大号泣している男性の声が聞こえる。
女性記者『ぁの・・・キャップ・・・あんなに泣かれたら私・・・泣けないんですけど(グッ)』
中島『・・・・うっ・・・』バタタタタ 足早に部屋から出てトイレで吐く中島
女性記者『皆を泣かせて・・・罪作りですよ・・ゼンバィ』ポロポロ
車椅子で式場に来た子供とその母親らしき人物もいた。
裕司君『おねーちゃん。どうして死んじゃったの?』
母『・・・なんで・・だろうね・・・誰も恨まないのに・・・一番裕司のために戦ってくれたのにね・・・』ポロポロ
裕司君『おねーちゃん・・・』
トイレから戻った中島は彩音の母の前で泣きながら土下座をした。
中島『すいません。私の力不足で・・・守れなかったんだと思います。早く気が付いて上げられたら・・・』ポロポロ
彩音・母『やめて下さい・・・顔を上げて・・(グスッ)あなたの責任じゃないです・・・』
中島『ウチのエースなんです!・・・ワダジの・・・誇りなん・・でずっ・・(ゥッ)』ボロボロ・・ポタポタ
信之『和義・・・ちょっとこい』
和義『え・・はい・・・』
信之と和義は少し場所を離れ喫煙所に入る。
信之『彩音ちゃんに・・・おまえデータ見せたのか?』
和義『いや!・・・そんなこと・・・してないです』
信之『お前!!!!・・・・本当に見せたり聞かせたりしてねぇんだろうな!!!!』
いきなり和義の胸ぐらをつかむ信之。思わず胸ぐら掴んだ手首を掴む和義。
和義『何なんですか!!!先輩!!!あんたオカシイんだよ!!狂ってるよ!!!』
信之『てめぇえええ!!!!(ガガッ)あれはおれの保険だぞ!!!!(ズドン!)』バキッ!ガン!
背負い投げのように和義を投げ飛ばし、馬乗りになって和義を殴る信之。
和義『何すんだよ!!!この共産テロリストがぁあああ!!!』
そこに来た女性記者。彩音の後輩である。
女性記者『ちょ・・・ちょっと!!!何してんのアンタたち!!!!やめなさいよ!!!』
13分後・・・・・
式場の一室。部屋の隅には泣き疲れた後輩の男性記者が座布団を枕にして横たわっている。いや、寝ている。その男性記者に優しく毛布をかける彩音の母。その反対側にシャツを鼻血や切った唇の血で赤黒く汚し、髪型がボサボサに荒れてる和義と信之が座っている。そこに女性記者もいる。
女性記者・牧野恵『で?・・・喧嘩の原因は何?痴情のもつれ?それとも、元々仲が悪い訳?・・・先に言っとくけど、彩音先輩の事が好きだって話ならそこで寝てる人が多分一番暴れるからね』
鋭い目で睨む恵。和義と信之は互いに目を合わせない。
和義『・・・俺が』
信之『・・・お前』
ほぼ同時に何かを言いかけて辞めた。
恵『・・・男ってのは・・・感情的に生きる生き物なんかねぇ・・・どいつもこいつも』
恵の方へ真っすぐ向き直り、目を見て話し始める和義。
和義『いや、そんなんじゃない。彩音ちゃんが自殺したのは俺のせいかもしれないんだ』
恵『はいはい、悲劇のヒロインぶるな。人が一人死のうって言うんだ。フラれた程度で首をくくるとか女をなめんな。大体ね、君・・・言うほどイケメンじゃないし彩音先輩の好みじゃないと思うけどね』
和義『えっ・・・えっ・・・ちが・・・違うよ。そういう意味じゃない・・・』
恵『じゃあ何・・・まさかストーカー?痴漢?強姦魔?』
和義『えっ・・・えぇ・・・』
困惑顔の和義と呆れ気味の顔の信之。
信之『ふっ・・・いいよ。わかった。俺の責任でもある』
呆れ顔の恵。
恵『え・・・・何・・・3人で・・・変態』ドン引き顔の恵
和義・信之『ちげぇえええわ!!!』
信之『あのなぁああ!ちげぇよ!そんなことしてないわ!』
和義『まっ・・・たく!! まっ~~~~ったく!ちがうよ!』
顔を引きつらせながら答える信之
信之『あのねぇ・・・君・・・どんな妄想したのか知らない・・いや知りたくも無いけど、そういう話じゃないんだよ』
和義『・・・先輩から話てくださいよ。俺、どっちかっていうと巻き込まれた側の人間なんですから』
信之『はぁ・・・俺は斎藤信之。しんぶん青旗の記者をしている』
ため息をついて、名刺を出す信之。
恵『ほぅ・・・・ん?・・・ほぅ?』
和義『僕は、彩音ちゃんの同級生で友達で・・・読書新聞の政治部で記者してます古林和義です』
同じく名刺を出す和義
二人から名刺を渡され固まる恵。同じく信之も和義も固まる。変な空気になっている。
恵『えっと・・・これ、私も名刺渡して大丈夫なんだよね?彩音先輩の後釜とか・・無理だから』
和義『何の後釜だよっ・・そういう関係じゃないよ。はぁ~・・・同じ大学のサークルで羽衣会って言ってそこの仲間なんだよ。それで』
恵『ん?ちょっと待て・・・羽衣会?・・・今、羽衣会って言った?』
和義『弁ろ・・・え?・・・うん。弁論部のは』
信之『あぁ、羽ごろ』
二人の話を遮るようにいきなり名刺を2枚差出し、急に早口で話し始める恵。
恵『名刺渡す。じゃあ、お前があの斎藤か。なるほどね(ニヤァ)・・・聞かせてもらおうか?盗聴記録の話だよ』
信之・和義『えっ!!』びっくりする二人。
恵『私は夕日新聞の政治部記者っていう肩書なんだけど、本当は警察庁警備局警備企画課 情報第二担当理事補佐官をやってるんだ。まぁ情報ってウチの専門分野でね、微弱な電波とかすぐ拾えるわけ。調べたら各省庁から出てたからまぁ4点空間計測って言えば分かるかな?』
絶望的な顔で顔面蒼白の二人。多分頭の中が空っぽになっている。
恵『つまり、草むらに無線Wi-Fi飛ばしてる謎の機器を見つけてね。指紋調べたら共民党の機関で働いてるのと同じ指紋を見つけてね。それが貴方。斎藤くんっ★』
固まる信之と恵の雰囲気が変わり過ぎてビビッて固まる和義
恵『で、話の続きだけどウチの方も流石に盗聴の記録は持ってないし、他の省庁は盗聴されてる事さえ気が付いてない。まぁこれはこれで都合良いんだけど、なので指紋を追って目を付けたのが羽衣会。割と面倒だったよ?読書新聞はほら、男性記者しか受け付けない精神で入れなかったし、まぁ仕方なく羽衣会の彩音さんを監視してたわけ』
口調も人格も変わってしまったと驚く和義。小刻みに震える信之。
信之『逮捕するのか・・・俺たちを』
和義『け、警察・・・・』
恵『逮捕?しないよ。それより盗聴記録の中身はヤバイんでしょ?一記者に扱え・・・・ん?・・・彩音さんのって・・・まさかソレが原因じゃないでしょうね?』
ちょっと引いた顔で二人を見る恵。二人とも目線を反らし何も言えなくなった。
恵『ま、こっからは警察官というより私個人の意見だよ。今や政治不信から始まった国会と各省庁の綱引きはグダグダになってる。盗聴を事件化したら中身の問題で各省庁に、場合によってはなんだけど、政治家が圧力をかけてくる。そうなるとグダグダな綱引きはどうなるか?面倒なんだよ』
信之も和義も恐怖で固まり、黙って話を聞いている。
恵『あ、そういう事か。あ~・・・あのね。私達は警察って言ってもちょ~っと違うかなぁ?警備企画課って言ってもピンと来ないあたり、斎藤君・・・いや、斎藤さん。あなた何も聞かされてないのね』
信之『え・・何を?』
恵『世間では私や外の車で待機してる仲間を警察って言わないんだよ。皆、公安って言う』
和義『!!!!』窓の外をそ~っと震えながら覗く和義。
信之『!・・・何時から調べてたんだ・・・』身構える信之。
恵『え?私が新聞社に入社する前からだから~、電波捕まえたのが2019年の中頃じゃないかな。あ、そうだ別に止めを刺すって訳じゃないけど、例のWi-Fi機器あんたの指紋以外は拭き取られてたからね?綺麗に親指だけ付いてたよ。意味分かる?』
信之『・・・・俺、初めての事だったから・・へたこ』
遮りながら信之の肩を掴む。
恵『違うよ。あんた共民党にハメられたんだよ』
信之『・・・え・・・』
和義『・・・・・・え』
恵『でさ、そろそろ出棺でしょ?その前に確認したいんだけど、データはあるんだね?』
顔を近づけて小声で話し始める恵
信之『いえ・・・いや・・・あるけどコピー・・』
和義『せ、先輩・・・捕まりたくない・・・黙って』
恵『(ニコッ)そのまま持ってて欲しいんだなぁ~・・・逮捕しようって思ってないから(ニッコリ)ただ、そのデータをコピーして渡してくれるだけで良いんだなぁ~・・・後』
急に笑顔が消え目つきが鋭くなり少し上目で話始める恵
恵『ここでの話は誰にも話すな。令和になっても人を消すのなんて幾らでもやり方があるからな?坊ちゃん達。斎藤さん、これは頼み事なんだけど、引き続き盗聴を続けて欲しいんだよ。で、共民党にバレずに古林さんに渡して古林さんは私に渡す。いいね?』
あまりにもドスの効いた低い声と恐怖におののき二人とも何度も頷いた。
登場人物の勤め先や所属団体等の紹介
警察庁警備局警備企画課情報第二担当理事官 牧野恵(22) 通称:ゼロ