第7話 バトルロワイヤル開始
俺らは昼、教室に集められていた。今日はバトルロワイヤル当日のはずだが、これから移動するのだろうか。
「今日はバトルロワイヤル当日だ。お前ら準備はいいか。クラス昇格がかかっていると言っても過言ではない、頑張ってこいよ。」
先生がそういうと、クラスに気合いが入ったように感じた。
「それではあともう少しで島まで転送される。脱落したやつはこの教室まで転送されてくるから、戻ってきたやつから帰っていいぞ。ちなみにこれは中継されているからいい結果を残せば上級生からも注目される。良くも悪くもな。じゃあそろそろ時間だな。」
その瞬間俺たちはあたり一面木しかない場所に飛ばされた。
飛ばされた直後、森川はクラスの点呼をとった。
「よし、全員いるな。これからは定期的に点呼をとって全員いるか確認しよう。」
森川が点呼をとっている間に俺は少し前に手に入れた能力、索敵を発動する。これは俺の周囲100n以内に人がいるかどうか確認できるDランク能力だ。その結果周囲には俺たち以外人はいなかった。
「とりあえず拠点とできるところを探そう。」
森川がそう言って俺たちは移動を始めた。まだ離脱するには早いな。だから移動してる間にもう一度バトルロワイヤルについてまとめておこう。
まず、期間は3日間。他生徒を倒す事に点数が入り、その点数とどれだけ生き残ったかを加味して順位がつく。エリアは今いる森林エリアと都市エリア。そして3日目は1日をかけてエリア収縮がされる。そこまで耐えるのが一旦目標だな。
30分ほど歩いていると、少し広めの空間があった。どうやらそこに拠点を立てるようだ。拠点と言ってもテントだが。みんなが作業をしているときに、俺らは周りを見てくるとクラスの1人に言って拠点から離れた。
「ほんとに離れちゃって大丈夫?」
碧が心配そうな様子を見せたので、
「あの場にいたらそうそうに脱落するぞ。まぁじきにわかる。」
そう言って納得させた。
それから俺らは大きめの木の上に登った。どうやって登ったかと言うと、ただジャンプしただけだ。
「え、ん?」
「どうした、碧も登ってこい。」
「いやいや、無理に決まってるでしょ。」
そう言うので、俺は一旦降りてから碧を抱えた。
「ちょ、ちょっと。待っ、うわぁぁぁ。」
なんか言おうとしていたが無視して跳びあがった。
「うぅ、僕高いところ無理なんだよ。」
そんな具合でかれこれ30分くらい俺の腕にしがみついている。
「おい、そろそろ離れろ。」
「ごめん。てかさ君の能力は高く跳ぶ能力なの?」
「いや、俺の能力はコピーだ、クラスに跳躍の能力を持ってるやつがいたからそれをコピーした。」
俺はあの5日間でバトルロワイヤルに向けて情報を得ようとしてくる依頼を全てこなした。依頼が来すぎてちょっとSNSでトレンドに入ってたくらいだ。そのおかげで大量のポイントを獲得できたため3つの能力をとった。索敵、アイテムボックス、コピーの3つだ。コピーに関してはBランクだったからポイントを結構持ってかれた。あとは成長速度を色々と、システムで携帯端末から能力取得ができるようになった。これで緊急時に新たに能力を手に入れることができる。
「コピーか、なるほどね。それで僕の能力を把握したってわけね。」
コピーを手に入れた理由のひとつにこのように俺が何してもだいたいは誤魔化せることがある。現段階ではひとつしかコピーできないがそれを知ってるのは俺とこの能力を持ってるやつだけだ。
「この付近で3日目のエリア縮小まで隠れるぞ。」
基本的にここからは俺の索敵範囲に人が入るまで待機だ。一旦ステータスを確認しておこう。
佐伯広正 15歳 男性
ランクF
筋力 25
防御 20
俊敏 25
体力 30
知力 50
魔力 50
能力 鑑定 熟練度3
システム干渉 熟練度1
隠密 熟練度2
瞬足 熟練度1
索敵 熟練度1
コピー(跳躍) 熟練度1
相変わらず貧弱なステータスだがそこは能力で補っていけばいい。だがコピーが1個しかないのは心もとないな。まぁその気になったら能力を取ればいいか、そのためにポイントも少し貯めてきた。とまぁそんなことを考えていると索敵範囲に誰か入ってきた。
「碧、近くに敵がいる。3時の方向に2人、距離は約100mだ。」
俺がそう言うと、碧は何もない空間からスナイパーライフルを出した。その後、ドンッという音と共に碧が1人の頭を撃ち抜いた。だが倒しきれなかった。
「碧もう1発だ。」
「わかってるよ。」
碧はリロードをしてもう1発撃った。その弾はまた頭に直撃し、1人はダウンした。そうするともう1人はダウンしたやつを抱えて茂みに入った。だが俺の索敵範囲からは出ていない。
「敵が射線外に行った。場所を帰るぞ。」
俺は碧を抱えあげた。
「ちょっと待って、またこれ?いやぁぁ。」
なんか言っていたが気にせず俺は木を跳んで行った。
「碧、あそこだ。早く狙撃しろ。」
「うぅ、わかったよ。」
そう言いながら放った弾は2発敵の頭に命中した。もう1人もダウンすると敵は2人とも消えた。なるほど、転送されるというのはこういうことか。
「さっきから頻繁に端末見てるけどなんかあるの?」
「いや、なんでもない。」
俺が頻繁に端末を見てたのはコピーの熟練度が上がるのを待っているのだ。おそらく熟練度が上がる度にコピーできる数が増えるはずだ。そして、やっとコピーの熟練度が2になった。碧の肩に触れる。
「ん?どうしたの?」
ステータスを見るとちゃんとコピーのところに跳躍と狙撃がある。よし、これで作戦も上手くいくな。俺は碧と同じようにスナイパーライフルを取り出した。
「え?なんで。僕の能力をコピーしたの?」
「俺も狙撃する。これなら2人で同時に撃てばすぐにダウンさせられる。さっきみたいに隠れられる心配もない。とりあえずクラスの様子を見に行くぞ。」
そうしてまた碧を抱えて木を跳び移って移動した。
クラスの拠点の80m前くらいまで来たが、特に変化はないようだ。強いて言えば俺らが居ないことくらいだろう。しばらく様子を見ていると、索敵範囲に2人入ってきた。その方向をスコープで見て鑑定すると、
「碧、敵が2人こっちに向かってきている。しかも、Aランクだ。」
碧も同じ方向に銃を構える。
「どうする?撃つ?」
「いや、撃たない。あれをやるぞ。」
「ほんとにやるの?バレたらなんて言われるかわかったもんじゃないよ?」
「なんて言われるか知ったことか。今俺らが上位に残れる可能性が1番高くなる行動をするだけだ。」
「はぁ。わかったよ。」
お互いに敵を見ながら待つ。敵は段々とクラスの拠点に近づいて行く。そしてそいつらはクラスの拠点の前に堂々と出ていった。
「呑気にテントなんか建ててキャンプ気分か?Eクラスの連中はよぉ。」
敵の出現に森川がいち早く気づいた。
「なんだ、お前らは!」
「なんだと言われてもよぉ。なぁ?佐々木。」
そう言ってそのいかにもパワー系の見た目のやつは隣の小柄な女子に話しかけた。
「はぁ、あんたが雑魚狩りに行くって言うからついてきたんでしょ。あたしにふらないでよ。」
「まぁそんな感じで、お前らはここで終わりだ。」
「みんな!戦闘態勢になるんだ!」
森川がそう言うとクラス全員で陣形を組んだ。防御系は前線へ、後方支援系はその後ろと言った感じだ。
「碧、そろそろ始めるぞ。」
俺がそう言うと碧も射撃体勢になった。
そして戦闘が始まりそうになった瞬間、俺らはAランクの女の方を同時に狙撃した。だがさすがにAランクなこともあってダウンはできなかった。しかも反応速度が早くそいつの周りは氷の壁で覆われた。
「さすがの対応だ。だが残念だったな。」
俺はそう言って手元のボタンを押した。
その瞬間、大爆発が起きた。その爆発によってクラスメイトは大半がダウンし、脱落した。
「碧、今だ。」
「わかってるよ!」
そして俺らは粉塵が舞い上がっている中で立っている人を無差別に狙撃した。これは索敵を持っている俺と狙撃の能力で狙った相手の姿が見える碧にしかできない芸当だ。
視界が戻る頃には立っているものはいなかった。今のでAランク2人、そしてうちのクラス全員を倒した。このバトルロワイヤルは残り何人まで生き残ったかと、倒した人数で順位付けされる。しかもAランクを倒そうがFランクを倒そうが1人にカウントされる。ならできるだけ弱い連中を倒した方がいい。固まって行動してるバカはうちのクラスだけだろうからおそらくキル数は俺らがトップだ。
「碧、フードを被って顔を隠しとけ。おそらくこんだけ大きなことをしたらカメラで中継されている。俺らだってバレたらまずいからな。」
「だから言ったのに。まぁもうやっちゃったけど。それでこれからはどうするの?」
「とりあえずすぐにここから移動する。そして敵がいたら倒す。そうしながら隠れ続けるだけだ。」
「移動ってもしかして、」
「もちろん想像通りだ。」
俺は碧を持ち上げる。そして跳躍を発動する。
さっきの場所からだいぶ離れたからもういいだろう。さすがに俺も疲れたな。
「あのさ、僕も一応女の子なんだけど。この持ち方どうにかならない?」
俺は今碧を小脇に抱えているわけだが、
「じゃあどう持てばいいんだ?」
「それは、その、とりあえずもういいから下ろして。」
碧を下ろして俺らはしばし休憩をとった。
俺と碧は疲れからか少し寝てしまった。気がつくともう周りは暗くなっていた。隣では碧が寝ている。索敵にも反応はないしとりあえずは起こさなくてもいいか。それにしても不意打ちではあったがAランクを2人もあっけなく倒してしまった。Aランクとはいえ太刀打ちはできるものなのだろうか、それともAランク内でも差が大きいのだろうか。正直未知数ではあるな。
ポイントを確認すると結構貰えていた。これならAランクの能力1つくらいなら取れそうだ。俺も疲れたしもう少しだけ寝るか。
そうしてバトルロワイヤルの1日目は終わった。




