7/7
あなたはいい子?
……遅くなっちゃった。
家に帰る途中にある、木々で出来たトンネルを通るときは、ちょっと怖い。
おばあちゃんが言うには、夕方──黄昏時、とか言うらしいけど──そこのトンネルには、出るらしいんだ。
何が出るの? そう聞いてみたけど、おばあちゃんは笑って答えてくれなかった。
けれど、悪いものじゃないらしい。
通る相手が良い子なら、なおさら。
……遅くなったって言っても、友達と遊んでいただけだし……私、悪い子じゃないよね?
そう考え、ランドセルを揺らしながら木々のトンネルを通り抜けようとする。
と、そのとき。
──カラ、カラカラン……。
何かが、すぐ後ろで聞こえた。まるでお祭りのときに履く、下駄みたいな音が。
ぞっとして、私はダッシュで走り出す。
すると、誰かの声が、辺りに響いた。
あなたはいい子? そうじゃないと──。
思わず立ち止まり、辺りを見回す。……誰もいない。
ほっとした私の耳に、こんな言葉が届いた。
──連れて行くよ。