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最高の肥料
私は今日も、庭のトマトを収穫する。
──うん。今日も、いい出来。
私はちゅっと、採ったばかりのトマトにキスした。
そうしていると、庭越しに隣の奥さんが声を掛けて来た。
「おはよう。お宅のトマトはいつもいい出来ねえ。ウチなんか、小さくて割れたのしか出来なくて……」
出来がいいのは当然だ。
だって、最高の肥料を使っているんだもの。
そんなことを考えていると、隣の奥さんが聞いてきた。
「そういえばご主人、しばらく見ないけど、出張中なの?」
その言葉に私は、トマトの植わっている地面を見る。
それからただ、笑顔だけで応えた。