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第4話 学校のお姫様とお買い物デート

そんなこんなで、俺は向井さんがよく行っているという服屋に来ていた。


「あした土曜日なんだから服変えなく⋯⋯すいませんでした」


向井さんがこっちを睨みつけている。大人しく買おう。


「ささ、入るよ」


中に入ると明らかに高級そうな服が並んでいた


「ようこそ向井様。いつもありがとうございます。今日は⋯⋯えっと。お連れ様でございましょうか」


そう言って話しかけてきたのは60歳くらいのここの店長?だった。


「うん。そうそう。プロチームで一緒の人。男用の服ってどこにある?」


「その方のサイズに合うようなものでしたら、あちらに」


「ありがとねー、新羽おじさん」


俺が何も言えずに突っ立っていると、向井さんがはやくーと手を振ってきた


「あの人は?」


「この会社の社長さん」


「お前は何者なんだよ⋯⋯」


「すごいのは私じゃなくてお父さんだよ」


今まで聞いたことの無いような少し悲しそうな声で話した。


「ま! 私も偉いからあんなこと出来るんだけどねー」


俺はその言葉がさっきの言葉を消すかのように思えてしまった。俺は向井さんのことを全然知らない。今日仲良くなったばっかりである。そんなことを思ったらなにか悩んでいるのかなんて怖くていえなかった。


「とりあえず服ちゃっちゃと選んじゃおうぜ。早くゲームしたいし」


「ほんとにゲームすきなんだね」


「そりゃあな。それはお前も同じだろ?」


「もちろん! だけど今はそれと同じくらい友沢くんを着せ替え人形にするのが好き」


「着せ替え人形いうな」


「とりあえずー。これとこれとこれ来てみて」


「あい」


「返事ははい!」


「はいはい」


「はいは2回も要らない!」


「これテンプレよな」


「お前はおかんか! までだよ友沢くん」


「それは地域差だな」


「あれに地域差も何も無いでしょ。着替え終わった」


「まだ」


「おそいねー。早くしないとモテないよ?」


「せっかちな女こそモテないぞ」


「私はモテてるからいいんですー」


「どうだ? 着てみたが」


「うーん。却下!」


「か、かっこいいと思うよ⋯⋯。とか言えよ」


「私は恋愛ラノベに出てくるツンデレヒロインじゃありません!」


「あれ?でもさっき嫌いじゃない的なこと言ってませんでした」


「それは嫌いじゃないだけです! 早く次の服きろ!」


ちょっと照れながら言う向井さんは可愛かった。


結局その後俺はおしゃれそうな服を2着。今からパジャマを買わされた。ちなみに奢る代わりにと言ってパジャマはサメの着ぐるみ的なやつにされた⋯⋯。男が着るもんじゃないだろ⋯⋯。でもお金を出してもらっている以上これを着るしかない。


お金は⋯⋯、えっと⋯⋯?30ま⋯⋯。んー? 多分1桁見間違えたんだ。そうだそうに違いない。


「さてさて、友沢くんとお泊まりということで」


「ほんとにお前がクラスでお姫様って言われてるのか疑うわ」


「残念本物です」


「というか前から聞きたかったんだけどさ、なんで喋って1日なのに俺はタメ語で話したり、家に呼んだりするんだ? やっぱり安全そうだからは無理があるだろ」


「うん。そうだよね。おかしいよね⋯⋯」


向井さんはさっきまでの明るい雰囲気と変わって悲しそうな顔をした。


「いや、別におかしいとは⋯⋯。まあ思うけど、別に嫌では無いな」


「ちょっと長くなるけど理由話してもいい?」


「うん」


「私ね、ほら、親が親だからさ、昔からずっとお手伝いさんみたいな人に敬語でいなさいとか、礼儀正しくありなさいって言われてたんだ。そりゃあまあ大企業の娘ですからある程度のマナーは必要かもしれないけどさ。昔からずっと私は会社のために頑張ってたってわけ」


「うん」


それでね、小4の時かな? お父さんの部屋にあったパソコンで初めてゲームをしたんだよ。多分いつもの生活の反抗的な意味もあったと思う。それでゲームをやるうちにどんどんゲームが楽しくなって行って、今ではこんなに強くなった。だから私ゲームが大好きなんだ。だけどね、うちの学校はほら、うちの会社がやってるんだよ」


「えそうだったの?」


「そうそう、だから私もその学校に入れられて、お手伝いさんはここはあなたの会社の学校だからって小学校から今までずっとお姫様みたいに礼儀正しく生きてきた。それでその殻を破れる場所がないかなって時にこのプロチームの募集をみたんだ。それであなたと会って。私、初めてゲームの話をたくさんして。めっちゃ楽しかったの。めちゃくちゃ。だからね、友沢くんは私の初めてのゲーム友達ってこと。実はあなたがBulletに入ること知ってたの」


「え? ストーカーじゃん」


「いやいや、校門であったのも電車であったのも偶然だよ?」


「というかだからあの時からタメ口だったのか」


「そうそう。分かってくれた? 私にとって結構レアな存在なんだよ? 友沢くんは」


向井さんにそんな過去があったとは⋯⋯。


「よく頑張ったな」


「え? 私の事落とそうと思ってる?」


「人が心配してやっとるのに何たる失礼な」


「ふふふ。ありがと」


「というかなんで俺がプロゲーマーなこと知ってるんだ?」


「いや、まあそれはねぇ」


「ん? なんだ教えろ」


「その、なんと言いますかぁ」


「言わないとサメのパジャマ着ないぞ」


「黒田さんとの会話でosって言ってたから気になって、黒田さんから色々聞き出しまして」


黒だァァ! 何やってんだお前ェェ


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