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第1話 学校のお姫様と偶然の鉢合わせ

俺の名前は友沢(ともざわ) (あき)

高校1年生である。


「あ!あれお姫様じゃね?」


「あ、ほんとだ。やっぱ可愛いよな。付き合いてぇ」


俺たちの学校にはお姫様と呼ばれる女子がいる。

向井由莉(むかいゆり)である。


その名の通りとてつもない美少女で、性格も穏やかだと聞く。周りにはずっと陽キャの男子か、女子に取り囲まれている。正真正銘のスクールカースト最上位だ。


つまり俺とは真逆の存在ってこと。

なにしろ俺は陰キャでゲーム好きでオタクである。女子ともまともに喋ったことがない。別に悲しくなんかない。


なぜなら俺は昔から好きだったゲーム「os」でプロをやっている。最近プロチームに所属できたのだ。つまり俗に言うプロゲーマーだ。


「ほんと姫様って男子からも女子からもモテモテだよなぁ。いくら可愛いといっても1ヶ月ずっとこんな騒ぎになるか?」


「だよなぁ。たしかに可愛いとは思うが」


そう言って話しかけてきたのは俺の高校でできたオタク友達。黒田奏斗(くろだそうと)である。オタク友達といっても俺と一緒にゲームをやっているわけでは無い。だが俺の唯一の友達である。


ほかの友達? いやだってさ。知らん人いっぱい居るし話しかけに行きたくないじゃん。ネットでいいやん。しかも俺はゲームをするために上京してきたため、同じ中学の人がいない!


「噂によるともう5人ほどに告られてるらしいぞ」


「は!?まだ入学して2ヶ月だぞ!? さすがに嘘だろ」


「秋みたいなぼっちには縁のない話だがな」


「お前だってそーだろ」


「あれ?俺彼女できたって言わなかったか?」


「は?え?そーなの?」


「うそだけど」


「死ね」


いやまあでも冷静に考えればこんなオタクに彼女ができるわけが無い。奏斗はゲームというよりどちらかというとアニメ方向にすごい。まあそんなだから2人して彼女いない歴=年齢だ。

奏斗がいつものようにお昼一緒に食べようぜーと行ってきた。

だが残念だったな奏斗。今日はとてつもなく大事な日なのだ!


「あ。そうそう、今日プロチームの初の顔合わせがあるから俺先早退するわ」


「なん⋯⋯だと⋯⋯」


「残念だったな!」


「俺を1人にするなんて⋯⋯。これは彼氏として失格ね⋯⋯」


「彼氏になった覚えは無い」


「でも俺たち⋯⋯心の友でしょ⋯⋯?」


「⋯⋯」


「おいちょっと考えるなよ、どう返せばいいかわからんだろ」


「自惚れるな。どうやってその口を縫おうかと考えてただけだ」


「その右手で目潰ししようとすんのをやめろ。えちょ、えまって、秋ぃぃ⋯⋯はやまるなああああ」


さっきまで一緒にお昼食えないのがちょっと申し訳ないなと思ってたのが馬鹿らしい。このキモオタは置いておいて俺は校門へと向かった。


こんな普通に早退がゆるされるのかって?この学校はそーゆーとこが緩い。子供が頑張ってることであれば応援するぜー、みたいな感じで理由があれば早退も簡単にできる。神だね。


さあさあ早く帰ろう。今日は初めてプロチームのオフィスに行くのだ。そんなことを考え歩き始めると、驚くことに校門で後ろから声を掛けられた。


「あ。こんにちわ。友沢さんも帰るんですか?」


なんとさらに驚くことにそこにいたのは学校一の美少女。向井 由莉だった。

こんなところで会うなんて。というかよく俺の名前覚えてたな、話したことないのに⋯⋯。これが陽キャぱわーと言うやつか。


「あ、向井さん。名前覚えてたんですね」


咄嗟に敬語で応戦する。全陰キャ!こういう時敬語出るよな?そうだよな?


「もちろん。同じクラスですしね。そちらこそ覚えているじゃないですか」


「え、あ、うん。向井さん有名ですしね。向井さんも帰るんですか?」


「はい。少し用事がありまして」


そういえば向井さんはたまに早退するって言ってたな。

奏斗が「多分なんかのモデルとかやってんだろ!」って言ってた気がする。


「仕事とかなにかやってるんですか?」


仕事だと思った俺の言葉に反応したのか、向井さんはちょっと驚いたようにこちらを見た。そしてちょっと考える素振りを見せ、


「秘密です」


とびっきりの笑顔を向けてそう言った。可愛い⋯⋯。これはモテるわ⋯⋯うん。


「友沢さんは?」


「えっ。えーっと⋯⋯」


んーなんて答えようか。俺はあまりプロゲーマーの事を言っていない。それこそ家族と奏斗くらいだ。まあまず言う友達がいないしね。


「んー。俺も秘密ですね」


「そう言われると気になりますね」


「それはお互い様ってことで。じゃあ気をつけて」


「はい、友沢さんも気をつけて」


そんなこんなで俺は向井さんと別れて帰路についた。

初めて話したけど可愛かったなぁ。さすがお姫様と言ったところだ。だけどちょっと礼儀正しすぎてビビったけど。でも高嶺の花すぎて怖い。多分もうほぼ話すことは無いだろう。明日奏斗に自慢しておくか。


今はそんなことよりも今日行くのは東京のオフィス⋯⋯! 楽しみ。しかもチームメンバーはみんなプレイヤーネームしかしらないから実際に会うのは初めてなんだよなぁ。


よし、持ち物の準備をするか。なんと嬉しいことにpcは向こうにあるらしい。しかもつい最近でたばっかの高性能pc!おらわくわくすっぞ!これがプロチーム入ることの利点だよね。


さて、準備もできた事だし夢の東京へ出発しますか!俺は神奈川住みだから初東京だぜ!えっとオフィスの場所は⋯⋯赤坂だっけ⋯⋯?赤坂ってどこだ?こんな時は⋯⋯助けて!ぐるぐる先生!


そんなこんなでなんとか俺は赤坂行きの電車にのった。ふぅー。一安心だぜ。


「あら⋯⋯。奇遇ですね、友沢さん」


「え?」


そこにいたのはまたしてもお姫様。


「ふふふ。そんなに驚かないでください。さっきぶりですね」


「驚くなという方が難しいですよ」


「まあ私も正直驚いていますからね。渋谷に行かれるんですか?」


「いや。赤坂に行くんですよ。でも初めての東京だからちょっと迷いそうで怖いです」


「あら。友沢さんも赤坂にいくんですか?」


「ってことは向井さんも?」


「そうなんです。結構赤坂にはいくんですよ。」


「え!まじっすか!まじで東京わかんなくて⋯⋯。乗り換えとかちょっとついて行かせてくだせぇ」


「ふふふ。喋り方変わりましたね」


「あ⋯⋯⋯⋯。なんのことですか?ちょっとわかりませんね」


「それはさすがに無理かあるんじゃないんですか友沢さん。それに、私はさっきの喋り方の方が好きですよ?」


「す⋯⋯!? うん。じゃあこれからはタメ語で行かせてもらうことにするわ」


「はい。やはりそちらの方が私は好きです」


「⋯⋯⋯⋯やべぇ⋯⋯」


あの向井さんから出る好きは本心じゃないとわかっていても来るものがある。


「あら?なんのことですか?」


「なんでもない」


「私がさっきから、無自覚っぽく好き好き言ってることですか?」


「分かってるのかよ!!! 無自覚鈍感系お姫様かと思ったわ!!!」


何だこのお姫様⋯⋯。案外ノリいいのか?


「むっ⋯⋯ぶはっ、むじか⋯⋯ふはっ⋯⋯無自覚鈍感系お姫様って⋯⋯くくっ」


あれ。なんか向井さんものすごくツボってる。というかこんな大胆に笑うんだ。


「む、向井さん?」


「ふふっ⋯⋯はぁ、ごめん。ちょっと面白すぎて⋯⋯。よくそんな言葉思いつくね」


「まあね⋯⋯。友達が漫画とかアニメとか好きだからなぁ」


「あーよく一緒にいる子?黒田さんだっけ」


「そーそー。ほんとにみんな名前覚えてるんだな」


「まーねー。結構大変だったけど」


「というかさっきからそっちも敬語消えてるけど」


「あ⋯⋯。家ではこれだからつい⋯⋯。でも友沢さ⋯⋯、友沢さんって違くない? 友沢くんでいい?」


「え⋯⋯あ、うん」


「そうそう。でそうそう、友沢くんはタメ語でも気にしないでしょ?」


「気にするとは」


「ほら、学校じゃ私めっちゃ丁寧だし、お姫様とか

言われてるでしょ?」


「そうだな」


「だからみんなそれを望んでるんじゃないかなって思って」


なるほど、やっぱりお姫様も苦労してるのか⋯⋯。


「でもまあ友沢くんはこっちの方が好きそうだからね」


「好きって⋯⋯。すぐそういうこというからいっぱい告られるんだぞ? 彼氏とかいないのか?」


「残念ながらいないんですよねー。友沢くんが彼氏になってくれればいいんじゃない?」


こいつ⋯⋯。すぐそーやって⋯⋯。女慣れしてない俺をなんだと思ってるんだ。


「それはないな、俺と向井さんじゃつり合ってない」


「そう?結構友沢くんかっこいいと思うけどね」


「く⋯⋯」


「あれれ?照れてます?」


「しょうがないだろ!まともに女子と話したこと無いんだから!」


「それもそうだね」


それはそれでなんか傷つくな⋯⋯。


「あ⋯⋯⋯⋯⋯⋯ああああ」


「ん?どうした?」


「乗り過ごした⋯⋯」


「え!? まじ?」


「まじまじのまじ」


「今何時だ!?」


「2時半」


「赤坂着くのは?」


「3時くらい?」


「俺3時まで赤坂のビルにこいって言われてるんだが⋯⋯」


「大丈夫私も3時にビルの受付って言われてる」


「何が大丈夫なのかわからんが急ぐぞぉぉぉ」


「いやまってよ友沢くん道わかんないんでしょ!!」


「あそうだった」



─────────



「はぁ⋯⋯はぁ⋯⋯」


「何とか着いたな⋯⋯」


なんとか3時前に赤坂に来ることができた。


「ええそうね⋯⋯」


「俺そこのビルだから。今日はありがとな、助かったぜ」


今までの俺ではありえないような体験を沢山したし

。女子と喋れると楽しいな。もう今後一切ないだろうけど。


「⋯⋯」


というかなぜかさっきから向井さんが黙っている。


「ん?どうしたの向井さん」


「⋯⋯私もそこのビル」


「え⋯⋯? どゆこと⋯⋯? ちなみに何しに来た?」


「ゲーム」


「もしかしなくてもBulletって聞いた事ある⋯⋯?」


「うん⋯⋯」


「まじかよ⋯⋯⋯⋯⋯⋯」


俺はどうやら学校一の美少女と同じプロチームに入ったらしい。

今回初めての投稿となります。 teiです。出来るだけ毎日投稿出来るように頑張るので応援よろしくお願いします。

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