第4話 「俺のクマに意地悪は辞めてもらおうか!」
悪役令嬢転生、侯爵様系?のコメディーです。第4話目です。何故か続いています。
お暇な方、ぐったりしたいときにどうぞ…。超短編。
第4話 「俺のクマに意地悪は辞めてもらおうか!」
城の華やかな宴が、既に始まってる。
立食。テーブルは無く、次々と給仕たちがワインを運んでする。食事も一口サイズで皿に盛りつけられ、何時でも何度でも手に入る。あ、なんか歌みたい。くす。
でも、メイクが心配だから、ワインしか口にしない。
結婚4日目。
今日は、建国記念日。城で、ぱーちーがある。公爵夫妻は当然出席だ。
「あら、もしかしてアンタ、ルイメリア!?」
捨てたはずの名前で呼ばれ、驚いてアタシは振り返る。
肩まで伸びた金色の美しいウェーブ、大きな瞳、小さな顔のつくり、ほんの少し丸みのある顔が可憐さを引き立てる…。
嫌でも、忘れられない顔。天然系にみえて腹黒い、転生前のヒロイン!メルティメア!!
「め、メルティメア!?アンタも転生したの!?」
指でち、ち、ち、とやる彼女。
「今の名前はメルティーよ。間違わないで。」
「それを言うなら、アタシだって今はルイミアよ。覚えといて。」
「お互い苦労したわね~。そう言えば、初めて会うわね。社交界デビュー?」
「ふん。私は慣れてますってかぁ?」
「そうよ?アンタが処刑されてからぁ、アタシはちゃんと伯爵様と結婚して~。92歳まで生きたハッピ
ーエンドなのよ?アンタと違ってえ。」
「………あっそ。その割に随分キャピキャピだなオイ。」
「あんた17歳で処刑じゃ~ん。もしかしてさ、オトコに愛されたこと無いんじゃな~い?悪役令嬢~?」
「………」
悔しい…その通りだから悔しい…あ、ちょっと涙でてきちゃった。
「あ、ごめん。泣かしちゃった?アタシほら、この世界でもイヴォール伯爵様と結婚しちゃって幸せだから、不幸な人の気持ちわかんなくて。ごっめーん。」
くっ! この世界では「愛さない」なんて言われちゃったよ!
「よしよーし、なでなで~」
「ちょ、やめてよ!」
コイツ!撫でるとか言ってアタシの髪を崩してる!ひど!
「やめろ。」
メルティーとアタシの間に入る人影。メルティーの手を払う。
「俺のクマに意地悪は辞めてもらおうか!」
「うわーん!いい所ぶち壊しだよー!!もはや誤字でも何でもねえー!」
「つ、ツマですって!?」
何、流してんだよー!ツッコめよ!!
「ちょっと来い!物陰来い…!!メルティー、ちょっと待ってて!」
「ルイミア、右手ギブ、右手はギブ!」
「…いいか!!」
「ハイ!すみません!」
「…ありがと…。」
「ルイミア…。」
キリっ
「イイか、さっきの調子で頑張れ!ちょっときゅん来たぞ!」
「ハイ、頑張ります!」
「メルティー、お待たせ。」
「終わった?では…」
「俺のツマに意地悪は辞めてもらおうか!」
「つ、妻ですって!?」
メルティーはアタシ達を交互に見て驚愕。
あ、これ、もしかしてザマァ系入った?
「こ、こんな年下イケメンのマキアス専務と!?」
「専務どっから来たー!!」
「イヴォール課長よりずっとイイじゃないの!悔しい!!」
「続けんなー!!」
「メルティー、ちょっと来い。こっち来い。影来い。」
「い、痛い、やめて悪役令嬢!」
「座れ…そこの椅子座れ…このノートに<公爵>200回書け…」
「ハ、ハ、ハ、ハ、ム、ム、ム、ム…」
「似た者同士かコラァ―!?」
「よく見たら他にも沢山文字書いてあるわね~、祝いのノート?」
「祝いで書くかー!」
「今のうちに勝利の余韻を味わっておくが良いわ!ははは…!」
「誰アンター!?」
メルティーはまだ書きかけだったけど、夫がノートを奪って止めた。
「伯爵夫人、妻が失礼したね。向こうへどうぞ。ただし、もう二度と、妻への嫌がらせは辞めてもらおう。」
メルティーは、プイっと踵を返しパーティーへ戻った。
「ルイミア。」
「何でしょう?」
「聞くとはなしに聞こえてしまったんだが」
「はい…。」恥ずかしい。聞かないでよ~!
「誰にも愛されたことが無いって?」
「…笑う?この世界でも継続中よ?」
もはや自虐。
「いや、継続中じゃない…。」夫はアタシを見つめる。
「え!?」期待にときめくアタシ。
「キミから目を離せない男を良く散っている。」
「…既に散ってたー!!」
「座れ…このノートに100回書け…左手で書け…<知>、100回書け…。」
「え、100回で良いの!?やっさしー!」
「ストックホルム症候群かコラァー!?」
あぁ、何故、良い雰囲気になりかけるとぶち壊される!?
愛されたいよぉ~!!