第22話 「その者、草原に折田つべ氏」
お庭の手入れをする公爵夫人ルイミア。目の前に現れる謎の老紳士。その名は、折田つべ氏。
アホな戦いが、また始まる。でも目指せ、出来あい系。
超短編、脱力系です。お時間のある方、下らないモノ好きな方、ぜひ。
第22話 「その者、草原に折田つべ氏」
公爵家の裏庭で、水を撒くアタシ―。
るらららーん。
マキアス様早く帰って来ないかなぁ~ん。
…む、雑草発見。
抜かないと☆評価、上がらないもんね。クス。
「ルイミア様、意外とありますねえ~。」
侍女たちも手伝ってくれてるけど、意外と多い。
その時。
シルクハットの様な高く黒い帽子を被った初老の紳士が、裏庭に居るアタシ達に声を掛けて来た。
胸には薔薇。立派な口ひげ。
「おお、こちらに発射しましたか、ご婦人。噂通り、お英くしい。」
「ミサイルは撃ってねえ。」
「おっと失礼、名を名乗れ」
「いや、先に名乗れ!」
ううむ、いつも通り変なのが来たぞ。
アホ紳士だな。この国のでふぉるとだなー。
「うむ、吾輩の名は、折田つべ。」
………は!? どこかで聞いたぞ?
「…草原に折田つべ氏!?」
やべえ!紳士の後ろに金色の草原が見える。
「ふぉ、っふぉ、っふぉ…w」
「…ばるたん?」
「いや、ばるさんは強すぎるのだ…聖女よ…」
「何に!?」
「そう、例えばそなたの咲かせたその花ように!」
何!? なんか格言来るのか謎紳士!?
「…なんだっけその花?」
「チューリップぐらい覚えろ!」
「そう、その、ちゅー〇っひ」
「安心できそうだな!」
「そちらのリーンカーネーションもだ…」
「生まれ変わるのか!?」
「いや…満ち満ちているだろう!肥料に!」
「そりゃそうだろうよ!」
「あー!こちらにいらっしゃいましたか!」
マキアス様だ。
あれー、マキアス様が敬語で話すってことは~?
「マキアス様、折田様は隣国のご貴族なの?」
「違うんだルイミア!この方こそ、オレの剣の師匠!折田つべ師!」
「<師>変わってるぞコラぁ!」
「ふぉっふぉっっふぉ…」
「東洋の剣技、<草原に>流の達人!」
聞いたことねえー!!
「世界的3人の大剣豪!<草原に折田つべ氏!> そして<草原に猫呂ガルベ氏!>」
「寝転がってるだけじゃねーか!」
「そして!<草原に生えルベ師!>」
「<生え>って苗字じゃねえだろお!」
「おっと、お嬢さん、吾輩の力を疑うか…?」
「いえ、そのような!師匠!」
「…なぁに、軽く見せてあげましょう、我が剣技…安心せい、マキアス。ご婦人に傷などつけぬよ…」
折田つべ氏は、胸にさしていた薔薇を持って、アタシに言った。
「お嬢さん、かかって来なさい…吾輩、この薔薇で、ことごとく受け流して見せよう…」
「…ルイミア、やめておけ。この方はホンモノだ。オレが代わりにやろう。」
「んん。マキアス様、アタシも元悪役令嬢。武芸の心得はありましてよ。」
「折田様、勝負!」
アタシは、ジョウロを構えた!
「むむむ!!見事ナリ!水滴ならば、受けきれぬとの策か!おう!流石は聖女疑惑!」
「疑惑いうな!」
「とおおりゃああー!!」
「おうさあああ!!」
しゃき―――ん!! 交差する、影!
「な、何てオヤジ…全ての水を薔薇で受けきるとは!さすがマキアス様の師匠!」
負けたか…。
「ふふふ、見事、聖女…ぐはあ!」
紳士、倒れる。
「折田師匠!? る、ルイミア!狩ったのか!なんてキミは強くて美しいんだ!」
「やだぁ、まきあすう…」
「るいみあ…」
「こほん。あー、コホン」(侍女)
「おっと…、し、師匠、大丈夫ですか!?」
「ば、薔薇のトゲ痛かった…!」
あほかー!!
「では、歯医者は去るとしよう。」
最早ツッコむ気がせん。誤字を書かせる気もせん。
「さらばだ!マキアス!大した嫁だ!弟子入りは何時でも歓迎会だ!」
…会は要らん。
折田サマは、裏庭から、とおっ!と塀を飛び越えて、草原に消えて行く…。
「その者、草原に折田つべ氏…」
アタシ達は、何故か涙を流しながらその背中を見つめていた――。
続くー。




