第2話 「夫に竿顔を見せないのか」
勢いだけで書く第2話です。コメディーです。超短編です。お暇な方どうぞ。
悪役令嬢転生で公爵様モノ?です。
第2話 「夫に竿顔を見せないのか!?」
夫に、「キミを受するつもりはない」と言われ衝撃で始まった新婚初日。
結局、夜通し漢字練習でオワタ。なんだこの結婚記念日。めっちゃ思い出に残る。悪い意味で。
んで、そのあと、完徹の旦那様はお仕事に出かけた。城に出向いて、軍議だそうだ。
すっごく眠そうで、迎えに来た友人が、ナニかを勘違いして囃し立てられていた。
―――夕刻。
「今帰った。」旦那様が帰って来た。
侍女たちと共に、一応、出迎える。
「お、お帰りなさいませ。」
顔が引きつる。これからこの人とどう接していけばいいんだ?アタシは。
夫は、その表情が気に入らなかったらしい。
「夫が帰って来たのに竿顔も無いのか…」
「え、あ、ごめんなさ……」
・・・・・・・
「ぱーどぅん??」
「だから、夫が帰って来たのに竿顔もないのかと…」
「ちょと来い。寝室来い。はよ来い。」アタシ夫の手を掴む。
「あ、ちょっとまっ…ルイミア?」
夫を寝室に引き摺り込む。侍女たちがザワついてる。
べしっ!とノートを机に叩きつけ!
「<竿>はこう!<笑>はこう!竿顔ってあんだ?アタシの顔そんな細長いか?あーん?」
「ハイ、ごめんなさい」
「800回な!」
「嫌です。助けてください。」
「やれ。」
「ハイ。竿竿竿竿竿竿竿竿…これって羊に見えてこない?」
「うるさい。」
「…ハイ。羊羊羊羊羊…」
「予想どおりだよ!今世界中が予想してたよ!」
「すみませーん!竿竿竿竿…!うおお!」
「考えてみたら、<竿>じゃなくて<笑>だろ!危うく気付かない所だったよ!!」
「そうだったー!」
夫は腱鞘炎を押さえながら学習帳を埋めた。ちなみに表紙はカブトムシ。
「お、終わりました…ぐああ手が震える!」夫は右手を押さえる。さもありなん。
「お疲れ様!」アタシはニコッと、精一杯の笑顔をくれてやった。
…すると、意外にも、夫は顔を赤くして目を逸らした。
「キ、キミは笑うと、その…索敵なんだな…。」
・・・・・・・・
「ちょっと座れ。2冊目持ってくっから座れ。いいから座れ。」
「ああ?俺はなんかしたのかな~!?」
「<索敵>、はこう!<素敵>、はこう!!」
「あ、ほんとだ」
「アタシはレーダーでも積んでんのか!?髪の毛でアンテナか?ああ!?」
「確かに逆立っているけど!」
「うるせえー! 書け!1000回書け!!」
「うあああ、許してください~!」
「ダメだ。やれ。」
「ううう、索敵索敵索敵索敵索敵…頑張ってるでしょ?」
「だから、頑張る方違ってんだろー!」
こうして、深夜。アタシと、夫は疲れ切ってベッドにばったり倒れこんだ。
向かい合って、ちょっと、ぷぷぷ、って笑った。
「…ルイミア、やっぱり君の笑顔は、その…悲哀いな。」
「アタシの笑顔はそんなに悲惨かー!!」
がば。
背を向けたまま立ち上がり、アタシは言った。
「…座れ…。」
…完徹、2日目!
つづく(率70%)