第18話 「わたしリカちゃん」
悪役令嬢・公爵様系?の短編パロディーです。
目指せ。出来あい系。
切れ芸ルイミア、マキアス様と仮設お化け屋敷へ。狙え、悲鳴からの…。
短編です。くだらない話で脱力したい方、お時間と心にゆとりのある方、是非。
第18話 「わたしリカちゃん」
定番のお化け屋敷に来ました。
春の感謝祭での出し物。こんなものまであるこの国はかなり平和だ。
勿論、マキアス様と入るのよ?
ふ、ふふふ、既に本物とやり合っているアタシは怖くなどないが、悲鳴を上げてやる。くっついてやる。怖がってぺったりしてやる。ふふふのふ。
でろでろでろ~んっとした入り口を二人で入る。
早速何か出て来た! チャーンス!
へんな白い服のオジサンが!出て来た!
「オ~マ~ケ~だぞおおお!」
「きゃ………オマケくれるだけのオジサンか!」
「はい、食玩ドウゾ。」
「あ、ほんとだオマケついてる。」
「ふふふ実はその食玩は!」
「なに受け取るとまずいヤツ!?」
「未だ倉庫に山積み……」
「こ、怖い!!」
「発注まちがえちゃった…」
「うわ~!頑張てえ~!」
「気にいったら買ってネ…?」
「ここで販路拡大目指すなー!」
「ではごゆっくり…。」
まぁ…旨かったら買ってみよう…
…とりあえず進む。う、ここ、廃病院系か!!
ぐはぁ!マジこわなんじゃない!?
「マキアスサマー!」
マジ怖いから抱き付いちゃえエイ。
あ、なんか硬直気味だぞオイ。
「だだだ大丈夫だあああ!」
「ケンさんか!」
あ、なんかいる!病院ベッドの下に何かいる!
絶対這ってくるヤツ―!いや~!
ごそごそごそ…
うあー!来る!きっと来るー!
ごそごそ…ベッドの下から恨めしい声が…聞こえてくる!!
「財布どこ落としたっけ…!?」
「うわー!確かに怖いー!」
「カードも入りまくり…」
「うわー!もっと怖いー!」
「しくしくしく…」
「いいから早よ出て電話しろー!!」
はぁ、何だろうここのスタッフ。アホなの?ALLなの?
今度は、天井で気配がする。ずりずり音がする!!
こええええ!
「マキアス様あああん!」ぺったり。
「だ、大夫人だルイミア!」
「アタシは巨大な夫人かぁ!?ああん!?」
「書け…ここで何だがノートに200回書け…大丈夫200回書け…!」
「ハイ! 怖く無い、怖く無い、怖く無い…」
「怖がりか!ああん!?」
「何を言う!ヒヒヒいばあ様も平気だったオレがお化けなんてこわエエー!」
「また壊れたー!?」
「すみません、終わりましたか漢字練習?」
上からなんか怖い声がするー!
これ、終わったって言ったら出て来るだろ!!
「終わってませーん」
じりじり進むアタシ達。
「終わったんじゃ?」
「終わってませーん」
更にじりじり進む。
「終わっただろお!!」
なんか上から白い人降って来た!
「アウチ!!」
そして動かなくなった。
「…下、蛇着てるから受け身取れないの…」
「ならやめろよ!」
急いでゴールに向かう!
目の前に!でっかい薬局の人形が立ちふさがった。
しかも妙に古くてこええー!!
両手に電話を持っている。
左手の電話をアタシに渡してきた。
「プルルルルルル…」
「ハイ、ルイミアですう。」
「わたしリカちゃん、今、目の前に居るの。」
「知っとるわボケェ!!」
「わたしリカちゃん。電話代も馬鹿にならないの。」
「オマエの家計など知るかー!」
「ところでさっき、財布拾ったの。」
「ベッドの下に居るヤツに返してやれェェー!!」
ぜえぜえ、あちゃし達はやっと恐怖の廃病院を抜け出した。
…感謝祭の出し物がなぜここまで凝っているのか謎だ。
まったくも、マキアス様ったら怖がっちゃって!意外と可愛いんだから。
「だ、大丈夫だルイミア!オレの剣は代々受け継ぐ魔剣!魔物も切れる業物だ。イザという時は、必ずお前を守って見せる。」
「ふふ、マキアス様ったら!」
アタシは見た。マキアス様の後ろに、いつの間にか近づいていたリカちゃんが、その話を聞いてスタコラ逃げ出すのを。
「きゅう。」アタシ、気絶。
「どうした!しっかりしろ!オレが憑いてる!」
ちょっと嫌な誤字だけどアタシは狙い通り抱きしめられたのだったー。
お化け屋敷は二度と行かねえぞおー!