第15話 「ワクワク空中DIEビング(満たされる日、その①)」
悪役令嬢・公爵様系の短編パロディーです。
今回の語り部はマキアス公爵、惚れてるのがバレバレながら素直になれない公爵様、ついに動く。
今回はアホ少なめ、一応ラブコメであることをたまに思い出す第15話。
お暇な方、お気楽が好きな方是非…。
第15話 「ワクワク空中DIEビング(満たされる日、その①)」
俺はマキアスという。
親父から公爵を引き継ぎ、同時に政略結婚で妻がついて来た。
豪商の娘だった。オレには、金と引き換えに公爵家の名を売った様にしか思えない。
腹立たしい。オレのプライドは、妻にキツイ当たりをさせた。
「キミを愛するつもりはない!」
オレは、その瞬間から妻に悲しい顔をさせた…。
…なに、違うって?オレの独白にツッコまないでくれ。
「受」するだったって?
そうだよ!しかも怒られて漢字をかかされて、両手が腱鞘炎!
オマケにアイツ、意外と、可愛らしい笑顔で。子供っぽくて。純真で。綺麗で。
そんな訳で、オレは慢性的に寝不足だ!
アイツは、もうすっかり、俺が夜に何もしてこないと踏んでいて、最近ではスヤァーって寝てやがる!!
だがオレはそうではない!真横で薄着の美女が寝てる。ごろごろ転がって、時にはくっついて来る。ふざけるな!だが、オレはオレで、自分の言った冷たい言葉がストップをかけるので…。だから毎日オレは寝不足だ!仮眠をとるのはそのせいだ!
アイツには内緒のはなぢだがな!!(ここまで誤字なし?のはず!)
――――――――――
さて、オレは今回、アイツのおねだりを聞いてやることにした。
なんでも、アイツはSKYに行きたいらしい。なんて無茶なと思ったが。
だから、ここは、空だ――――――――――――!!
「ルイミア様、地球紀行!ワクワク、空中DIEビング!」
ぴゅー。
オレ達は今、空を飛んでいる。
飛んでいるというか、ルイミアと共にロック鳥の鍵爪にガシっと捉えられている。
ほぼ、エサとして巣に運ばれる感じだ。
ぴゅー。
「マキアス様―!!これ本当に大丈夫―!?」
「聞こえなーい!」
「本当に大丈夫―!!?」
聞こえにくいので、常に大声であることを許してほしい。
「ルイミア―大丈夫だ―!身元の確かなロック鳥だー!」
身元が確かなロック鳥とは如何なるものなのか、我ながら謎ではある。
だがここまで来たら業者を信頼するしかない!
二人の背中には、薄い布でできた、パーッと広がる傘がある。
仮にパラシュートと名付ける。語源は特にない!
とにかく。
「そろそろだー!いくぞー!!」
「そろそろ大工―!?」
「だれが源さんだってー!?」
「言ってねえー!!」
「テイクオーフ!!」
2人、空へ飛び出す!
「うわわうあわ!こわい~!!」
「慌てるな!まず両手足を広げろ!!」
ぴゅー。(落下中)
「…いや、恥ずかしいとかいいから!」
ぴゅー。(さらに落下中)
「…平泳ぎはしなくていい!」
ぴゅー。(危険水域)
「ほほほ、捕まえてごらんなさーい!」
「落下急いでどうする!!」
「一度言ってみたかった~!」
「そろそろパラシュート広げろおおお!」
「あわわ!すいっちオーン!広がれー!」
2人の布傘が大きな円を描く!
やった!!成功だ!多分、2人とも死なずに済む!!
となると途端に余裕が出る。ゲンキンなものだ。2人の位置もほぼ並んだ!
初めて見る雄大な景色だ!ルイミア!喜んでくれているか!?
「町が小さく見えるわー!?」
「人がゴ○の様だってー!?」
「変換しすぎだコラァー!!」
怒られた。
「何て素敵な眺めー!」
「何だってー!?」
「…マキアス様ありがと―――!!」
周りには誰も居ない。今だ。今しかない。
ルイミア。今こそオレの言葉を…!
…手をつないだ。そして見つめ合っ…たところで気付いた。
「マキアス様!!近づき過ぎ!?絡んでるぅー!!」
「く!ロープがDNA状態だ!離れるぞ!!」
「どうやてえー!?」
「逆に回転!!」
「…どうやってえ!?」
「ロープの絡み…こっちだ!押すぞ!」
ぐるぐるぐる。
ぴたっ。
俺たちは初めてこんなに身を寄せて抱き合った。
逆だった。
ぴゅー。加速。
「すこし幸せ」
「現実に戻れルイミア!もっかい行くぞ!さっきの逆!おりゃあ!!」
おお!頭の中に 「めりごーらん♪」の歌が響いて来る!
ぐるぐるぐる!!
だんだん解れていく!!
ぱっ!離れた!生きてる!!
あーもう、気が付いたら、地面が近い。
下には迷彩服を着て、サングラス、双眼鏡の侍女たちが見える。回収部隊だ。
今しかない。
「ルイミア―!」
「!??なに-!?」
イマイチ聞こえないか!?
「ルイミアー!話したいことがー!!」
「オレは!お前が―!!」
「オーマイガー!?」
「…アホ!!」
「アホって何だよー!!」
「き肥えてんじゃねえかー!」
「肥えてない!頑張ってるー!!」
ふんわりと、着地。
パラシュート布のベールで包まれる。
あはは!
あははー!
ふたり、笑い出す。
「あはは~!はぁ…。で、聞こえるはこう!肥えるはこう!!」
「げっ…。待って!」
「レディーのスタイルにケチつけて只で済むと思うなよ?あぁん?」
「待ってくれ~今だけは待ってくれ~!!」
「100回潰してやる!駆逐してやる!重いかどうか確かめろ!」
ばふっ!!ルイミアが全力で体を預けて来た。
「……!!」
アイツは真っ赤になった。今更、自分のしていることに気が付いたらしい。
今しかない…。
「…ルイミア!!」
ばふっと、パラシュートが侍女たちによりオープンされた。
……侍女たちは、何も言わずパラシュートを掛けなおした。
「…書け!聞こえると肥える100回ずつ書けー!!」
「まてルイミア!誤魔化しでオレの手首を犠牲にするなー!」
「書け―!!」
「…ハイ喜んでー!」
あああ!チャンスが!またタイミングを失ってしまうー!
何故か、手が勝手に動くー!