第10話 「どキューン!」
悪役令嬢転生、公爵様系?のコメディーです。
愛して貰えない公爵夫人、ルイミア様の前に野党の一団が!
超短編です。お暇な方、脱力したい方、是非。
第10話 「どキューン!」
「公爵をたぶらかした悪女、ルイミアだな?」
公爵夫人の馬車を、馬で道を塞いで止めた8人組がそう言った。
馬車の窓から驚いて顔を出した美しい夫人は、こう返した。
「もっかい言って!たぶらかした!?じ~ん!!ううう、そうだったらどんなに幸せか!もっかい言って~!」
侍女たちは後ろの座席で、涙を流したという。(悪役公爵夫人繁盛記より)
「で、ルイミアだな!?ぐふふ!」
「ちょっと!野盗っぽいですわよ?やーねーこんな街中で~物騒ね~」(道行く人々)
ルイミアは堂々と馬車を降りて来た。
「…ねぇ、アタシ本当にこの黒い羽団扇、似合ってるかなぁ?」
「当然です。ルイミア様。グッ。」馬車の中から侍女。
「ホントかなぁあ。今にも踊り出しそうに見えない?」
「だから、ルイミアだな!?ぐふふ!」
「違いまふ。」
「無理して若い言葉使わんでいいぞ。ルイミアだな?ぐふふ。」
「無理してねえよ!!お前こそ「ぐふふ」ヤメロ!」
「うーん、ルイミアで間違いないよなぁ~?ぐふふ。」
男たちは手配書のようなもの…人相書きを取り出した。
「ちょっと、アタシにも見せてよ…どれどれ…?」
クレヨンで書いた個性的な絵の横に。
←悪 モノ顔。美人だって思ってる感アリアリ。
←役 不足。ついでにバストも不足。あたしの方が上。
←令 状だされそうな表情。偉そう。自分でハイスペ思ってるけど廃スぺ。
←嬢 サマだったのは転生前!ヒロイン無理だからとっととあたしと代われ。
ぐあああ!!はらたっっつ~!!黒幕わかりやっっす~!!めるてぃぃぃぃ~!!
「ルイミアだな?ぐふふ?」
「…何でそう思うんだコラ?」
見比べてー。
「…ルイミア、だな?ぐふふ。」
「…コ○スぞコラぁ!?」
「何て乱暴な女だ!さすが元悪役(自称)令嬢!!」
「(自称)つけんなコラァ!!」
「…ま、まだわかいもん…。」
「…む、むう、確かに美人だし色っぽいし悪役っぽいし背高くてモデルの様だと我々も思うが!?ぐふふ。」
「が!?」
「令嬢かと言うと…。ぐふふ。」
「令嬢に年齢制限はねぇんだよ!!ついでに今は公爵夫人!!夫人!!ふじん?…てへっ!」
「アンタ苦労してんな…ぐふふ。」
「そうなんだよね…ぐふふ。」
「さて、衣類を果たすとしよう。ぐふふ。」
「…もっかいふぁぶりーず?」
「衣類を果たすとしよう。ぐふふ。」
「…ちょっと来い。道路の端来い…並んでここ座れ。いいから座れ…。」
「えーめんどい…ぐふふ。」
「座れ…。」
「はい…ぐふふ。」
「<衣類>はこう!<依頼>はこう!!」
「似ってるう!」
「うるさい…全員<依頼>200回書け…道路にチョークで書け…ラクガキ楽しいヨネ…書け…。」
「ラクガキ楽しい、ラクガキ楽しい、ラク…」
「そっちじゃねえ!」
「増量だ…ラクガキして済みません…も、400書け…。」
「ラクガキは消しません、ラクガキは消しま…」
「消せコラァ!」
ぜえぜえ。アタシを疲れさせるとはさすがアホ。
「で!?アタシをどうしようってんだ!?言っとくけど、シリアスに酷いことしようとすると世界の修正作用働くからな!!」
「酷い事なんてできるか!俺たちは優しさが取り柄です!ぐふふ!」
「…ジョブチェンしろ!!」
「ルイミア様!!大変です!」馬車から侍女。
「何?」
「時間が!!演劇始まっちゃいました!」
「がーん!!」
「がっくり…幕の開く瞬間が一番の鼻なのに…」
「華ですルイミア様…。」
「じゃ、俺たち帰るから。夫人、ガンバってー!ぐふふ!」
「待て…」
侍女が、怖ろしい声で男たちを呼び止めた。
「「ルイミア様を悲しませた奴には罰を与えよ。」」
馬車から5人の侍女が飛び出す。
「我ら、ルイミア様親衛隊、プライマル・リスク・エクスキュージョナーズ!!」
「ナニそれカッコいい!!アタシも入れて!」
「…略してプリキュジョ!!」
「やめとけ―――!!」
侍女たちはボーガンだのムチだのでどっかどか攻撃。男たちをズタボロにした。
リーダーのエメルダに至っては、新品高級最先端のマスケット銃を撃ちまくった。
そして―――男たちは、やって来た警察に捕まった。
―――ついでに、侍女たちも捕まった。
「何しにきたお前ら――――!!」
まーとりあえず、正当防衛と公爵家の力で、即釈放!!
ありがとう権力!
「ところで、アンタたちが親衛隊を兼ねてるなんて知らなかった…。」
(良いのか知らなくて?)
「私達は、全力でルイミア様を守るよう公爵様に組織された部隊ですので。」
「…公爵様…夫に?」
「私達は、公爵家全戦力の8割と言われる猛者ぞろい。今後もルイミア様のお幸せを守ります。ご安心を。」
全戦力の8割!?アホちゃう!?
「マスケット銃も、本来公爵様の所有物。すべては奥様をお守りするために。」
お、おっと…夫が…マキアス様が、アタシの為に!?
どキューン!どキューン!どキュンどキュンどキューン!!
「しっかり!ルイミア様!」
「撃たれた…ハートを!!」
「なんてレトロでバカっぽい!いやそんな純真なルイミア様最高―! なバカ」
「うえーん、何でそんなにしてくれるのに愛してくれないんだよ~!」
ハヤク クッツケ メンドクセエ
オマエカラ セメロ ハヨセエヤ
「何か言った?」
「いえー!ルイミア様らぶ!!」