第1話 「キミを受するつもりはない」
なんか書いてみたくなった超短編、続くかどうか不明です。かなり適当に読んでいただければ。
悪役令嬢転生、公爵様モノです?
「キミを受するつもりはない!」と言われたので漢字200回書かせた。
公爵様と結婚してしまった!
YES、政略結婚。問題ない、アタシが良ければそれでいい。パパの家も安泰だ。
旦那様は、アタシより5つ年下の23歳。つまり、アタシは28歳な訳。
外見にはそれなりに自信がある。我ながらちょっとキツイ目かも知れないけど綺麗だと思う。スタイルも気を配って頑張ってる。ヒアルロン酸も取ってる。
何と言っても、転生前は悪役令嬢で、ヒロインに役柄的に酷いことしてきた。その自責の念たるや、もう。
毎日胃が痛かった。時々生卵ぶつけられたし。それでも、お高く止まって頑張った。
んで、最終的に処刑された。らしい。ギリギリまでしか覚えてないからね。
もうね、体が勝手に動くのよ。口が勝手に滑るのよ。悪いのは脚本家だよ。アタシのせいじゃないよ。
…話がそれた。
で、今回は自分で好きなように生きてきたら28歳だった。
運よく転がり込んだ縁談。相手を見てビックリ。
23歳、金髪イケメン細面、素敵なファッションセンス。
でも格式張らずに、威張らずに、優しい。ちょっと気になるのは、アタシよりほんの少し背が低いことだけど、気にしない。
もうね、決めた。コノ人を愛することに決めた!ナイス、アタシの逆転人生!!一目ぼれ!!
で、結婚式の夜。彼が言った。
「キミを受するつもりはない。」
来たよ。そうそう、うまく行かねえな、アタシの人生。やっぱコレかよ。
「…いや待って。もっかい言って。」
「キミを受するつもりはない。」
「…ぱーどぅん?」
「いや、だから。政略ケッコンなんてキミも嫌だろ。キミを受するつもりはない。」
「オイ。」アタシ、ベッド横の丸いテーブルにもたれる。
「はい。」若き公爵、直立不動。
「イイから座れ。そこ。椅子。今ノート持ってくっから座れ。」
「え!?あ、ハイ…」
「いいか? <受> はこう!! <愛> はこう!!」
「あ。間違ってた…。」
じろり。
「200回、書け。」
「えー!?」
「えーじゃねえ。書け。」
「う、ううスミマセン…。やります…ノ、ノ、ノ、ノ、ノ、ツ、ツ、ツ…」
「宿題追い詰められた小学生かコラぁ!?」
「うわあぁすみません!」
ぜえぜえ、これでどう、ルイミア。
「ん~下手だけど…ま、いい。」
「あ、ありがとうございます先生。」
奥さんなんだけどなー。
「じゃぁ、もっかい最初から!」
「はい、頑張ります。き、き、キミを愛するつもりはない!」
「…出来たじゃねえか。」
うん、ちょっと色々切ない。我が恋オワタ。
「キミも政略血痕は嫌だろう?」
「そりゃ嫌だよ!犯罪のニオイしかしねえよ!」
「何のこと―!?」
「座れオラぁ!書け!」
「<血痕>はこう! <結婚>はこう!!」
「あ、ほんとだ…」
「400回書け…」
「えええ!?」
「400回書けぇえ!」
アタシの真心を踏みにじった罰を込めて。
400回、ホロホロになりながら漢字練習を繰り返した彼。
流石にちょっと可哀そうになってきたかな。
「くうう、やっと終わった。流石、もと悪役霊場…!」
「アタシは悪の魂が眠る墓場かー!」
「座れ…。」
―――つづく(かも)