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4話 退いてくれないか? そこは僕の場所だ

「さて、これでアリーズは無力化できたわけだけど」


 私は全裸で床に這いつくばるアリーズから、宣言の座にしがみついているテンペスタに視線を向けた。

 こいつをどうしようかしら、と思案していると、廊下のほうから靴音が近づいてきた。


「身も心も必要以上に痛めつけて屈服させる。プレイも派手であきさせないところは、さすが女王様と言ったところだね」


 ぼろぼろになった会議室に、ひとりの美男子が現れた。彼は私を見て、楽しそうに微笑んでいる。


「え!? へ、陛下!?」

「やあ、ヘリオス。相変わらず禁欲的なファッションだね。セクシーを感じるよ」

「本物だー!」


 ヘリオス様は歓喜し、テンペスタは幽霊でも見たように青ざめた。


「あ、兄上!?」

「やあ、テンペスタ、元気そうだね」

「どういうことだ、アリーズ! 兄上は死んだと、そう言っていたじゃないか!!」

「馬鹿な……そんなはずは……」


 アリーズは身体をがくがくと震わせて、浅い呼吸を繰り返した。

 陛下はアリーズを無視して、テンペスタに微笑みかけた。


「見ての通り僕は生きている。だから退いてくれないか? そこは僕の場所だ」


 テンペスタは声にならない悲鳴を上げた。

 陛下は微笑んでいるけれど、その目はひどく冷たい。


「連れていけ」


 神官たちは、戦意喪失して抜け殻のようになったテンペスタを、会議室の外へと連れていった。

 陛下はその背中を見送ってから、宣言の座に腰を下ろした。

 ただそれだけのことなのに、場の空気がすっと引き締まる。


「では話を聞こうか、アリーズ。僕を殺害したのはきみだね。対策していなかったら本当に死んでいたよ」


 アリーズは全裸のまま、あわてて陛下の前にひざまずいた。


「陛下、此度の計画をくわだてたのはテンペスタ様でございます! 私は家族を人質にとられて、従うほかなく……」

「首謀者はきみではないと?」

「ええ、誓って、そのようなことは!! 陛下を手にかけたのもテンペスタ様でございます!!」


 自分は被害者だと必死に訴えるアリーズに、私は心底うんざりした。


 王を殺したことを認めれば、死んだほうがましと言われている極刑「ナラカの裁き」を受けることになる。さすがのアリーズも、その刑だけは免れたいと考えているらしい。


「何を言ったって無駄よ。さっさと認めて、裁きを受けなさいよ」


 アリーズは息を吹き返したように、鋭く私をにらみつけた。

何だこいつ、全裸のくせに。


「証拠はどこにあるのだ? 私が陛下を手にかけたという証拠は!」

「何とここにございます」


 壊れた壁の向こうからシャリスが現れた。

彼は白い布で包まれた何かを抱えている。それを見たアリーズは、さっと顔色を変えた。


「そ、それは!」

「アリーズ邸で見つけました。アリーズさんの指紋と陛下の血痕がべったりとついた魔剣です」


 シャリスが白い布をめくると、そこには乾いた血で汚れた短剣があった。


「強力な魔剣のため、自然治癒能力が高い相手でも殺害できます。ただ、強力な魔剣ゆえに簡単に処分することができず、屋敷内に隠すしかなかったようですね」

「ぐっ……くそ……」


 アリーズが悔しげに歯噛はがみをした。

 ヘリオス様は安堵したように表情をゆるめる。


「シャリス、間に合ったか!」

「ええ、何とか。ということでアリーズを逮捕します。って、どうしてこの人全裸なんですか?」


 ヘリオス様は複雑な表情を浮かべて、視線をそらした。


「それは、その、色々あってな」

「はあ、そうですか」


 シャリスは興味なさそうに、アリーズを後ろ手に拘束した。


「それはそうと、また会いましたね、アビゲイルさん」


 シャリスは、私の隣にいたシルバーやフロストたちの存在を完全に無視して、私に声をかけてきた。


「ええ、そうね。私がアリーズを裁いてやろうと思ったのに、あなたに美味しいところを持っていかれたわ」

「ほら、やっぱり死んでない」

「ん? 何の話?」

「いえ、こちらの話です」


 シャリスはなぜか満足そうに目を細めた。それを見たシルバーが苛立った様子ですかさず言った。


「アビー様に話しかけないでください」

「はあ? わざわざあなたの許可が必要だとでも?」


 お互いの殺気をぶつけ合いながら、ふたりはにらみ合った。

 このふたり、いつか本気で戦わせてみたいわね。


「くそ、くそ! こんなはずではなかったのに! この女さえ殺していれば!」


 拘束されたアリーズは往生際おうじょうぎわ悪く叫んだ。

 私は余裕たっぷりに微笑みながら、アリーズの顔を覗きこんで言った。


「檻の中はさぞ退屈でしょうね。たまには私がオモチャで遊んであげてもいいわよ? おーほほほほ!!」


 アリーズは屈辱に顔をゆがめながら、全裸のままシャリスに連行されていった。



面白い! 続きが気になる! と思っていただけましたら、


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