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8話 再来! 破壊の悪魔!


「な、何者だ!」


 ミーレスがよろよろと立ち上がり、血走った目で女をにらんだ。


「貴様らだな? 俺の可愛い部下たちを倒したのは!」

「違うわよ。私なら害虫の巣まで一気に叩き潰すもの」


 女が挑発的に笑う。害虫呼ばわりされたミーレスは、こめかみに青筋を立てて叫んだ。


「俺は元エールクラルス帝国軍の魔銃使い、ミーレス・ドゥロス大佐だ! ラピスブルー王国の十二神からも恐れられた存在なのだぞ! 貴様のようなただのゴミが敵う相手ではないのだ!」

「お会いできて光栄ですわ、元生ゴミ大佐殿。腐臭漂う、うさんくさい武勇伝をありがとう」

「貴様ぁぁぁぁっ! 余裕ぶっていられるのも今の内だ! インペラトルに刃向った罰を受けろ!!」


 ミーレスが拳銃を女に向けると、銃口を中心として巨大な魔法陣が展開された。

 俺はそれほど魔法に明るくないが、強力な魔法が発動することだけは理解できた。


「どうせ貴様は魔術師の墓場生まれの、魔法すら使えん下等人種のゴミだろう! ゴミごときが、この俺に敵うはずがないのだ! 特別に十二神を打ち破った混合魔法で抹殺してやる!!」


 ミーレスは勝ち誇ったように叫んだ。

 だが、魔法は発動しなかった。

 突然魔法陣にひびが入り、パリンとガラスが割れるような音を立てて崩壊したのだ。


「は!? ど、どういうことなんだ!?」


 魔法陣が崩壊すると同時に、ミーレスの銃の部品がばらばらに崩壊し、武器としての機能を失った。

 ミーレスは一瞬で丸腰になった。


「嘘だ、なぜこんなことに!?」

「おーほほほほ! 魔銃なんてほとんど魔道具みたいなものでしょう? 仕組みさえ理解できれば簡単に無効化できちゃうわ!」

「ば、馬鹿な! 一瞬で相手の魔道具を破壊できる魔術師など存在しない!」

「帝国は十年前の戦争から何も学んでないのね。帝国お得意の混合魔法を打ち破った魔術師がいたことを、もう忘れたのかしらぁ?」


 ミーレスは顔色を変えて、「まさか……」と怯えたようにつぶやいた。


「貴様は『破壊の悪魔』、マリアン・デケンベルの娘か!?」

「その通りよ! おーほほほほ!!」


 ミーレスはひどく取り乱した様子で、高笑いする女を凝視していた。


「破壊の悪魔って?」

「ラピスブルーの英雄じゃ」

「その声は、じいちゃん!?」


 振り返ると、長老が例のリフティング少年に支えられながら歩いていた。少年はもう片方の腕で、先ほどの少女を抱えている。


「あ……あんた、さっきは助けてくれて本当にありがとう!」

「いえ、お礼はアビー様に」


 少年はそう言って、ふたりを俺の隣に座らせた。

 長老は少年に礼を言ってから、話のつづきを語り始める。


「帝国が得意とする混合魔法を無効化したと言われる英雄が、マリアン・デケンベルじゃ。その強さから帝国では『破壊の悪魔』と恐れられ、国内では『北東の絶対守護者』として称えられておったそうじゃ」

「あのヤバイ女が、そんなすごい魔術師の娘なのか……」


 女はミーレスの反応を見て、毒々しい笑みを浮かべている。どう見ても、正義感で助けに入ったって感じの人間ではなさそうだ。

 ミーレスは声を震わせながらも、負けじと言い返した。


「そ、そんなはずはない! デケンベルの魔術師がこんな場所にいるはずがないだろう!!」

「なぁに? お父様に叩きのめされた記憶でもよみがえった?」

「黙れ! 俺は誰にも負けない!!」


 ミーレスが目を血走らせて俺たちのほうを見た。

 嫌な予感がして、後ずさりする。


「貴様ら! この女を殺せ!!」


 首の後ろにある紋章が熱を持ち、俺の意思に反して視線が女のほうを向いた。

 他のみんなも同じように、女を標的として、今にも襲いかかりそうな雰囲気だ。

 しかし、女は動揺した様子もなく、右手の甲を見せつけるようにして突き出した。そこには何かの紋章が刻まれていた。


「出でよ! 第八の守護者パロット!」


 女が叫ぶと、紋章からカードが出現した。

 カードが燃え尽きると、女の前に緑色の髪の青年が立っていた。

 ミーレスが目を見開く。


「は!? 人が出てきた!?」


 突然現れた青年はレイピアを掲げて、呪文を唱えた。


逃れよ、葉のように(アポフィリオン)!」


 風が吹き荒れ、俺の身体は家の屋根の上まで巻き上げられた。

 そのまま遠くへ吹き飛ばされるかと思ったが、突然風が止んで、俺の身体はその場にふわふわと浮いていた。他のみんなも同じように浮いている。


「な、何ぃ!?」

「これでシューラ族は操れなくなったわよ!」


 なるほど、だから俺たちを空中に……。

 そこでふと疑問に思った。


「どうして俺たちを攻撃しないんだ?」


 こんな魔法を使えるなら、俺たちをまとめて攻撃する魔法だって使えたはずだ。わざわざ俺たちを避難させる理由はない。


「俺たちを、助けてくれたのか?」


 過激な女って印象が強すぎて、あまり信じられないけど、それ以外の理由が思いつかない。

 地上では、女が火炎放射器を手に、じりじりとミーレスを追いつめていた。


「十二神を打ち破ったですってぇ? このホラ吹き野郎!!」

「ご、ごめんなさい! だって本物がこんなところにいるなんて思わないじゃないですかぁ!!」

「あら、ようやく認めたのね? もう二度と嘘がつけないように、悪いお口を溶接してさしあげるわよ! おーほほほほ!!」


 女は楽しそうに笑いながら火炎を放射した。


「た、助けてー!! うぎゃあぁぁぁぁ!?」


 散々俺たちを痛めつけてきたミーレスが、命乞いをしながら必死に逃げ回っている。ひどく痛快な気分だった。

 俺は無意識に笑っていた。


「いけー!! やっちゃえー!!」

「そんなクズ男燃やせー!!」

「俺たちをそいつから解放してくれーー!!」


 シューラ族全員が、空から声援を送っていた。

 それに応えるように、女は高笑いした。


「おーほほほほ!! すべて燃やしてひざまずかせてやるわよーー!!」


 女は嬉々として、逃げ回るミーレスをあぶりつづけた。


面白い! 続きが気になる! と思っていただけましたら、


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