7話 靴磨きに便利な家具ねぇ!
「アビー様。お手をどうぞ」
「ありがとう」
シルバーに手を引かれながら、私はゴーレムから降りた。
「ゴーレムを乗り物にするなんて、素晴らしい発想ですね」
「コアを抜き取っても魔力を注げば、長距離は難しいけれど、ある程度動かすことはできるわ」
私の視線の先には、床にうずくまって号泣しているパロットがいた。彼の右腕は、肩から指先まで赤黒く染まっている。
「あら、さっきまで気絶していたのに、右腕の痛みで目が覚めた? 優秀ぶってるなら解除してみなさいよ、無能」
パロットは泣き腫らした顔を上げて、私をにらみつけた。まだ元気そうね。
「僕は、僕は無能なんかじゃない! 全部お前のせいだ! 僕は悪くないんだ!!」
「ああ、そう。じゃあ、そのまま激痛で意識を失いかけながら腐って死になさい。そうやって私や村人たちを殺そうとしたでしょ?」
「う、うぅ……うわぁぁぁぁ~!!」
パロットは再び大声を上げて泣き始めた。
「怖いよ、死にたくないよぉ! どうして僕がこんな目に!!」
「ふふ、お可哀想な羽虫。私なら解除できるわよ」
「え?」
「生きながらに腐って死ぬか、それとも私の家具になって生きのびるか……賢いあなたならわかるわよね?」
優しく語りかけると、パロットは泣きじゃくりながら、すがるように私を見上げた。
「さあ、助かりたかったら、どうやってお願いするのかしら?」
パロットは屈辱と苦痛に顔をゆがませながら、震える声で言った。
「あ……アビー様、どうか、無能な僕をお助けください。家具でも、何でもしますからっ!」
「ふふ、何でもって言ったわね。いいわ、あなたの情けない泣き顔と命乞いが聞けたし、助けてあげる」
私はパロットの右腕に手をかざし、侵食する魔道具の力を破壊するように意識を集中させた。
「解除」
パキンと氷が割れるような音が響いて、パロットの右腕が一瞬にして元の色に戻った。
パロットが驚いて、自分の右腕を確認している隙に、私は右手の甲の紋章をパロットに向けた。
すると、紋章が輝いて、パロットの身体が紋章に吸いこまれて消えた。
「おーほほほほ! また家具が増えたわね!」
「お見事です、アビー様」
「そうでしょう! 順調すぎて怖いくらい! とりあえず動作確認よ。出でよ、第八の守護者パロット!」
右手の紋章から、レイピアを構えたパロットのカードが出現した。カードが燃えると、目の前にパロットが現れた。
パロットは泣き疲れたような顔で、ぼんやりと私を見つめている。
「とりあえず問題なさそうね」
「あれ? 僕、白い空間にいたような……」
「パロット」
「は、はい!」
パロットは叱られた子供のような顔をした。正しい反応だわ。私は怒っているの。
「あなたね、どこからあんな不良品の魔道具を手に入れたの? 素人が複数の毒物を適当に入れて完成させたような粗悪品だったわ。今時、子供の魔術師でもあんなもの作らないわよ」
鳥かご型の魔道具について文句を言っていると、なぜかパロットが困ったように顔を赤らめた。
「あ、あの……僕が、作りました」
「お前かい! 本当に使えない魔術師ね!? その可愛いお口で靴でも磨いてもらおうかしらぁ? ほら、こういう時何て言うの?」
パロットは恥ずかしそうに、だんだんとうつむき加減になりながら言った。
「うぅ……クソ羽虫野郎の口で、お靴を綺麗に、な、なめさせていただきます……」
「そうねぇ、あなたを追いかけていたら、土や埃で汚れちゃったわ。這いつくばって綺麗にしなさいよ、ほら!」
パロットがまた泣きそうな顔をしながら、ゆっくりとその場に膝をついた。その姿を見下ろしながら、私は次なる目標に考えをめぐらせる。
残る十二神はラヴァのみ。さあ、どうやってひざまずかせてやろうかしら。
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