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4話 牛頭のウーちゃん!


 えっと、どちら様? 死に戻りして初めての出来事に、私は動揺していた。

 どう見てもあぐらをかいた巨大な男の足。その足のサイズからして背丈は十二神殿並みにでかい。いや、それ以上かも。


 恐る恐る視線を上げると、筋骨隆々の胴体が目に入る。その胴体の上に、大きなツノを二本生やした巨大な牛の頭が乗っていて、こちらをじっと見下ろしていた。


 ヤッッバイのいるんですけど……?

 額に冷や汗が浮かんだ。

 すると、牛頭が口を開いた。


「沸点低すぎてちょっと笑ってしまった。ごめんね」

「へ?」


 想像以上にフレンドリーに話しかけられて、拍子抜けした。

 牛頭はにこにこと目を細めている。


「初めまして。僕のことは牛頭のウーちゃんって呼んでね」

「え、うん。私のことはアビーでいいわよ」

「わかった、よろしくね、アビー」


 どう見ても最強の魔物って感じの見た目してるのに、ウーちゃんは意外と私に友好的だった。

 まだ油断はできないけど。


「ここはどこなの? 死後の世界?」


 ここには地面がない。周囲には宝石のように輝く星のようなものがたくさんあって、現実とは思えない光景が広がっている。天文学者が言っていた「宇宙」みたいな景色だ。

 私やウーちゃんは、その不思議空間の中をただよっている。


「ここは生と死の狭間はざまの世界。僕は『魂の空間』と呼んでいるよ」

「魂の空間……」

「僕はね、ほぼ死人で魂だけの存在だ。だからここにいるんだけど、きみは死に戻り中だから、一時的にこの空間に迷いこんだみたいだね」

「一時的なのね。よかったわ! またフロストをボコれるってわけね!」


 私の発言がツボに入ったのか、ウーちゃんが腹を抱えて笑った。ひとしきり笑ってから、急に真顔になって話し始める。


「ここでは世界で起きているすべての出来事を観察できる。きみの行動もね」

「あら、もしかして私のことを見ていたの?」

「もちろん。僕のさずけた力を有効に使ってくれているか、その確認をね」

「授けた力って、この死に戻りの力のこと? ウーちゃんの力だったの!?」

「うーん、厳密には違うけど、そうだよ」

「どうして私にこの力を授けたの?」

「きみは特別だったから」


 その意味を尋ねようとすると、ウーちゃんはさえぎるように言った。


「時間がないから、その話はまた今度ね。ほら、手を出してごらん」


 私は言われた通りに右手を出した。すると、手の平の上に、透き通った丸い水晶玉のようなものが出現した。強力な魔力を感じる。


「その水晶玉をプレゼントします。とても綺麗でしょ?」

「ええ! すごくいい女が映っているわ!」

「きみって本当に前向きでいいね。だからこそ、僕はきみにこの力を渡したんだけどね」


 そうなの? そう声に出したつもりだったけど、ひどい眠気に襲われて声が出なかった。


「その水晶玉は、十二神に向けるだけで効果を発揮するよ。ただし、十二神の不意を突くか、抵抗できないほど弱らせないと使えないから注意してね」


 もっと色々聞きたかったのに、頭にきりがかかったようにぼんやりとして、考えがまとまらない。

 私は今、眠っているの? それとも……。


「きみがステラに謝罪するなら、助けてやってもいい」


 その声に、はっと我に返る。私とシルバーは村長の家の屋根に立っていて、家の前にフロストがいた。


「神官長には、きみを始末したと報告しよう」

「戻ってこられてよかった~」


 フロストを無視して、私は右手に持っていた水晶玉を観察した。

 水晶玉は雲の隙間から漏れた月明かりに照らされて、きらきらと輝いている。


「夢じゃなかったのね」


 この水晶玉は、十二神に向けるだけで効果を発揮すると言っていたけれど、それには条件があったはず。

 不意打ちを狙うことは可能だけど、できるならもうひとつの条件を狙いたい。

 私は隣に並ぶシルバーに視線を向けた。


「アビー、聞いているのか!?」


 フロストの怒声が響く。

 トライアンドエラーで実戦経験を積んで、突破口を見つけるのも悪くないけど、私はシルバーの戦いが見てみたい。


「きみは人の話もまともに聞けないのか? これだから頭の悪い女は嫌いなんだ。ステラの優しさと賢さを見習ったらどうだ!?」


 十二神対シルバー。これが正解ルートだ。

 そして、さっきからべらべらしゃべってるこいつは殺す。


 私は胸いっぱいに空気を吸いこんで、思いっきり叫んだ。


「聖女はフロストのことが大っっ嫌いですってーーーー!!」


 私の叫びは夜の闇にこだました。

 フロストはきょとんとして、それから大声で笑い出した。


「あははは! そんな冗談、通じるわけがないだろう! 本当に馬鹿な女だな!」


 声は笑っている。だけど、顔面蒼白で涙目になっていた。


「いや、めちゃくちゃ効いてるじゃない」

「ですね」


 私はフロストを見下ろしながら、「やれるわね」と小声でつぶやいた。隣に並んだシルバーが「はい」と答える。

 私は小さくうなずいた。


 さあ、あなたの実力、見せてちょうだい。


面白い! 続きが気になる! と思っていただけましたら、


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