4月。始まりの月。
登場人物の名前はすべて偽名です。
前書きは何を書けばいいのか分からないのでとりあえず本編を読んでいただけるとありがたいです。
『好き。付き合って。』
俺はその返事を喜んでOKした。
4月 関係。
♢
高校に入学し、心を踊らせている者、嬉しさのあまり泣きだす者、色々な人がいたが僕は不安でいっぱいだった。中学3年間ろくに友達も出来ず陰キャのくせに問題を起こすことが多かった僕はまた高校でもやってしまうのではないか、どーせ人に嫌われてばっかなのだろうと不安でしか無かったのだ。
クラス表を見て自分のクラスに足を運んだ。1-6だった。
深呼吸をして勇気を振り絞りクラスのドアを開けた。クラスでは既に陽キャ達がたむろしていてとても気まずかった。
「あぁ。このクラスで1年過ごすのか。」
俺の高校生活のスタートは最悪から始まった。
「はいじゃあ隣の人と自己紹介してー」
苦手だ。名前を言って好きなことなどをお互い話し終えたあとのあの沈黙の時間が何よりも苦手だ。
「初めまして。喜田中学校から来た伊佐そうたです。え
ーと、とりあえずどんなものでも満遍なく好きです。
よろしくお願いします。」
「初めまして!扇原中から来た林いおりです♪よろしく
ね!そうたくん!」
とても愛想のいい人だった。きっと彼女はカーストトップで一軍女子と言ったところだろう。
「ね!LINE交換しない?」
「あ、はいじゃあQRお願いします」
まさか陰キャの俺にLINEを聞いてくるなんて思わなかった。この人とはもう関わることは無いだろうと思っていたのに。
「はいじゃあ次は前の人となー」
「そうたくん!またね♪」
「あ、はい」
この人はとても優しい。陰キャの俺とでもしっかり会話をしてくれる。
前の人はとても可愛い女子だった。顔はタイプだったが少し変わった人だった。
「森町りおんです。アニメが好きです。」
「伊佐そうたです。最近は無職転生にハマってます。」
「無職転生いいですよねぇ。ルディのあのショタ感がた
まらなく可愛くてロキシーのあのロリ感もまたいいで
すよねぇ」
「そ、そうですね。ロキシー可愛いですよね。」
この人はきっと三軍くらいかと思っていた。しかし、後にこの子は一軍にいることになる。
そんなこんなで色々な人と自己紹介をして終わった。
中学からの友達のクラスに迎えに行き帰ろうとしていた。
「今日から仮入部らしいけどそうたどうする?」
「今日からかーどうしよね」
「せっかくだから見学だけしてく?」
「そーするか」
一応小学校の頃からサッカーをしていた。下手だが。
「君たち今日から仮入部の子?」
「あーいや。今日は見学をしに来まして…」
「見学するくらいならやっていきなさい」
「あ、はい。」
顧問に半強制的にやるよう言われた。まー今日は帰ってもすることがなかったので別に構わなかった。
先輩たちはとても優しかった。中学の頃の先輩達はとても怖くなんでもパシリするようなクズだったのに対し高校の先輩は何をするにも優しくとてもよくしてくれた。
「君たちサッカー部入るの?」
「そのつもりです」
「マジで!?おーようこそ!分からないことがあったら
なんでも聞けよな!はは!笑」
「ありがとうございます!」
「集合!」
部長からの集合がかかり俺ら仮入部員らも先輩たちの元へ向かった。
「えー今日は仮入部員らとマネージャー体験しに来たヤ
ツらを紹介する」
忘れていた。高校からはマネージャーが部活にいることを。
「えーじゃあまず仮入部員から挨拶して」
仮入部員4名はやっていたポジション、名前、そして意気込みまで言った。
「ありがとう。では次にマネージャーの人達お願いしま
す」
「1-5紅葉いおでーす!友達の付き添いできました
ー!」
「1-6林いおりです!サッカーは未経験ですけどマネー
ジャーやりたいと思っています!よろしくお願いしま
す!」
おいおい嘘だろ。まさかの隣のやつかよ。
「そうたたしか6組だよな?知ってる?どんなやつ?」
知ってるに決まっている隣なのだからな
「知ってる、いい人だよ」
「なんだそれ」
こうして一通り部活お終えて帰宅しようとしていた。
「そうたくん!そうたくんすごいね!サッカー部だった
んだ!」
後ろからおいかけてきたのは林いおりだった。
「まー一応できるって感じ。いおりさんもマネージャー
なのは意外だったなー」
「いおりでいいよ!んーまーねマネージャーやりたかっ
たし!」
本当にいつも元気だ。そして笑顔が素敵だ。
「ねーね!一緒に帰ろ!」
「いいけど門出たら方向どっち?」
「私は右!」
「あーごめん俺左なんだ」
「そっかーじゃあ門まで一緒に帰ろ!」
「それならまぁ」
門までってもーすぐそこじゃねーか。そんなツッコミ会って間もない人に言えるはずはない。
その夜はいおりとLINEで沢山話した。色々わかったことがある。まず彼女バレー部で部長をやっていたこと。3人姉妹だということ。そして何より馬鹿だということ。入試の英語の点数が12点て、一体どういう勉強していたのか不思議でしょうがなかった。
そんなこんなで入学から2週間ごく普通の高校生活を送っていた。
♢
「おはようそうたくん。」
「お、おはよう。」
おかしい。いつもなら「おっはよー!そうたくん!げん きー!?」
などとテンション高いのに今日はとても低い。
「なあ。今日いおりテンション低い気がするんだけどど
うしたのかな」
他のいおりと仲の良いやつに聞いてみることにした。
「あー。実はいおりね、彼氏と別れたの。」
そもそも彼氏がいることを知らなかった。まああんなに顔も愛想いい人彼氏がいない方が逆におかしい。
「そーだったんだ」
「いおりねーまだ溝口の事好きらしくて諦められないん
だって。あ、溝口は彼氏の名前ね」
「それは可哀想だな」
何か声をかけてあげたいが逆に俺がここで何かすると逆効果になると思って話しかけなかった。
その日の部活帰りに同中のやつともう1人がコンビニの前にいた。
「おっすそうた高校一緒なのに全然合わねーのな笑」
「そーだな、まーお前3組だしちょっと離れてるから
な」
「まーなー」
「ところでその隣の子誰?」
「はじめまして溝口ですよろしくねー!」
「溝口?どっかで聞いたことが。あ!いおりの元彼!」
「何いおりの友達?あいつどーよ」
「んー今日はめっちゃテンション低かった」
「まーそーだよな俺が振ったんだもん笑」
「どーして別れたの?」
「いやーあいつって一軍女子じゃん?その一軍の女子た
ちに俺と付き合ってること言ってたらしくそいつらか
らめっちゃからかわれるし周りの目がウザかったから
さー」
「なるほどねー」
「でもなあいつ俺の事まだ好きっぽいからワンチャン告
られるかもなんだよなー笑」
なんだコイツエスパーなのか全てお見通しなのか。
「そーなんだ。もし告られたらどーするの?」
「んー。わかんねー」
「そっか。」
これはもしかしたら復縁させるチャンスかもしれない。俺もいおりには話しかけてくれたり良くしてもらってるからどうにかしてやりたいと思った。
次の日。俺は声をかけようか迷ったが勇気を振り絞ってかけてみた。
「おのー。いおり。いおりって溝口君と付き合ってた
の?」
「あーうん。そーなんだよねーはは」
無理して笑顔になっている。やはりこの人は優しくていい子だ。
「昨日ね、溝口君とちょっと話したんだ。いおりの話も
してたの」
「え!?なになに!何話したの!」
「え、えーと。」
食い付きがすごすぎてちょっと驚いてる。てか相当驚いた。
「いおりと別れた理由と復縁の可能性について?笑」
「何それ…」
やばい。怒らせたかな。
「詳しく聞かせて!おねがーい!!!」
よかった。全然怒ってない。むしろ笑顔。
「えーとね。まず、別れた理由はいおりの周りの子が煽
ったり目線が怖かったりするからだったんだって」
「あーやっぱり。でもこれは確かに私が悪かったな
ー。」
「いやでも周りのやつが溝口君に言ってたわけだし、い
おりが信頼して周りに言ったのにそれを裏切った周り
が悪いと思う。だからいおりは悪くないよ」
「え。そうたくんがそんな事言ってくれるなんて思って
なかった。ありがとう。」
「いやー本当のことだし」
高校入って初めてだろうか。人に感謝されたのは。
「次に復縁についてなんだけど、」
「うん。」
「もしかしたらできるかもよ」
「え?」
「告られたりしたらどうするのって聞いたら分からない
って言ってたしチャンスはあるんじゃないかな?」
「なるほどー!じゃあ私頑張っちゃおうかな!」
「うん。頑張って!」
「それでなんだけどさ、あの、もし良かったらでいいん
だけど、そうたくん、手伝ってくれない?」
顔を赤くしてモジモジしながらこう言ってきた。
かわいい。
「いいけど、なにすればいい?」
「んーとね、とりあえず来週の土曜日空いてる?」
「土曜日って5月1日?」
「そ!相談乗って欲しいし、それプラスで勉強しよ!
笑」
勉強なんてする気ないんだろうけど、まーせっかくだから行ってみよう。
「分かった。じゃあ集合場所はファミレスかな?」
「うん!やったー!たのしみ♪」
こうして4月は終わった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
自分はこれを初めて書いたので色々とまだ未熟ですが
たくさんの意見を元に次回に活かしていきたいと思います。どうかいいね、コメントを少しでもいいのでよろしくお願いします。