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スペルランカー2  作者: 六青ゆーせー
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黄金虫

即物的なデッキーー。


端的に言って、マイヤーメーカーのように早いデッキだ。


それなら、防ぎの石も、あまり問題にならない。


チェコは既に、第一ターンに余裕でハンザキを出せるアースを手に入れていた。


むしろ最初はマイヤーメーカーのように二ターンか三ターンでの終結を目論むデッキにして、もし崩された場合に、ウサギを張って大量アースを得るなり、金神様を使うなりに切り替える方が有意義かもしれなかった。


「まー、俺はスペルランカーでは無いので詳しくはないが、必ずハンザキが出てくるのなら、対処はしやすいだろうな」


とヒヨウは教える。


「マイヤーメーカーは、おそらく、幾つもの戦術を持っているのだろう」


そう言われれば、チェコも納得する。


何より、赤ならば豊富な直接火力を相手が警戒するので、隙をついて召喚獣も出しやすい。


チェコであれば、緑の攻撃スペル針の矢や赤一アースの雷、大雷などを使えば、召喚獣も出しやすいかもしれない。


だが、そこからハンザキを持ってくるのは、不可能ではないが、アースが空になって隙を作る可能性が高い。


それは、ピクシードラゴンなど、別の召喚獣でも、同じことだった。


んー、とチェコは考えた。


なんか、良い召喚獣がいたような気がするのだが、思い出せない。


「なんかマルチカラーで五/五飛行みたいなの、無かったかな?」


「マルチカラーで五/五飛行は九三種類、ある」


とエクメル。


ダン、と机に倒れたチェコだが、記憶を辿って…。


「えーと、他に召喚獣があると使えない、だったかな?」


「黒緑緑の黄金虫である」


「おおっー!!」


チェコは絶叫し、バトルシップの入り口に隣接されたカード売場へ走った。


数分後、チェコはホクホクと戻ってきた。


「これなら、完全に猛犬ハヌートの上位じゃない!」


「まー、色縛りが強いのと、最初にしか使えないけどね」


とルーンは笑った。


「別にいい!

これに、なんか、いいエンチャントをつけて、そんで五アースだよ。

俺はこれに決めたぜ!」


チェコはすっかり入れ込んでいた。




その晩、チェコはベッドに座り、カードを睨み続けていた。

最初の一ターン、動きを決めると、敵の対応次第でだいたい三つの展開になる。


スペル無効化で落とされるか、出て、チェコが黄金虫を守る攻防に移るか、敵は全く違う戦略に出るか、だ。


攻撃スペルは雷、針の矢、大雷などを装備する。

無論、スペル無効化は五枚入れる。


出せたら出せたで、敵は必ず攻撃を妨害してくる。


なぜなら、飛行召喚獣の射程は三であり、出たターンに攻撃できるからだ。


一ターンキルを狙うのは、とても難しい。


相手も一ターン目であり、あらゆるスペルが未使用だからだ。


なので黄金虫を張ったからと言って、ここでの攻防に終始していたら、すぐに対応されてしまうだろう。


マイヤーメーカーは、溶鉱炉を張っていた。


もし召喚獣が倒されても、二/二のトークン召喚獣になる。


と、同時に、相手は召喚獣を攻撃するか、溶鉱炉を壊すか、迷うことになる。


これが例えば軍旗でも、黄金虫が七/七になるし、他の緑の召喚獣は皆、プラス二になるので、敵は迷うのではないか。


いや…、迷わないか…。


なんと言っても、そのまま攻撃、プラス二つ頭でデュエルは終わるのだ。


どんなことをしても、黄金虫を止めるだろう。


タッカーなら、霧を瞬間スペルとして使い、一ターンで使い捨ててもお釣りが来るし、その他、黄金虫が場に出たとしても、黒のエンチャント呪いを初め、あらゆる攻撃は黄金虫へ殺到する。


たぶん、だから今まで、いまいち名が出なかったんだろうなー、とチェコも悟ってきた。


スペル無効化は一ターンに一回しか使えないから、闇の消去を頼っても回数に限度がある。


召喚獣は出せないので、エルミターレの岩石は使えない。


すると、ガチの持ちアース勝負になる。


だが、元々青アースなら一アースで出るものが、闇の消去は二アースになるから、どうしても青との打ち合いは歩が悪い。


「あー、青のアースも増やせないかなー」


言いながらチェコは、ベッドに倒れた。


「ウィンディーネという水の精の祝福を受けられれば青のアースは得られるのである。

だが、専門の呪術師の協力がなければ、おそらくウィンディーネに巡り会うことも叶わないだろう」


とエクメル。


「しかし、パトスは青のアースを持つ精獣。

パトスの力を高める事が出来れば、主の使えるアースは、増えるのである」


チェコとパトスは、飛び起きた。


「力を高める、ってどうやらの?」


だがエクメルは、


「精獣のトレーニングは、とても専門性が高く、知識を持つものも、限られているのである」


むう、とチェコはベッドに沈んだ。


「明日、ヒヨウやキャサリーン姉ちゃんに聞いてみるしかないな…」


チェコは布団を被るが、パトスは。


「…俺が強くなる…」


と、思わぬ希望に、胸を膨らませていた。

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