表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペルランカー2  作者: 六青ゆーせー
6/197

ランキング

「あれは厄介だね」


とタッカー。


「え、戦車が出てるのに二/二が厄介?」


「もう一つの使い方よ。

アイテムにすれば、攻撃ダメージは無になり、召喚獣になればアイテム破壊は無になる。

忘れられた地平線は、それができるカードなのよ」


あ、なるほど。


忘れられた地平線を張っていたなら、色々な種類のカードがある方が都合が良かった。

カサバの僕は、召喚獣として戦車に立ち向かえるわけでもなく、アイテムとしても二アース出すだけのシンプルなものだが、このデッキなら二つの種類のカードを一体で引き受けられる。


「以上」


小男は告げた。


「でもさー、ダメージは食わないにしても、何かで攻めないと押し負けちゃうよね?」


「そうね。

一番多いのは早い小型召喚獣デッキを防ぐためもあり、大型の奴をドカンと置いて、あとはコントロールしながら、って感じだけど、敵に戦車があるんでやりづらいわね」


なるほど。

大型召喚獣を一枚張れば、自動的に小型の奴は止まってしまう。

無論、数が揃えば一体は失う覚悟で飛び込むにしろ、すぐのターンには動けない。

それだけの時間があれば、自由にコントロールできる…。


チェコは最新の情報に夢中になった。


「カスバの僕に…」


言ってマイヤーメーカーは雷、をペシ、と放った。


小男は、


「忘れられた地平線の効果で、忘れられた地平線に対象を変換する…」


と宣言した。


「二度目の対象。

プレイヤー…」


ドン、と小男のライフが減り、半分を切った。


「あれ、二度目の対象は、変えられないの?」


二度目の対象、は、赤で一般的な、スペルの二つ頭のようなカードだ。

雷をコピーし、別の召喚獣へ撃ったり、または攻撃を二倍にもできる。


「確かに、一つのスペルで二度は変えられないのよ。

ただ、忘れられた地平線は二枚張れるわ」


「おー、なるほど」


二枚張れば、ほぼ無敵な感じだ!


「アタック…」


マイヤーメーカーはすかさず戦車で攻撃した。


「霧!」


青の防御スペル、霧を小男は切った。

戦闘が無いことになるスペルだ。


「青の消滅…」


ペシ、とマイヤーメーカーがカードを投げた。


霧が消えた。


小男のライフがゼロになった。


「あれ?

何で忘れられた地平線を使わなかったの?」


チェコは驚く。


「青の消滅。

全ての青のマジックを消滅する赤のスペルよ。

そして、忘れられた地平線も青のカードだから、あのカードだけは変えられなかったのよ」


「おー、万能のカードって無いんだね…!」


チェコは感嘆した。


「あの男の人、何位ぐらいなの?」


「彼はハイネケン、ランクは確か百二十ぐらいじゃないかな」


とタッカー。


「あたしと同じくらいね。

ま、あたしは出てないトーナメントも多いから」


と、ミカは肩をすくめる。


「僕は、まだ二千ぐらいだよ」


と、タッカー。


「え、タッカー兄ちゃんで二千!

俺がデビューしたら、何位になるのかな?」


ミカとタッカーは視線を交わし、


「あんた、確かランカーと戦ってるわよね?」


「あー、うん、ミルドレット隊長と戦った…」


「しかも、それは戦場だし、ヴァルダヴァ候も認めているはず…!」


と、タッカーは興奮しだした。


「ちょっと行ってみよう!」


ミカとタッカーが同時に叫び、チェコを引っ張って、舞台の奥の事務所めいたデスクに行った。


「あー、チェコ・ラクサクさんですね…」


タッカーより少し若いくらいのショートカットの金髪の女性が、分厚い本に何かスペルをかけた。


ペラリ、とページがゆっくりと開いた。


「あー、チェコ・ラクサクは百十一位です。

現時点で、ですね」


「負けたか…」


とミカとタッカーは頭を抱えた。


チェコはタッカーやミカと歓談し、夜十時を過ぎてからバトルシップをあとにした。


しっかり、忘れられた地平線、や青の消滅、を購入し、ほくほくとチェコは屋敷に帰った。


船屋通りを使えば、ラクサク家とバトルシップは、ほんの二十分ほどの距離だった。


それからチェコは、巨大なベッドの上でカードを見つめていた。


トーナメントで戦えるデッキが、チェコには必要だった。

五十枚の、完全に計算されたデッキだ。

デッキにカードは最大五枚だが、全部五枚、というのはおろかすぎる。


スペル無効化などは無論五枚いるが、二つ頭はもしかすると三枚、いや完璧に組んでさえいれば二枚でいいかもしれない。


有名なコントロールデッキの使い手、ヴィギリスのビッグ・ベンは、優勝したトーナメントのデッキに、スペル無効化を三枚しかいれていなかった。

精緻を極めたデッキとは、そうしたものなのだ。


チェコのウサギデッキは八枚のウサギが入っているが、実は八枚入れられる。

なぜなら、それぞれチェコが個別にトレースした、それぞれ個別のカードだからだ。


ハンザキは八号まであり、これも入れられる。


ただ、むろんチェコもウサギは五枚に絞るつもりでいる。

だがランカーとして、名前が出てしまったぶん、よほど精緻なデッキを組まない限り、すぐにチェコのランクは敗北と共に落ちてしまう。


チェコは悩ましく、夜遅くまでデッキを組み続けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ