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スペルランカー2  作者: 六青ゆーせー
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忘れられた地平線

「えーと、火球が五枚で十五ダメージ、あとプレイヤーへの直線ダメージで赤となると…、確か大火球が五ダメージ、お、行けるね三ターンキラー!」


チェコは言うが、


「うん。

でも普通はそんなことしない。

大型飛行召喚獣なんか出されたら、逆にやられちゃうからね」


確かに。


飛行は、射程が三なので、そのターンに攻撃できる。

召喚獣を強化するカードも、性能の良いものが揃っているので、別にハヌートではなくとも一ターンでデュエルを終わらす事は、そう難しくはない。


ほいほいプレイヤーダメージなどを狙うのは、普通は素人のやること、とされている。


よほどデュエルのコントロールに自信があるのでなければ、普通は完全に十ダメージ与えるのでない限り、中途半端にプレーヤーを攻撃などしない。


マイヤーメーカーが手を振ったので、ターンが小男に移った。


ぺた、と男はテーブルの端にカードを出す。


エンチャントの位置だ。


「忘れられた地平線?

聞かないカードだな?」


タッカーは首を傾げるが、


「あら、コクライノじゃ、まだ無名なのね。

ヴィギリス辺りじゃコントロールデッキの要になってるわよ」


「わぁ、ミカさん!」


チェコは飛び上がるように立ち上がった。

懐かしい人だ!


「チェコ、ずいぶんオメカシになったわね」


とチェコのストレートヘアに擬態している髪を撫で、


「睫毛を染めてるの?」


あー、とチェコは、


「なんか、目元がパッチリするとか言ってた!」


実際には、金髪金瞳なのを誤魔化す意味だったが、確かに金髪の睫毛よりは、目元はパッチリする。

そして、睫毛に色がつくと、目の色も、少し暗めに見えるようになり、雰囲気はだいぶ変わる。


「あんた、こうして見ると、目が大きいわね!」


とミカは、チェコを改めて眺め、


「あんた、かなりイケてるわよ!」


と誉めたが、チェコは、


「そんなことより、ミカさん、あのカードを教えてよ!」


ミカは苦笑しながら、


「ブレない奴ね。

あれは、相手のスペルの対象を変えられるエンチャントなのよ。

プレーヤーを攻撃しても、エンチャントやアイテムになったりすれば、何百ダメージを食らっても対象外でしょ。

まさに、張られたら、それだけで自在にコントロールされてしまう恐ろしいカードよ。

特にマイヤーメーカーのような単調な相手には強いわよ!」


「おお、チャンピオン対策のカードなんだ!

でもエンチャント破壊ぐらい、チャンピオンも持ってるよね、あれ、でも張られたら、もう破壊できないのか!」


「そうなのよ」


とミカは笑った。


今は、ミカは包帯などしていない。

あれは体力強化のギミックだからだ。


今は、チェコより色の薄い金髪をコサージュ風に伸ばし、細い体にはアースカラーのファショナブルなロングスカートをはいていた。


目は、本来は金色のはずが、青い目に見え、顔の傷もきれいに消えていた。


「マイヤーメーカーはエンチャントは破壊できないんだ」


と、タッカーが言い出す。


「え、何でタッカー兄ちゃん?」


「赤単だからよ」


とミカ。


「赤はエンチャントは壊せない。

緑は機械は扱えない。

黒はエンチャントもアイテムも壊せない。

紫はエンチャントもアイテムも召喚獣も壊せない。

青は空を飛べない。

白は呪いも毒も扱えない。

そんな決まりがあるのよ」


へー、とチェコは考えるが、


「青って、空飛ぶやつ、結構いるよね?」


鳥は緑や白に多いが、赤や黒、そして青にも割りといる。


「昔の考え方が、魔法の区分けになっていて、魚の一種と思われていた海鳥なんかはセーフみたいね」


「泳げる鳥は青に含まれるんだよ」


ミカとタッカーに説明され、ふぅん、とチェコは納得するが、


「え、じゃあ、これはもう詰み?」


「マイヤーメーカーは超ベテランだから、直接エンチャントを破壊できなくてもプレイングで勝てるんだよ。

ただ、やっぱり世界一、までは遠いみたいだね」


とタッカーが教える。


「え?

どう勝つの?」


もう攻めようが無い気がするが…、とチェコは思った。


「あれはスペルの対象を変えるだけで、召喚獣の攻撃は防がないのよ。

なので、いま、忘れられた地平線を軸にしたコントロールデッキと、これが機能するまでに潰そうとする速攻デッキのどちらかに、皆がシフトを始めてるわね」


おー、殴り勝つやつか…。


と、チェコも興奮しながら唸った。


チェコのデッキに忘れられた地平線を入れれば、一気にコントロール性が高くなり、ウサギデッキも成立しやすくなる。


だが、一方の速攻も、してみたい気がする。

なんと言っても、ヴァルダヴァ候の百万リンはチェコももらったのだ。


幾つかデッキを試す余裕が、チェコにはあった。


小男は、続いて、アイテム召喚獣、カサバの僕をはった。


二/二の召喚獣だが、緑アースを出すアイテムにも変身できる面白いカードで、普遍的に多くのデッキに取り上げられている召喚獣だ。

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