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スペルランカー2  作者: 六青ゆーせー
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白のカード

石化と岩のゴーレムの問題は悩ましい。


タッカーに聞くと、


「うーん、まだ判らない、ってところかな?

ほら、こういうのは、流行が続くのか、それとも別のカードが流行るのか、みたいなとこがあるからね。

たぶん、九月の大会までに、何枚か、流行るカードは出てくると思うよ。

その辺を見極めるのは、大会ギリギリになるはずだよ」


なるほど…。

それまで、情報収集をサボってはいけないわけか…。


チェコも少しづつ、スペルランカーの過酷な生活が見えてきていた。


同じカードをいじくり回す、みたいなところでは収まらず、大会に向けて、最新のカードは続々と発表されていく。


それらを、使いながら、作戦を大会直前まで考え続けなければいけないようだ。


「カードの入荷だ!」


子供たちが叫んでいた。


入り口左手にはガラスケースが並び、中に最新カードが展示される。


チェコと同じか、少し上ぐらいの子供たちが熱心に、最新カードをあれこれ分析し始めている。


「消滅の壁だってよ!」


「一アースの壁だけど、ブロックしたと同時に相手と自分が消滅する、か!」


これはまた、難しめのカードのようだ。


どんな強い敵でも、必ず封殺できるらしい。


チェコたちもガラスケースの前に走った。


灰色カードであり、使い勝手の悪くなった石化より重宝するかもしれないカードだった。


ただし、飛行は持っていない。

チェコであれば、ピクシードラゴンなら頭を超えて行けるわけだ。


「必ずブロックしなければいけない分、除去スペルとしては半分に考えないとだね」


と、タッカーも寸評した。


好きな時に、相手を葬れる石化や召喚獣破壊のカードではなく、これは一召喚獣に過ぎない。

ただ、相手がどんなに強くてもブロックすれば、自分と同時に敵も消せるだけだ。


おそらく相手も、これを除去しようとするだろうし、また召喚獣を使わないデッキならば放置かもしれない。


チェコも岩のゴーレムなどに頭を悩まさず、金神とダメージ転移をメインに考えても良いのかもしれない。


ただし、それだとしても金神がタップした召喚獣の数だけのダメージを敵に与える以上は、やはり岩のゴーレム問題を避けては通れなかった。


大半のデッキは、直殺殴り合うデッキでなくとも、何らかの形、たとえばダメージソースは召喚獣では無かったとしても敵の召喚獣を防ぐためにも、召喚獣は使う。

で、あれば岩のゴーレム問題を無視できるデッキは、ほぼ無い、かもしれなかった。


「でも、必ず相手と相殺、って事は、相手側がもし、相殺召喚獣をコントロールさえできたら、ほぼ意味は無くなるよね。

まして、使い捨ての壁、って事だもんね?」


チェコが言うと、パトスも、


「…必ずブロックされる…、たしかカードがあったな…」


毒などの能力を効果的に使うため、また本命召喚獣がプレイヤーにダメージを与えられるように、そういうエンチャントが緑にあった。


それを使えば、消滅の壁は、ほぼ無力化できる。

が、この壁のために余分にカードを入れなければならないなら、その分使いたいカードが減ることとなり、消滅の壁に一定の効果があることになる。


他に、ひっくり返し(召喚獣のパワーとタフネスがひっくり返る)や、チェコもさんざん使ったメテオ(投入したアース分のダメージを与えるが、八アース以上でなければ使えない)などのカードがあった。


「タッカー兄ちゃんの魯鈍とかを倒せるなら、考えてもいいんだけどねぇ…」


「…まず無力…」


パトスは、結論を語った。


「確かに、面白い壁だけど、まずは石化に変わる除去スペルを見つける方が先かな」


タッカーも同意していた。


チェコは帰宅後はカードを見るつもりだったのだが、エクメルに公用語の勉強をさせられた。


「主は教えられていないのに、発音は完璧だったのである!

才能はある!」


チェコは、ほめ殺しに弱いらしく、結構楽しく勉強をした。


「あ、そういえば教会で白アースを使える講習を受けなくっちゃ!」





翌朝、老ウィッキスに話すと、あのコクライノ大聖堂で受けられる、と言う。


「あのお爺ちゃんの言葉、ほとんど聞き取れないけどなぁ…」


と、チェコは嘆いた。


ともかく、白アースが使える、となれば、チェコも俄然白のスペルに興味が出てくる。

鞄に白カードのカタログを入れて、教室で眺めた。


前にミカも言っていたように、天使以外の白の召喚獣は、なにやらお坊さんのようなものばかりだ。


ただし、回復を使えたりするカードが多いので、探せばチェコも使いたい召喚獣もありそうだった。


呪文は、タッカーも使っていた捕縛や、眠り、など殺さない除去スペルや、呪文破壊というエンチャント破壊スペルが強力だった。


白一アースで、同時に三つまでのエンチャントを破壊できるのだ。


そして、やはり天使の強さは圧倒的だった。






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