表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペルランカー2  作者: 六青ゆーせー
36/197

決着

チェコのターンになった。


一見、両陣巨大召喚獣を張っての睨み合い、のようだが、現実にはお互い決め手を無くしていた。


タッカーはそもそも召喚獣デッキではないし、おそらく召喚獣は十枚も入れてないのではないか?


あくまでも霧で召喚獣を無効化して、細かく削るのが理想の動き方であり、そのための仕掛け矢だったように感じる。


確かに多産の女王を失ったのは軽率だったが、逆に嫌な仕掛け矢が沈黙してくれたのは、チェコに有利に働くはずだ。


チェコは、岩のゴーレムを含めれば、二十枚の召喚獣を投入した、殴るデッキであり、その割には支援カードが少なかったかもしれない。


あまり無効化系のカードを入れすぎて、逆に回らなくなっている感もある。


何枚か、不意を突かれてカードを出されていることからも、この手のカードをあまり上手く使えていないのは、明らかだった。


もう少しデッキを考えないとな…。


チェコは思うが、まあ、初めて動かしたのだから不都合もあるだろう。


戦いのメドはつくかもしれない…。


と、それでもチェコは考えていた。


ただし、そのためにはタッカーのアースを空にしなければならなかった。


上手くチェコのアースが満タンで、タッカーのアースがゼロの場面を作れれば、おそらくチェコの計算は成り立つように思えた。


「召喚、ハンザキ!」


たぶんタッカーは、チェコがエンチャントを壊せない、とは、考えていないはずだ。


なので着々と軍備を整えていけば、必ず反応する。


新たなハンザキを出してから、チェコは、


「多産の女王!」


一気に展開した。


「以上!」


前のターンに残していたアースまで、全て使った。


タッカーは考え込んだ。


魯鈍がいる以上、中途半端な攻撃はしないはずだからだ。


つまり、前と同じ様に霧を壊して、一気に雌雄を決めに来る、と考えるはずだ。


ならばタッカーも、手をこまねいてはいられない。


「暴力の壁、飛行する壁、破壊する壁、召喚!」


一気に三枚の壁を並べた。


どうかな…。


と、チェコは考えていた。


だいぶアースを使ったはずだが、ゼロだろうか?


正確には判らなかったが、やるしかなかった。


チェコが、今にも殴り合うかのように、召喚獣を急に展開したので、急いでタッカーも対応し、三枚の壁を一度に並べたのだ。


こんなチャンスは二度はない!


「では俺のターン、冥獣アドリヌス、攻撃!」


タッカーの顔が、唖然となった。


「石化で、暴力の壁、及び破壊する壁、石化!」


む、と考えるタッカーに、


「キノコになーれ、で、飛行する壁二つを除去、そして…」


チェコは叫んだ。


「岩のゴーレム!」


二つの石化した壁の一つを、岩のゴーレムにすることに成功した。


「岩のゴーレム!

タッカー兄ちゃんを攻撃!」


タッカーは判断を迷っていたが、魯鈍でアドリヌスを受けるしか無かった。


そうでなければアドリヌスの攻撃にさらされ、即死だからだ。


そのため、岩のゴーレムはタッカーに向かえた。


「そして、巨人のエキスを岩のゴーレム!」


ゴーレムのサイズが倍になった。


「二つ頭、岩のゴーレム!」


えっ、とタッカーが驚いたとき、アドリヌスと魯鈍がぶつかり合い、激しい白煙が上がった。


六/六になった岩のゴーレムが二体に増えて、タッカーに襲いかかった。





「んー、またチェコに負けたか!」


タッカーは悔しがった。


とはいえ、たぶん収穫の方が多いと思っているだろう。

魯鈍を出せば終わるはずだ、とタッカーは計算していた、と思うからだ。


相手に、魯鈍と互角の召喚獣が出るなど、およそ考えられない。


その意味では、まさに大会前にチェコに当たって、得るものは多かったはずだ。


チェコも、勝利の喜びはほとんど無かった。


デッキの改良と、自分の使わない色のカードの理解。

課題が山積みだった。


チェコもタッカーも、すぐに自分のデッキの、再検討に入った。


「まず、スペル無効化を何枚にするかだな…」


青はパトスに依存しているし、五枚はいらない。

ただ、一アースで打てる、というコスパは、他に真似は出来ないから、ある程度の数は必要だった。


また、途中で多産の女王が仕掛け矢で攻撃されたとき、例えば二つ頭なら無傷に出来たし、巨人のエキスなら死ななかった。


召喚獣での戦いをメインに考えるデッキなら、補助スペルを惜しむべきではなかった。


そして、一番頭を悩ますのは、やはり石化と岩のゴーレムだった。


除去スペルとしては、頼りにならない石化だが、二アースで三/三の召喚獣が敵陣に現れる、という魅力は見逃せない…。


だが、スペルカードを二枚使う、というのは、それでなくとも五十と限られたデュエルの場では、かなりの負担ではあった。


全く無くして、三/三の召喚獣と、確実な除去を入れる、という手も、あながち間違えではない気も、チェコの脳裏にはよぎった…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ