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スペルランカー2  作者: 六青ゆーせー
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岩のゴーレム

ケンタウロスを石にされた金髪の男子は、


「以上」


と、うつむくが、赤毛の女の子は、


「その前に、瞬間魔法、岩のゴーレム!」


男子のフィールドに落ちていた、石化のあとに残った石。


それが、むくり、と身を起こすと、石の体を持った召喚獣のようになった。


と、ゴーレムは金髪の男子に向かって、攻撃を仕掛けた。

男子は、三のダメージを受けた。


「え、どういう事?」


チェコは驚いた。


無論、石となって死んではいたが、元々は男子の召喚獣だったはずだ。

だが、その相手フィールド内の石に瞬間魔法をかけてゴーレムを作り、それは相手の陣内で、相手に向かって攻撃を始めたのだ。


「な、熱いだろ?」


ケケケとルーンは笑った。


ゴーレムは今も相手の陣の中で、男子を睨んで威嚇していた。


「あれ、ずっと、あすこにいるの?」


チェコが聞くと、ルーンはニッカリ。


「死なない限りは、な。

あれは三/三の召喚獣になるんだ」


メチャクチャなスペルだった。

石化はとても普遍性の高いスペルなのに、そのスペルのカスであるはずの石を、自分の召喚獣にし、しかもそれは敵のフィールドにいるため、召喚したその場で、射程一だが攻撃も可能なのだ。


これは、相手にとって二度目のダメージになるし、しかもそのまま自陣に残り続け、除去しない限り、何度でも攻撃してくる、という。


「…面白い…」


パトスは唸った。


これは、当然、チェコも取り入れたいスペルなのだが、チェコのデッキは既にパンパンだった。


「これは、たぶん全てのデッキに入ってくるか、な?」


チェコは唸った。


石化を入れないのは、マイヤーメーカーなど、特定のこだわりを持つ人だけだろう。

色も選ばず、一アースで、完璧な召喚獣除去スペルなのだ。

そして、今、これは、更に破壊力を増す事になった。


「あのスペル、何色?」


チェコが聞くと、ルーンは親指を突き出して。


「灰色、一アースなのさ」


悪魔のような破壊力だった…。


「…チェコ、今すぐ岩のゴーレムを五枚買う…!」


パトスが叫んだ。


「え、そんなに焦んなくたって…」


だがルーンはケケッと笑って。


「もう売り切れなのさ。

世界中で大ヒットしてるんだ!」


ええっ!


と、チェコは叫んだ。


どおりで昨日、店を見たときに無かったはずだった。


「、、チェコ、もしかしたら、春風亭ならあるかも、だわ、、」


ちさが教える。


チェコは、バトルシップに入店して五分で、青ざめて屋敷まで全力疾走で戻った。


三十分後…。


衣装を整えたチェコは、春風亭で、なぜか木箱に入った五枚のカードを、手に入れていた。


「…あ、危なかった…。

最後の五枚だって…」


バトルシップに行かなければ、知らずにいたかもしれない…。


「やはり、流行の発信地でやらないと、意味がないようだな」


ヒヨウも、最新カードの大流行ぶりには驚いていた。


スペルバトルは、常に最新スペルが販売されており、これ程、決定的に使えるスペルだった場合、一瞬で世界中を野火のように焼きつくしていく。


チェコはバトルシップで、忘れられた地平線に続き、岩のゴーレムも知った。

到底、学校の闇デュエルなどでは、こーいう情報は知り得ない。

情報の発信地に足を運ばなければ、とても大会では戦えないのだ。


しかし…。


岩のゴーレムは、どれ程の有用性を持つのだろうか?

とにかく、石が無いことには使用することすら出来ないようだ。

だからこそ、一アースで動くものらしい。


五枚入れて、五枚使えるのなら素晴らしいコストのカードだが、まず敵の召喚獣五体を石化する、というのは、結構ピンチな情景の気もした。


「普通に戦っていたら、まあ二枚も使えば上等かな?」


二体のゴーレムが一発づつ殴れば六ダメージなので、あとはチェコの側に四のダメージを打てる召喚獣がいさえすれば勝てるわけだ。


だがデュエルは、膠着することも、当然ある。

そうなったとき、五枚までではないにしろ、まとまった数があれば、安心なのは事実だ。


「…チェコ、これ、自分の石になった召喚獣にも使える…」


ええっ! と、チェコは二度、驚いた。


「相手が石化してくれたら、やられる前にやれば、一アースで三/三の召喚獣になっちゃうの!」


おそらく、今度の大会では岩のゴーレムと、忘れられた地平線は渦の中心になるだろう。

一番勝つデッキは、それを使うデッキか、それについて完璧に対策したデッキであるはずだ。


そういう流れは、チェコは人伝えに聞いたり読んだりしてワクワクしていたが、いざ自分が渦中にいる、となると、まるで激流の中を泳ぐようだった。


昨日まで考えていた事と、全く別の事を考えなければならないのだ。


岩のゴーレムは、ともかく必ず五枚入れなければならないだろう。


逆にチェコは、もしかするとキノコになーれ、を攻撃の中心に据えるかもしれない。

しかし、パンパンのチェコのデッキに、あと五枚のカード、入るのだろうか…?



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