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スペルランカー2  作者: 六青ゆーせー
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ダウンタウン

「基本的には、たぶん雷とか火球が使いやすいと思うよ」


チェコは二人に話す。


「あとは二つ頭かな。

防御にも使えるのが、二つ頭の利点なんだ」


と、ベーシックなとこを語り、


「敵から逃げるだけなら、この透明化や飛行なんかもいいと思うよ」


みな、わずかなアースで使えるスペルだし、この辺は使用感はチェコには判っていた。


「召喚獣は、人間に与えるダメージは半分になっちゃうから、護身用には攻撃スペルや敵から逃げられるスペルがおすすめかな。

あと底なし沼なんて、緑と黒が必要だけど、相手一人は完全に無力化できるから、使えれば便利だよ」


「護身用に特化したものもあるぞ。

この電気ショックは、相手を昏倒させ、しばらくは動けなくさせる。

また、だんご虫は、自分も動けなくなるが相手の攻撃は一定時間、無効だ」


とヒヨウも教えた。


確かに、デュエルでは電気ショックやだんご虫は使わないスペルだ。


電気ショックは、相手を殺さないので除去スペルにならないし、だんご虫も一定期間、敵か味方がただの障害物になるだけのスペルだからだ。


ただし、チェコはいつまた戦いに身をおくか判らなかったから、二つのカードは買っておくことにした。


実戦では、例えばだんご虫は、山津波が起こったとしても我が身を守れるかも知れなかった。


チェコ自身、目的はスペルの発掘だったから、色々眺めた。


小さくなーれ、は青の瞬間スペルで、巨人のエキスとは逆に、敵を弱くする魔法だ。


むろんバトルでも使えるが、実戦で色々できそうだ。


毒矢、は大マンモスでも瞬殺できる毒をこめた矢を打つという。

だが、赤の機械や、黒のしゃれこうべのようなアンテッドには効果がない。

天使にも効かないそうだ。

たぶん、野生動物には効果的かもしれない。


道しるべ、というアイテムもあった。

十個の道しるべを、置けるらしい。

まだチェコはそういったものには遭遇していないが、迷宮などでは役に立つかもしれない。


付加に使えるか、がチェコの判断の基準だった。

それを考えると迷うところだ。


「アイテムは付加につかえないよね?」


「たぶん無理とは思うが、俺は専門じゃないから判らんな」


とヒヨウも肩をすくめる。


幸い、今のチェコには経済的なゆとりがあったので、小さくなーれ、毒矢、道しるべも買ってみた。


パトリックとカイは、色々相談していたが、パトリックが何枚かのカードを買ったようだ。


「チェコ、今日は本当にありがとう。

うちの者も心配するから、もう帰るよ」


チェコたちは帰るパトリックを見送った。


「チェコ、そういえば、どうだったんだ?

プラムパイは旨かったのか?」


ヒヨウが問うと、チェコは複雑な顔で。


「うーん、大人の味…?

少し、なんかお酒の味もしてさ、なんだろう…?

甘いんだけど…な…」


チェコには複雑すぎる味だったようだ。






チェコたちには、まだ外食という概念は無かったので、屋敷に足を向けた。


ヒヨウが先導して、裏道を歩くと、十分もかからず屋敷に戻れた。


チェコたちは塀を超えて、木の茂みで元の服に戻り、部屋に帰った。


早速、部屋で買ったカードをみていると、


「お昼ですよ」


と、アンが呼びに来た。


「今日は、季節だからアンズのケーキもあるんですよ」


「おー、アンズ、大好きだよ!」


プラムとアンズの違いを、チェコは判っていなかった。


ローストチキンのサンドイッチ、スープとナスのニンニク味の煮物、それにさわやかなあんずのムースケーキを食べ、大満足していたチェコに訪問者があると、門番の兵士が告げた。


「カイ!

どうしたの、いったい!」


カイは、さっきまでの礼服ではなく、動きやすい、手足にゆとりのある服を着ていたが、


「パトリックが誘拐されたんだ!

あの猫も一緒に連れて行かれている。

もしかしたらパトスなら、何か判るかと思って!」


すぐにチェコやヒヨウも馬車で出た。


「パトス、匂いを探れる?」


「…街には沢山の匂いがある…」


パトスは唸った。


「ちょっと捜索を使ってみよう…」


言ってヒヨウは、エルフの長老からもらったカードを取り出し、額に当てた。


しばらくすると、する、と走っている馬車を出て御者席に移動し、兵士に変わって馬車を操った。


馬車は、ダウンタウンに入っていく。

道幅が狭くなり、歩道が無くなる。


道からはみ出すように物が溢れ、馬車道に人が溢れ出す。

荷馬車がのろのろと進み、人力で二輪の台車を引いたり押したりする人も増えてくる。


その混乱の中、ヒヨウの操る馬車は、かなりの速度を維持しながら路地に飛び込んだ。


「ここで降りるぞ!」


路地は、馬車で進むには狭すぎる場所だった。

道の左右に木造の小屋が立ち並び、進路を塞ぐ。


「こっちだ」


ヒヨウは小屋の間に入り、どかどかとチェコたちが乗り込んでもタバコを吸い続ける老人の横を進んで、狭い石造りの構造物に入っていく。


「下水か?」


その辺りで生まれ育ったカイは、判ったらしい。


「パトリックは地下にいる。

詳しいものがいるから、案内を仰ぐ」


ヒヨウは端的に告げた。


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