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スペルランカー2  作者: 六青ゆーせー
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貧民窟へ






「チェコ。

お前、変わった指輪をしているな」


エズラがチェコの右手に目を向けた。


「ああ。

ゴブリンの陵母にもらったんだよ」


「お前、ゴブリンに会ったのかな!」


ウェンウェイが驚いた。


「うん。

貧民窟の皆と友達になって、貧民窟の奥の岡にゴブリンがいるって教えてもらってさ。

会ったら、ゴブリン、あそこは俺の所有地だって言うんだよ」


ウェンウェイとダリア、ブーフは視線を合わせた。


「確かに、お前の母親に縁のある場所ではあるがな…」


ダリアは考え込んだ。


「え、ダリア爺ちゃん、あそこの事、知ってるの?」


三人は黙ったが、ブーフが。


「北に八侯の一国、バピストがあるのは知っているな?」


「うん、ドルキバラと戦ったって?」


「つまり、ドルキバラは領地を守ったが、別にバピストを止めたわけではないかな」


ウェンウェイが言葉を引き取った。


「遠吠え川を南下すればヴァルダヴァになるかな。

だから、ここに要塞が必要だったかな」


「あ、知ってるよ!

ドリュグ聖学院も、元々要塞だったんでしょ!」


チェコは言うが。


「バカもん!

このヴァルダヴァの岡、全てが要塞なのだ。

だが、その肝は遠吠え川沿いの、ゴブリンの陵なのだ。

これがあるからヴァルダヴァは難攻不落の要塞であり、バピストも俺たちがここを取った事で、南下を諦めた」


ダリアが教えた。


「え、っと?」


予想外の話しに、チェコも混乱した。


「まあ、お前の母方の人物がゴブリンを説得してくれたのかな。

ゴブリンが味方に付いたのなら、いかなバピストでも敵わない。

戦争は、ドルキバラとヴァルダヴァを押さえたことで、我々が辛くも勝ったのかな」


ん、とチェコは考え込み。


「だから、貧民に開拓を許さないのかな?」


「開拓だと?」


ダリアが驚いた。


「うん。

貧民窟の生活が苦しいから、色々手を打っているんだけど、憲兵が邪魔をするんだよ」


ダリアたちは困惑の視線を交わし、


「お前の話しは訳が判らん!

ちょっと見せてみろ!」


一行は貧民窟に向かうことになった。


馬車でチェコはドリアンたちの悪行をダリアたちに訴えた。


「奴ら、俺の作った池に毒をいれたんだよ!」


「なんの毒か分析したんだろうな」


ダリアは相変わらず細かい。


「腐敗草の蒸留液だよ。

ちゃんと池の底から矢を回収してある」


「あれは時折、自生してしまうから証拠になりにくいな」


とダリアは目を細める。

確かに、湿った場所に偶然自生してしまう事故は、よく聞く。


「俺が回りを探った。

腐敗草が自生するような環境じゃない」


ヒヨウが言った。


「あの陵は特別な場所だから、本来は貧民窟になどしてはいけない」


ブーフは厳しく言った。


「奥の岡だけが陵なのではなく、あの辺一帯の地下に遺跡がある。

そこに何があるのかは、現在では森の女王も判らないらしい」


「あれ、森の女王って、黒龍山の?」


「彼女は古代からの家系のお方かな。

大抵の古代種族は彼女を敬っている。

だが、あの陵の下には、解放してはならない、とてつもなく恐ろしいものが封印されており、その番人としてゴブリンが守っている、と伝わっているのかな」


博学のウェンウェイが教えた。


「解放してはならない恐ろしいもの?

悪魔とか?」


チェコが知る中で最も恐ろしい怪物が、古代の止まった時間の中に封じられているという悪魔だった。


奴は、全てが止まった凍りついた時間の中で、己を召喚するために人が捧げた生け贄を自らの肉体に取り込んで、それのみを愛でて何もない世界に耐えている。


「ドルエヴァは封印などできないからな。

なにか、生物なのは間違いがない」


ブーフは言った。


「だから、人間などが入り込んではならないのだ。

そのためヴァルダヴァの地下はプロヴァンヌの支配地になっている」


あ、とチェコは叫んだ。


チェコはその紙を見つけていた。


馬車が貧民窟に到着した。


長髪の男や、その弟、入れ墨のヤクザなどが、すっかりチェコのしもべとばかりに集まってくる。


「なかなか、良く出来た浄水池かな」


ウェンウェイは褒めてくれた。


池から川が流れて、岡の脇を流れていく。

そして貧民窟も、いつの間にか川に沿って小屋が並んでいた。


洗濯物が干され、子供たちが走り回っている。


最初の頃に比べれば、ずっと身綺麗になった奥さんたちが、洗濯をしながら賑やかに笑っていた。


「ちょっとまて!」


ブーフがチェコたちを止めた。


地面の一部がネットリと波打っていた。


「ノームか…」


ダリアが呟いた。


「え、土の精霊の!」


チェコは驚くが、ダリアは苦々しく、


「そんな上等なもんじゃない。

おそらく、お前がやっているカード遊び程度の小物だ」


「って、事は、スペルランカーがここに?」


ブーフは警戒しながら、


「遠くで操っているらしいな」

 

「俺、ノームなんて始めてみるよ!」


チェコは興奮した。

ノームは、上半身を土から出し、鋭い掻き爪のある両手を頭上に掲げ、威嚇の叫びを上げた。


「おそらく、火の精霊のゴブリンに対して、土の精霊のノームは優位なので、使ってきたかな」


ウェンウェイが教えた。

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