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スペルランカー2  作者: 六青ゆーせー
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カウンタースペル

サルの前には岩亀と柔らかい水、二体の召喚獣が並んでいた。


二体とも攻撃は出来ないが五/七、六/六とサイズのあるブロック要員だった。


チェコは、


「声マネキ召喚」


と忘れられた地平線を付加した召喚獣を召喚する。

四/八となかなかのブロック要員だったが、サルは無表情なままだった。


「時限爆弾」


エズラからもらったカードを出す。

さすがに打ち消しスペルを出すかと思われたが、サルは微動だにしない。


もしかするとチェコのゲルニカに照準を絞っているのかも知れなかった。


チェコもアースを半分以上使ったので、


「以上」


とターンを終えた。

青使いのサルは、どんなカードを使ってくるか判らなかったので、気は抜けなかった。


防御召喚獣を並べて打ち消し勝負をするにしても、どこかで相手のライフを削らなければ勝てない。


また、デュエル、決闘の名の通り、これは本来命と名誉をかけた死闘なのであり、消極的に守りに行っている、と判断されたら、逆に減点の対象にもなりかねない。


だからサルは、何らかの攻撃手段をデッキに内蔵しているのは確実だった。


世界大会を目指しているのだ。

何らかのギミックは用意しているはずだった。


「じゃあ、そろそろ行こうかな」


サルはニィと笑い。


「風車…」


そうだ。

サルのデッキに風車が並んだら、誰にも止められない、と確か聞いた。


確かに五枚の風車が毎ターン、五つの青アースを吐き出したら、手に追えない。


「スペル無効化!」


チェコは慌てて打ち消した。


「スペル無効化にスペル無効化!」


サルが被せてくる。


「闇の消去!」


チェコも、ここは譲れなかった。


「スペル無効化!」


サルの声が張りつめる。


「打ち消し!」


サルが、チェコを睨んだ。


「スペ…、いや、止めておく」


チェコは苦心の末、風車を落とすことに成功した。


が、


「それでは、風車」


あっ、とチェコは叫んでしまう。


確かに、五枚全てが出れば越したことはないが、別に四枚でも構わないのだ。


チェコは一瞬悩むが、


「スペル無効化…」


打ち消しスペルを使うと、サルは肩をすくめて、


「参った」


ターン終了を告げた。


勝負には勝ったが、打消しスペルを四枚も使ってしまった。


先が長くなるだろう事を考えたら、喪失感すら感じる。


サルは結局二枚の打消しスペルを使っただけだ。


なかなか巧妙な駆け引き上手だった。


そして相手が沢山の打消しを持っていると思うと、迂闊にチェコは勝負に行けない。


チェコは探るため、


「黄金蝶」


とパトスはかなり嫌がった召喚獣を出してみたが。


サルは言葉も発さずスルーする。


「森と闇の修験者」


スルーだ。


「ゴブリン」


一ダメージを毎回打てるゴブリンだが、サルは静かに机を見つめていた。


ん、とチェコは考えた。


もしかすると一々召喚獣に反応するのではなく、試合を決めるカード、例えばゲルニカ、が出たときに確実に落とせるように待っているのかもしれない。


確かに黄金蝶にカウンターをしていたら、何十枚打消しスペルを持っていても足りなくなってしまう。


だがアースが増えるのはサルだって驚異のはずなのだ。

小型のアース生産召喚獣などには、なにか別の対策があるのだろうか?


チェコはカウンタースペルを警戒していたが、しかし展開が遅くなれば、それだけサルに有利に働く。

それはミカとの戦いでチェコも思い知っていた。


「エルミターレの岩石」


サルは、ん、と机の上の岩石を見る。


気が変わらないうちに、


「しゃれこうべ」


小型アース生産召喚獣を展開した。


「審判、まだ考えていたんだが…」


サルは抗議するが、


「三秒は経過していた。

ルール上ゲームの進行は妥当だ」


そっけなく返され、サルは肩をすくめた。


「金神様」


チェコは早めに勝負に出た。


サルは迷うが、首を振った。


「俺が五のダメージを受け、ウサギ二匹、黄金蝶、森と闇の修験者、しゃれこうべをタップ」


サルは五のダメージを受けた。


「続いてダメージ転移」


え、とさすがにサルも驚いたようだが、不意に諦めた顔をした。


「二アースのカウンターしか無い」


サルは五のダメージを受けた。


合計、十のダメージをサルは受け、ライフがゼロになった。


「チェコ・ラクサクの勝利」


チェコは、逆に驚いていた。


偶然とはいえ、青のカウンタースペル使いを早いターンで倒せたのだ。


「やれやれ、早くからスペル無効化を使いすぎてしまった。

まさか金神とはね」


サルは天を仰いだ。


「だが、エルミターレの岩石はただ置いただけなのかい?」


「いや、これで終わるとは思ってなかったから、タップを利用して次の手も考えていたよ」


チェコが教えると、サルはオーバーに肩を落とし。


「変なデッキを作ったもんだね、呆れるよ。

でも、そのデッキでどこまで勝てるのか興味はある」


言うと、チェコとサルは握手をし、会場から拍手が上がった。

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