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スペルランカー2  作者: 六青ゆーせー
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青対決

まー、二十年や三十年は死なないな…。


と、チェコはダリアとウェンウェイの寿命を勝手に決めつけ、バトルに集中することにした。


赤毛のサルは、青使いで、チェコが戦った青使いと言えばミカしかいない。


あれも偶然勝てたような戦いだった。


これから上の戦いには、青や白、紫、赤など専門的なデッキが多くなるだろう。

当然、チェコの知らないカードや戦法も多くなる。


だが…。


確かに、いずれはエズラはチェコを必要とするし、老人と大人だらけの旅でエズラが心の鬱屈を抱えているのも理解できる。


そして、病気というのは、心と不可欠なものなのも、ダリアの助手を勤めていたチェコには判った。


もっと気楽に付き合える同年代の友達が、エズラには必要だった。


俺にも…、役目はある…。


エズラを立派なプロブァンヌの王にするには、皆がエズラを支えなければならなかった。


おそらく…。


それはユリプス候の願いでもあるのではないか?

おそらくゲルニカは、その駄賃のようなものだ。


俺は、エズラの友達になり、ガス抜きなり、ダウンタウン観光なり、可能な限り楽しい時間を過ごさせてやれば、それはエズラの心を軽くし、体にもよい影響があるはずなのだ。


それには、このヴァルダヴァという国もうってつけだ。


先の戦いでタップリ恩を売っているし、母国では知らぬ人の無い王子様のエズラも、ここならただの喘息の少年でいられた。


母国なら、咳を我慢しなければならない事もあっただろうが、この国では好きに病気になれるのだ。

そんな解放感も、きっとエズラには大切に違いない。


考えながら、チェコはサルとの戦いに備えた。


どんなデッキかは判らなかったが、風車を並べて大量のアースを使う、となるとスペル無効化などを大量に使うデッキか、水地系で大量の魚召喚獣を襲わせるデッキだろうか。


チェコは、早い勝負を狙わないといけない戦いのようだ。


戦いは四戦なので、チェコの待ち時間はそう長くない。


スペル無効化系の、闇の消去や打ち消し、を増やすぐらいしか、この場で出来る対応策は無かった。


風車はアイテムなのでアイテム破壊と、土石流も大いなる幻影と共に入れておく。


やがてチェコの番になった。


サルは、顔にヤンチャな入れ墨を掘った、どう見ても大人だった。


「おー、チビがベスト五とは頑張ったな」


既に勝った気でいる。


「サルさんは去年は何位だったの?」


チェコは、おもいっきり子供ぶって、聞いた。

その方がウケる気がしたのだ。

聖歌隊に入ってから、自分はそれなりに小柄で可愛い、ということにも気がついていた。


リコ村では汚いとか乞食錬金術師の拾われ子、などと言われ、自分はみすぼらしい、と思っていたが、貴族と肩書きがつくと、小柄で可愛い、になるらしかった。


「俺か?

二位よ!」


つまり、マイヤーメーカーと戦い、破れた、と言うことだ。

今年こそは、と張り切っているだろう。


「やっぱりマイヤーメーカーは強かったの?」


無邪気に聞くと、サルは苦笑しながら。


「まあな。

奴は十以上はアースがあるからな。

アース負けした。

だが、今年は風車があるし、俺も魔石を揃えた!」


フフン、といきんだ。


やはり世界レベルのプレーヤーはアースも充分に備えているらしい。


「凄いなー!」


と憧れの眼差しでサルを見て、チェコはおだて上げた。


「まー、本来、赤を倒すのは青なんだよ。

今年は世界に行かしてもらうぜ!」


サルは自信満々に笑った。






コイントスでチェコは先攻を取った。


「黄金虫!」


「スペル無効化」


素早くサルはカードを切ってくる。


「闇の消去!」


チェコが被せた。


「スペル無効化」


さすがに青使いのサルは、湯水のようにカウンター魔法を使ってくる。

おそらく、実装している量が数段上のはずだった。


チェコは黄金虫をあきらめた。


「ウサギの巣穴」


サルは薄く笑っただけだ。

どんなにカウンタースペルを揃えても、五十枚の縛りがある以上、全てを落とすわけにはいかない。


無害と思うものは、すんなり通るらしい。


「ウサギ」


「またウサギ」


サルは肩をすくめて、二枚のウサギを通した。


「地獄の門」


チェコがカードを出すと、即座に。


「スペル無効化」


この危険性は理解していた。


チェコは、カウンター勝負には勝てないことは判っていたので、地獄の門はあきらめた。


「以上」


サルは指をパチンと鳴らして、


「岩亀」


「岩亀は、五/七の大型召喚獣なのである。

が、水地系でない限り、攻撃は出来ないのである」


エクメルが教えた。


しかし、攻められる心配はないにしても、これを崩すのは難しそうだ。


「柔らかい水」


「柔らかい水は、六/六の召喚獣で、物理攻撃や火炎系の攻撃は受けつけないのだ。

が、これも攻撃は通常は不可能なのだ」


どうもサルは、守りを固めて、カウンターを主体にする気のようだ。

どこかで相手にダメージは与えなければ勝てないが、それは最後の一手、と考えるのかもしれない。


「おしまい…」


ニィ、とサルは笑った。

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