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スペルランカー2  作者: 六青ゆーせー
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対策アイテム

相手の、おそらく四年生は消滅の壁を張ったあと、風車を出した。


青とアイテムのデッキなのだろうか?


「以上!」


相手は、三アース以上残してターンを終えた。


おそらくチェコの攻撃に備えているのだろう。


黄金虫はもう出せないが、ゲルニカは出る。

出たら終わりなので神経を尖らせているのだ。


相手の頭上に光っていたアースは三つだったが、それで三アースとは限らない。


アイテムを持っている場合があるからだ。


消滅の壁、がゲルニカ対策、と思っていると、何か即時系のカードを打たれる可能性もある。

決めつけるのは危険だった。


チェコは、


「時限爆弾!」


相手の意表をついたカードを、場に出した。


「なに!

アイテムも使うのか!」


驚く四年生。


むしろチェコのデッキは、アイテムが主力だったが、今までの戦いでは見せていない。


相手の顔色を見るに、どうやらアイテム破壊を抜いて、天使対策に奔走したらしい。


どうせ壁しか出していない相手なら、むしろエルミターレの岩石を出しても良いのだが、時限爆弾も召喚獣を出さなければ、ただの鉄の塊に過ぎない。


「ウサギの巣穴、そしてウサギを二匹!」


飛行を持っていることを、あえて対戦相手に伝える意味も無かった。


召喚獣が二匹出たことで、時限爆弾には二つ、カウンターが乗る。


まだアースに余裕はあったが、敵がどう出るのか判らないので、


「以上!」


とチェコはターンを終えた。


敵は、難しい顔をチェコに向けていたが。


「時限爆弾とは悠長なアイテムだな」


憎々しげに語り、不意に、


「岩のゴーレム化!」


チェコのウサギをターゲットにした。


「スペル無効化」


チェコが落とすと、


「マンタ!」


四/四の、水地形でない限り、ブロックにしか使えない召喚獣を、出してきた。

ただしマンタには毒があるため、ブロックされると毒カウンターが乗ってしまう。


壁に、水地系か…。


守りを固めて、何か特大マジックスペルで仕留めるデッキなのか、またはどこかで地形カードを出すつもりなのか…?


マンタは四アースのスペルなので、敵は打ち止めらしかった。


「以上!」


時限爆弾は敵の召喚獣が場に出てもカウンターが増えるため、現在三だった。


「召喚、声マネキ」


四/八の召喚獣が出て、カウンターが増える。

エンチャントもアイテムも出ているので、ダメージはどこでも流せる。


「続いてパンジードラゴン」


カウンターは五になり四/四のドラゴンも出た。


充分に相手を殺せる環境は整った。


「召喚、天使ゲルニカ!」


「出たな!」


敵の四年生は嬉しそうに叫んだ。


「消滅の壁に、飛行!」


「消滅の壁に、時限爆弾!」


四年生が、なに! と叫んでいる間に、飛行した消滅の壁は爆破された。


「ゲルニカでアタック!」


「生け捕りの牢獄!」


チェコも驚いたが、それはアイテムで、召喚獣を殺しはしないが閉じ込める、というものらしい。


だが、生け捕りの牢獄は赤く光り、


「ただいまチェコ・ラクサスのターンです。

アイテムを召喚することは出来ません」


とアナウンスされた。


くそっ! という叫びと、天使に瞬殺される叫びが、ほぼ同時だった。


生け捕りの牢獄、か。


おそらくゲルニカを使っていれば、今後も見かけそうなアイテムだ。


色縛りがないし、死んだわけではないから使用済みからの再生、もない。


ある意味、完璧に抑えられる。


チェコが勝利の報告に行こうとすると、見ていたタッカーが、


「ベスト十からは試合を審判も見るから、違反も出来ないし、報告も要らないんだよ」


と教えてくれた。


そして…。


「ここからは、あそこでやるんだよ、チェコ」


タッカーが指差したのは、いつかマイヤーメーカーがやっていたステージ席だった。


「うわ、マジ?

緊張する!」


チェコはビビるが、ルーンが、


「ほら、相手は森地形の森のこだま、使いだ。

やっつけてくれよ、チェコ!」


金髪を止めたため、すっかりモブになり、今の今まで気がつかなかった。


少し、剃っていた眉毛が生えてきていた。


「うん。

ルーンもやられたの?」


「お前と奴が一ターンキルを連発しているんだ!」


見ると、腕にも、毛が生えかけている。

チェコは、実のところ同級生の陰毛事情にとてつもない関心を持っていたので、どうなのか聞きたかったが、さすがに今は止めておいた。


まー、タッカー兄ちゃんみたいに、大きくてもない人もいるんだしね…。


「では、五位決定戦は、順次ステージで行われます」


「あれ、俺もう五位なの?」


「いやいや、六位だよ。

六位は六四人いるけどね」


タッカーはアハハと笑った。


「僕はまた、八位だったよ。

八位の壁だなぁ」


「俺、七位だ」


モブのルーンが語ったので、タッカーは顔を曇らせた。


「あの地形野郎にやられたんだ。

対策に水地形を持ってたんだけど、奴は森を二枚持ってたんだ」


やはり地形戦になりそうだった。


次々とステージに出てきて、子供から、二十代ぐらいまでの男女が戦う。


岩のゴーレムデッキも見かけたが、皆、かなりオリジナルデッキが多かった。


小型の飛行召喚獣を大量に出すデッキは、手数で押しきった。


「キーカードは、やはり風車五枚だな」


タッカーが唸る。


どんどんアースが増えていくので、最後は凄い数の飛行召喚獣が現れ、相手を圧殺した。


土石流で全てを破壊し、再生召喚獣一体で勝ち残った奴もいた。


「あれは危ない勝ち方だな。

次は負けるだろ」


ルーンは無意識か、腕の毛を逆撫でしながら戦いを論じていた。


やがて、チェコと地形使いロドニーの戦いの番になった。

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