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スペルランカー2  作者: 六青ゆーせー
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新しい相手

「そういえばマイヤーメーカーはいないみたいだね?」


チェコがタッカーに聞くと、


「ああ。

彼女は別格だからヴァルダヴァ城からだよ」


さばさばと後片付けをしながらタッカーは教えた。


シードという特別権利が優勝者には与えられるのだという。


チェコは勝った旨運営に報告し、次のテーブルを教えられたが、対戦相手は見えない。


まぁ、チェコもエズラのデッキをよく見る時間が欲しかったので、ちょうど良かった。


スペル無効化などは同じだが、第二の消去スペルに、エズラはやり直し、という1アースのカードを用意していた。

カードボックスに戻すだけだが、ライフを犠牲にして召喚する、などの特殊なスペルには大きな打撃になるし、ゴーレム化などはタイミングは外せる。


アースを大量に使うスペルであれば、相手のダメージも大きいはずだ。


とはいえ…。


五枚は必要ないかな?


チェコは思った。


時限爆弾は必ず破壊したくなるアイテムなので、いれたいが、幻影の魔道師、冥府の使い、など魅力的な召喚獣も捨てがたい。


風車も、青アースを無条件に発生させるアイテムで、キーアイテムの多いチェコのデッキには合っているし、エルミターレの岩石を使わなくてもアースが手に入る利点もある。


また、召喚獣ではないのでゴーレムにならない利点もあった。


チェコは、呪いの石像の変わりにゲルニカを入れていたが、時限爆弾もあれば、呪いの石像からゲルニカ召喚という動きも可能だ。


石像が打ち消された場合、それに合わせてゲルニカを出されたら、相手もまず手を出せない。


また、チェコの予想したように、ゲームから除去された召喚獣を戻すガードは存在した。


地獄の門というエンチャントで、毎ターン、その召喚獣の召喚コストで、再度ゲームに復帰する。


長引けばチェコも、これやゲルニカにやられていただろう。


元々チェコのデッキは、エルミターレの岩石による大量アースで動くデッキであり、今、一ターンキルを連発しているのも、一種の偽装工作のようなものだった。


黄金虫はゴーレムになっても、チェコがコントロールさえしていれば、エルミターレの岩石のタップ要員になるだけでも充分に意味はある。


とにかく早く岩石をセットできる事が肝、と考えると風車の存在は大きかった。

そしてスペル無効化や打ち消し、を多用できると考えると、二重に風車は意味がある。


月齢と補食を抜くか、それともウサギ三点セットを抜くか、それとも闇の消去を少なくするか…。


考えているうちに、テーブルに対戦相手が座った。


「ふふふ。

プロヴァンヌの貴族だかなんだか知らないが、ゲルニカは封じられるぜ!」


確かにダメージで殺すのは難しく、また、プロテクションを全色持っているので倒しずらいが、ゲルニカも無敵ではない。


無色の、即死系のスペルであればゲルニカも屠れる。


ただし、さすがにこの急場でそれを複数枚は入手出来なかっただろう。


チェコは素早く、風車を二枚、闇の消去と差し替えて、やり直し、を一枚、打ち消し、と交換した。





コインを投げ、相手の、タッカーと同年代風の男子の先攻になった。


学年で言うと、おそらく四年か五年だろう。

タッカーは修道院で勉強を教わったが、年齢は多分四年になるはずだ。


そういう、基本的な算術や読み書きを教わり、職人になる子供も多い。


今、バトルシップにいる子供も、基礎学力は寺院などで身につけて、職人や商人になる子供や、そこから逃げ出したタッカーのような子供も多い。


タッカーは腕のいい蝋燭職人だから、まだ良いのだが、ランカーだけで軍には入れない。


士官は少なくとも六年制の学校を卒業している必要がある。

無論、エルフは別だが、エルフも誰彼なく入れるわけではない。


ランカーになれなかった少年たちはどこへ行くのか…?

冒険者ギルドか?


しかしランカーになれない腕の魔術師を、ギルドも必要とするかどうか?


ふと心配したチェコだが、対戦相手は消滅の壁を召喚した。


なるほど無色の壁であり、ブロックした相手は壁とともに消滅するが、飛行は持たない。

そこはコンバットトリックで補うのだろうか?


壁を飛ばしてもいいし、可能ならゲルニカが絶対に壁をブロックする呪文などがあればいい。


そういう呪文は存在するが、あまり需要はない。


キー召喚獣があるデッキばかりではないし、むしろ少数と言えるからだ。


召喚獣は、デュエルでも、現実のマジック戦でももっとも使われるスペルであり、事にデュエルでは召喚獣の巧みな用兵を求められる。


なので、除去スペルも種類も多彩で、色々なシチュエーションのマジックが用意されていた。


ある召喚獣と、自分の指定した別の召喚獣を戦わせる、というのもそのパターンの一つだ。


ただし、戦いに勝ってもダメージは残るので、敵に攻撃スペルなどを食らって倒されるパターンも多く、除去スペルとしては、かなり不完全なものだ。


デュエルはお互い五十枚のカードを使って戦うので、一枚のカードに対して二枚のカードを使うのは、単純な算数の上ではコスパが悪い。


相手にそれを強いるのだったら、その考えでは加点なのだが、現実、勝てるつもりで戦わせた、主力の召喚獣を失うのでは、割に合わない。


ただし消滅の壁ならば、そもそも相討ち狙いなので、ゲルニカが落とせるならお釣りが来る、ようなものだった。

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