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スペルランカー2  作者: 六青ゆーせー
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対タッカー

えー、プロブァンヌの王子様をお守りしろ、って…。


チェコ自身が、今やハイロン準爵とホムンクルスたちに狙われている身なのだ。


が、すっ、とヒヨウが出てきて、


「仕方ないな。

チェコ、彼は俺が守るからお前は戦いに集中しろ」


「助かったぁ~。

エズラ、彼はヒヨウ。

エルフだから安心して」


教えると、エズラは、おおっ、と感動して。


「彼がエルフなのか!

初めて見るぞ!」


王子様は、そこら辺の、おのぼりさんと変わらなかった。


デュエルの勝ちの報告をしに行くチェコに、エズラは、


「チェコ、このデッキを使ってみろ」


と、あの爆弾デッキを、スペルボックスごとチェコに渡した。


「えー、俺、あんまり青は持ってないんだけどな」


「なに、俺もニアースしか出ない。

これも持ってけ」


王族らしく、あっさり指に着けていた黄金に装飾されたサファイアらしきウズラの卵ほどの石のはまった指輪をチェコに渡した。


ん、とチェコが指にはめると、


「あれ、サイズが俺の指に合うように動いた?」


「それはプロヴァンヌの家柄のものにしかつけられない指輪なんだ」


涼しい笑顔でエズラは教えた。


デッキを見ると、チェコは唸る。


それは単純な爆弾デッキ等ではなかった。

とんでもない仕掛けが入っていたのだ。


召喚獣ゲルニカ。


現に相手を殺せるだけのスペルが自分の場に出ているときにだけ出せる、0アースの白の天使。


それは悪魔的な力を持った、途方もない天使だった。


「こんなカード、見たことない…」


チェコは唸った。


「そりゃそうだろ。

お祖父様秘蔵の一品だ。

お前に会いに行くのなら持っていけ、と渡された。

だから、デッキと指輪ごと、お前にくれてやる」


いや、王族といっても気前が良すぎるだろ、とはチェコは思うが、しかし…。


一度、この悪魔と言っても良い天使を、動かしてみたかった。


「うん、じゃあ、とにかく、今は預かるよ」


チェコはゲルニカを自分のデッキに組み込む方法と、新しい青アースの使い道を考えていた。


エズラを倒したことでチェコのランクは上がり、デッキを組み直す十数分の時間の後、チェコは新しいテーブルに向かった。


「やーチェコ。

そろそろ会うんじゃないか、と思ってたよ」


「あー、タッカー兄ちゃんか」


お互い、手の内が判っている分、エズラのデッキが生きそうな相手だった。


コインを投げると、チェコが先攻を取れた。


「じゃあ、俺は黄金虫!」


「それ、まだ押すつもりなのかい?」


初回と言うことは全てのスペルランカーが、あらゆるカードを使える状態だ。

一度、一ターンキルをして見せた戦法が、そう何度も通用する訳はない。


「まー、たまにでもうまく行けば!」


チェコは前向きに言うが、タッカーは、あ、そう、と空返事をして。


「岩のゴーレム化!」


石化の二度手間を省いた、なかなかに強力な除去&攻撃カードだった。


チェコは、


「エンチャント反逆」


ゴーレムのコントロールを奪った。


タッカーは一瞬迷い、


「まあ、ゴーレムならいいか」


と手を上げた。


と、その手にチェコは、ふむ、と目を向け。


「タッカー兄ちゃん?

お肌も白く塗ってるね?」


タッカーは柄にもなく慌てふためき、


「チ、チェコ!

ここでそんなこと言わないでよ!」


確かにシティボーイに戻ったタッカーは、髪もストレートにして、顔にもチェコがソリストをするときより、むしろ派手に化粧をしていた。


「俺に言えば、格安で化粧品ぐらい作るのに」


と、すっかり商売人の顔で語った。


「バ、バかだな。

友達には秘密にしたいこともあるんだよ!」


すっかりウロたえたタッカーに、


「ウサギの巣穴、ウサギニ体、そして声マネキ」


とっととチェコは足場を固めた。


「あ、チェコ、卑怯だぞ。

そんなことしない子だったのに!」


怒るタッカーだが。

チェコは遠くを見て、


「俺もコクライノに来て、汚れたんだよ…」


うそぶいた。


ハァ、とタッカーはため息をつき、


「それで以上かい?」


だがチェコにはエズラからもらった指輪があった。


「もう一匹、ウサギを召喚して…」


ウサギ三匹でパワー三、ゴーレムが三、声マネキが四。

チェコは、もし戦えばタッカーを倒しうる攻撃力を備えた。


「召喚、ゲルニカ!」


タッカーは、声も出さずに驚愕した。


それは、チェコが欲しくて仕方なかった天使だ。


パワーは二十であり、飛行を持ち、全ての色に対するプロテクトを備えていた。


「で、ゲルニカでアタック」


空中に浮かぶゲルニカは、確かに白い天使の羽根を持ってはいたが、目つきや薄く笑った氷のようなほほえみは、まるで黒の天使でもあるようだ。


タッカーは、まんまと一ターンキルを許した。


「うおぅ、こいつ二度も一ターンキルを決めやがったぞ!」


バトルシップは異様な興奮に包まれた。

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