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スペルランカー2  作者: 六青ゆーせー
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新しいカード

スペルバトルはそもそも一対一の決闘であり、剣とスペルは、それぞれ武人のたしなみだった。


だからライフを百にして逃げ回る、というような戦いは本来の意味から言って、怯懦と判定される率は剣の戦いで、交わして避け回るより、多かった。


それは交わし続けるテクニックの評価や、勇気に対する賛辞と、スペルのそれの違いと思えた。


剣で交わし続けるには、たゆまぬ努力と類いまれなる反射神経や胆力が求められるが、スペルはカードを使うだけ、というようなことだ。


ルーンは二つ頭を防御に使い、黄金虫のアタックを交わした。


そして、


「礫の雨!」


一ダメージの礫を全ての召喚獣とプレイヤーにぶつけるスペルだ。


チェコは、一瞬、何を目的にしているのか判らなかったが、周囲には大量の石が残った。


「え、まさか…?」


青ざめるチェコに、モブになったルーンが、ヒヒヒと笑いながら、


「その通り!」


無数のゴーレムの元が、簡単に足元に転がっていた。


「岩のゴーレム!」


ルーンの叫びに呼応して、チェコは、


「スペル無効化!」


一応、一発のスペル無効化でルーンの攻撃はしのげたようたが、問題は足元にゴーレムの元が大量に残っていることだった。


「ねー、エクメル。

この場合、石の所有権は誰になるの?」


ふと、チェコは聞いた。


「敵のコントロールしていない自陣のアイテムは、その陣地の所有者が所有するのである」


つまり、この石ころは、それ自体は無価値なアイテムだったが、チェコのもの、あるいはチェコがコントロール出来るもの、らしい。


「じゃあ、俺のターン、声マネキ!」


四/八、五アースの防御的な召喚獣だ。

ただし、失われた地平線を付加している。


「続いてウサギの巣穴」


ウサギはいないが、先に巣穴が場に出た。


「そしてエルミターレの岩石!」


それで十アースは使ったのだが、


「さて、石をタップして、エルミターレの岩石によりタップ分のアース発生。

金神召喚!」


ルーンは飛び上がった。


「お前、そんなのデッキに入れているのかよ!」


金神は、プレイヤーに五ダメージを与える変わりに、注ぎ込んだアース分の分のダメージを与えるカードだった。


「全ての石ころをタップして…」


ルーンは即死した。





「くそぅ、デッキを練り直さねーとチェコには勝てないな!」


とルーンはカードと睨み合った。


チェコは他の子供のデュエルを見物するが、ほとんど岩のゴーレムかゴブリンデッキだった。


一ターンのダメージを三までに押さえられた弓ゴブリンは、破壊力は低くなったが、しかし安定的に三ダメを打てるのは大きい。


単純に岩のゴーレム対策にもなるし、岩のゴーレムやゴーレム化を敵が使いきれば、プレイヤーへのダメージソースになるわけだ。


また、普通のゴブリンも、赤アースが出るため、破壊力の高い赤スペルが使いやすくなるし、こちらには枚数規制がかかっていないため、五枚出せれば五アースの赤が手に入る。


赤のカードは、赤アースでしか起動しないスペルが多いため、多分に専門的な色だったが、最初にゴブリンを出すための一アースを含めて、六アース出せれば、かなり破壊力の高い攻撃カードが繰り出せた。


するとフィニッシュに赤のダメージカードを使えるならば、召喚獣では防げないため、戦いの様相が変わる。


例えば大火球五ダメがカードボックスに入っていれば、リスで枚ターン一ダメづつ撃ち込んでも、五ターン目には仕留められる訳だ。


召喚獣を並べて睨み合うより、これは効率が良かった。


また、新しいカードでは風車というアイテムが出た。

枚ターン、青アース一を自動で出すアイテムなのだが、忘れられた地平線を張れば、ダメージを流す先になるので重宝した。


アイテム召喚獣は、ダメージスペルでもアイテム破壊スペルでも壊されてしまうため不利だったが、カスバの僕のように、アイテムにも召喚獣にも変化出来るものは使いやすい。


が戦闘すれば普通にダメージを受けるため、非戦闘アイテムにも価値が生まれていた。


金髪騒ぎのあと、ピットはバトルシップから姿を消していた。


もし手を引いてしまったのなら、チェコたちは頼れる戦闘力の高い仲間を失った事になるが、チェコが彼らを雇ったわけではないので仕方がなかった。


元々、ハイロン準爵とチェコや貧民窟の皆の戦いなのだ。


金髪の容態は気になるが、仮に金髪がいないとしても、あの黒鎧の男と斧の老人でも、充分に厄介な強敵だった。


しかもハイロンを下手に倒すと、クメルというドルキバラの精強なギャングが動く結果になるという。


だからチェコとしても、あまり乱暴にハイロンを刺激するわけにはいかなかった。


それに…。


大会は、もうすぐなのだ。

今は、可能な限り、デュエルに集中したかった。

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