スペルバトル
チェコの場には、ハンザキが二匹としゃれこうべ、闇と森の修験者、スズメバチが並んでいる。
パトスはドレイクといさな、二匹の召喚獣と忘れられた地平線、が出ていた。
「…もう、終わりか…?」
パトスは相当楽しいらしく、ベッドの上で振った尾がバチバチ音を立てていた。
りぃんは、自分のデッキを理解しようと読み込んでいる。
「いや…」
チェコは、言い。
「黄金蝶!」
どさくさに紛れて三度目の挑戦をした。
「スペル無効化…」
パトスは、またしても黄金蝶を落とした。
「終了…!」
チェコはうつむく。
ふふん、とパトスは勝ち誇り、
「…俺のターン、モリ打ち魚…」
二/二の召喚獣だが、水から飛んで襲いかかる飛行を持った魚だ。
射程が長いため、このターンでも攻撃ができる。
「…攻撃…!」
パトスがモリ打ち魚を前に出した。
チェコは、
「俺がダメージを受ける」
チェコのライフが八になった。
パトスは、
「忘れられた地平線…」
と、二枚目の忘れられた地平線を出してきた。
チェコは、
「一枚も二枚も一緒だよ」
と呆れるが、パトスは涼しい顔だ。
「じゃ、もういいの?」
パトスは頷くので、
「慟哭の巨人!」
八/五だが不死という、とんでもない召喚獣だ。
がパトスは忘れられた地平線があるので、尾を振り続けたままだ。
「じゃあ、ハンザキとハンザキ二号で攻撃!」
「…対象を忘れられた地平線に変える…」
「どっちに変えるの?」
チェコが聞くので、パトスはおうように。
「…両方だ!」
「そこで、緑の制約。
対象のエンチャントはエンチャントであると共に、二/二の召喚獣である」
パトスが飛び上がった!
「…対象、変える…」
「二度目は変えられませーん!」
ああ、と驚くパトスの前で、召喚獣になった忘れられた地平線が砕けた。
「…しまった…。
スペル無効化がまだあった…」
本当に驚くと、カードを使い忘れたりする事を、パトスは知った。
「、、パトス、まだ負けてないわ、、」
パトスは毛を逆立てながら、
「…そうだ。
まだカードはある…」
と唸った。
事実、パトスはまだ無傷だった。
「…ターン終わりか…?」
「うん、終わったよ」
今度はチェコがニタニタ笑った。
「…忘れられた地平線…!」
パトスは、四枚の忘れられた地平線をデッキに入れていた。
「スペル無効化!」
チェコはすかさず妨害するが、
「スペル無効化…!」
パトスも負けない。
が、チェコはニタリと笑い、
「闇の消去!」
パトスのスペル無効化の数は数えていた。
もう五枚使いきっているのだ!
「…打ち消し…!」
「なに!」
今度はチェコが驚いた。
打ち消し、はスペル無効化より一アース余分にかかる、同じ効果のスペルだった。
そういうものは六枚目のスペル無効化として、色々売っている。
「そんなの、いつ買ったんだよ!」
チェコが怒るが、パトスは平然と、
「…俺も百万リンもらってる…。
今日、春風亭で買った…」
と勝ち誇った。
場に、新しい忘れられた地平線が現れた。
「くそぅ…!」
チェコは、枕を噛んで悔しがる。
ケケケ、とパトスは笑う。
「召喚、獣の臭い。
獣の臭いは防御できない」
防御不可の召喚獣は青に多い。
チェコは、バタリ、とベッドの上で崩れた。
ケケケ、と笑いながらパトスは、
「以上…」
と言う。
チェコはむくり、と起き上がり、
「針の矢!
獣の臭い!」
緑の攻撃スペルで、赤ほどの威力はなく、二のダメージを相手に飛ばす。
パトスは悩んだ。
忘れられた地平線は、まさにこういうダメージを反らすカードだが、エンチャントにそらすのには、また緑の制約、をかけられる恐れがあった。
打ち消し、もあと四枚、考えて使わなければならない。
だがいさなは六/二で殺されてしまうため、自分のダメージか、ドレイクに受けるしかない。
ドレイクは三/三なので受けられるが、二ダメージはかなり問題があった。
「…ドレイクで受ける…」
パトスの言葉と共にチェコは、
「そこで、全ての対戦相手の召喚獣に二のダメージ、呪いの印!」
パトスの尾が跳ね上がる、が。
「で、緑の制約!」
「…打ち消し…」
チェコは、忘れられた地平線を壊し損ない、また転がった。
「…終わりか…?」
「うん!」
チェコは寝転んだまま、返答する。
パトスは、呪いの印のため、全ての召喚獣を失っていた。
「…浮遊する壁…」
とりあえず壁を出すが、浮遊する壁は一/六の壁だった。
慟哭の巨人やハンザキに対抗できない。
とはいえ、忘れられた地平線があるので、まだ終わった訳ではなかった。
「以上…」
守りにアースを残さないと、チェコに攻められてしまう。
予想以上に、チェコも色々考えて来ているようだ。