いたずら少年といたずら少女
ある小さな村にいたずら好きの少年が住んでいました。
少年は、親がおらず1人で寂しく生活をしています。その寂しさを紛らわせるために、村人を驚かせたり、困らせたりしていました。
ある街にいたずら好きの少女が住んでいました。
少女は、貴族の生まれで、とても裕福な生活をしてきましたが、親に言われるがままの生活に嫌気がさし、街のいたずら集団「ズーラ」のボスとして生活をしていました。
少年が住む村の村人は、少年のいたずらを困りながらも楽しく思っていました。
それは少年が寂しい気持ちから、かまってもらうためにしていることだとわかっていたからです。
少年のいたずらは、村人が育てる野菜を勝手に食べたり、井戸の中にカエルを入れたり、村の家々に絵を描いて回るといった可愛いものでした。
しかし、ある日。
村にたまたま建築の仕事で滞在していた街の住人「ドーロ」の持物を壊してしまい、弁償するために街に行くことになりました。
村人は少年に代わり謝りましたが、ドーロは少年に謝罪をされなければ許せないと少年を街まで連れて行ってしまいました。
街では少女がボスを務めるズーラのいたずらが激しさを増し、住人たちは大変困っていました。
ズーラは街のお店で暴れまわったり、住人たちの家の窓を割って回ったりと、止められる人がいなくなっていました。
そこへ少年を連れて帰ってきたドーロ。自分の家の窓ガラスが割られており、ズーラの仕業だと大変怒りました。そこで少年に弁償はいいからズーラをいたずらで懲らしめてやれ。そしたら村に帰ることを許す。と言いました。
少年は働くことよりそっちの方が楽だと思い早速ズーラを探しに街に出ました。
少年は大きないたずらをしたらズーラが話しかけてくると考えました。
そこで何か大きないたずらをしようと考えました。
街には大きい家が建ち並んでおり、その中でひときわ大きな家を見つけました。
この家の屋根に気球をつけて空を飛びそうな屋敷にしよう。
少年は徹夜で作業をしました。
朝になると家の屋根には見事な気球がついており、そのニュースは一気に広がりいろんな人の耳に入りました。
それから毎日少年はどこかの家の屋根に気球をつけて色とりどりの街並みにしていきました。
そのニュースを見ていた少女はこんな変なことをやっている奴はどんな奴なのか見てみたいと仲間たちに探させました。
その日も変わらず気球作りをしていた少年ですが、急に袋をかぶせて誘拐されてしまいました。
少年は驚いていると、ズーラの秘密基地に連れてこられていることに気づきました。
袋を取られた少年に少女が話をかけました。なぜあんなことをしているのか。
少年は少女に会いたかったからだと言いました。
少年の知り合いがズーラに家の窓を割られて困っている。
謝られないと許せないので、探していた。
少女はそのために気球を何十個も作るなんて正気じゃないと思いましたが、その少年のことは気に入り、ズーラに入ることを勧めました。
少年はズーラに入れば多くの友達が出来ると思い仲間になることにしました。しかし、少女にはしっかりと謝るように伝え、少女は軽くわかった。と言いました。
それからもズーラは変わらずみんなが困るいたずらをしていましたが、少年は夜に気球を作るのをやめませんでした。
なぜ気球を作るのかとみんなが不思議に思いましたが、少年はその理由を話しません。
そんなある時少女の家の使用人がズーラをたづねてきました。
少女を連れ帰りたい。両親が心配していると言いました。しかし、少女は帰らないと答えました。
すると使用人は帰らなければ大変なことになると言い残し去っていきました。
その夜。ズーラの秘密基地に火事がありみんなが怪我をしました。
少女は自分の両親がやったことだと気づき、仕返しにいこうとします。しかし、少年が止めました。
このまま仕返しをしてもまたやり返されてしまう。みんなもっと怪我をしてしまう。
どうしたら良いのかわからない少女に少年はこう言いました。
「みんなとゆっくり寝て、明日の朝を楽しみにしてて。」
すると夜中の街に少年は飛び出していきました。少女は少年のことが気になりながらも朝を待つことにしました。
すると朝に街で大騒ぎが起きており目が覚めました。
街に出てみるとなんと大きな家々がどこにもなくなっています。
家があった場所は砂だけになっており、今まで威張っていた貴族の家がキレイになくなっています。
そこに少年が来ました。これはどういうことか。少女は訪ねました。
少年はこの街に来てから感じていたことを伝えました。
この街は大きい家と小さい家とがあり、大きい家の人たちが小さい家の人たちに嫌がらせをして、困らせていた。でも、小さい家の人たちは何も言わず我慢していた。
だから、大きい家をどこかに飛ばしてしまおうと思った。
そう。気球を作っていたのは大きい家をまとめてどこかに飛ばしてしまいたかったのです。
飛ばされた大きい家の人たちは寝ている間に風に乗って、さらに大きい国へ飛んでいきました。