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月と強がりと寂しさとラーメン。

眠れない夜に窓の外を見る。憂鬱で不安な気持ちが晴れる分けじゃないけど、ただ月明かりだけが浮かんでいた。


今は1人で誰を待つわけでもなく、ぼんやりと月を見上げていた。しばらくして月を見るのも飽きたから、ベッドの上でまるくなってみる。


「さすがに今回は長すぎるな」


私は1人虚しく呟く。


あいつがいなくなってもう一週間になる。何でも親戚の集まりで実家に帰っているだけらしいけど、あいつは人あたりがいいからきっと周りにちやほやされて、宴会やら、とかに長く付き合わされているんだろうな。


しかもあいつはお酒も飲めないのに、よく行くなと思う。酔っぱらいの相手は面倒くさいのに、私ならまず行かない。全くあいつはしょうがないな。


私てきにはまあ、それがあいつのいいところだとは思うけれど正直気にいらない。私をこんなにも放っておいて、こんなに寂しい気持ちなのに、そう思うと無性にハラが立ってくる。


予定では2、3日で帰ってくるて言ってたのに全くあいつは


私はしょうがなく、起き上がってベッドの近くにおいてある水を取ってそれを少し飲む。


「ん、ちょっとぬるいな」


それもそうか、昨日からずっと置いあるし、うん。あいつが帰ってきたら、もっとぬるい水を出してやろう。別にやつあたりじゃないぞ?そうしよう。


そうだ。電話して見ようかな?それならあいつの声が聞けるし、寂しくないかも?と考えて、ベッドの上に適当に置いてあるスマホに手を伸ばしかけて、ふっと我に変える。


いや、別に寂しくないし、あいつに寂しいと勘づかれるのもなんか釈だしな。やめておこう。そして私はしばらく考えてみる。


うん。そうだな。とりあえずあいつが帰ってきたら殴ろう。それしかない。いや、別にあいつが憎いとかじゃないから、ただなんとなく、それしか浮かばなかっただけだからな?


けど本気で殴るわけじゃないぞ?軽くな。軽く一応あいつがかわいそうだからな?などと考えていると、外からインターホンの音がした。


私は誰だろうと思いながら、ベッドから、降りて、ドアに近づいて開けて見る。するとあいつが申し訳なさそうに立っていた。


「こんばんは。ごめん。遅くなったね?はい。これお土産」


とあいつが小さな袋を渡してきた。私はそれをパッと受けとり中を急いで確認する。どうやら中身は私の好きなチョコレート見たいだ。ちょっと高そうな感じはする。


私は嬉しいと勘づかれないように言う。


「別に、土産なんかいいのに、しょうがないから、もらっておくよ。ありがとな」


「気にいってもらえたなら、良かったよ。それなんか人気のやつだったから、かなり並んで買ったんだ。」


私は呆れながら、言う。


「別に気にいってないし、嬉しくもないからな?私はそんなにちょろい女じゃないぞ?舐めんなよ?」


あいつは少し苦笑しながら言う。


「分かってるよ。本当はもっと向こうにいる予定だったけど君が1人で寂しくないかなと思って、急いで帰って来たんだ」


私はちょっと嬉しくて恥ずかしいけどぶっきらぼうに言う。


「全然寂しくなかったし、むしろ1人で生活を満喫してましたよ。残念だったな。ふん」


あいつはちょっと困った顔して言う。


「なら、いいんだけど、君は1人だとカップラーメンばかり食べるから、心配なんだよ?体にそればかりは悪いからね」


私は少しイラッとしつつ答える。


「別にいいだろ?安いし、簡単につくれるし無駄がなくて、完璧だろ?しかも味の種類が多くて美味しいんだそ?」


あいつは少し引きぎみに言う。


「うん。君がかなりカップラーメンが好きな事は分かった。しょうがないな。今日は僕が料理を作るよ。何がいい?」


私は食いぎみに答える。


「なら、ラーメンだな。薄塩味でチャーシューが一杯乗ってて、メンマとナルトも一杯であと野菜も多めで、麺はバリかたのやつな」


私は目を輝せながら言った。


「分かったよ。本当にラーメンが好きなんだね。しょうがないな」


あいつは少し呆れながら言った。


本当はあいつが作るラーメンが好きなだけなんだけどそれは言わない。だって恥ずかしいじゃないか。あいつが作ったラーメンが美味しかったから、ラーメンが好きになったなんて口がさけても言わない。


「まあ、なんだ、それより早く上がれよ?一応飲み物ぐらいは出してやるよ?しょうがなくだからな?」


私はぶっきらぼうに言う。


本当はぬるい水でも出してやろうかと思ったけど止めた。あと殴るのもやめておいてやろう。


別に気がかわった訳じゃなくて、あいつが可哀想だからな。うん。仕方ないな。と私は思いながら、あいつと一緒に部屋に戻る。


私はまたベッドに腰かけて窓の外を見る。


月は変わらず私を見ている気がした。


本当は寂しくて、イライラしていた私を月だけが見ていたと思うと少し恥ずかしくなる。まあ、あいつには絶対寂しい姿なんか見せてやらないからなと思いながら、あいつに再び話しかける。


「なあ、早くラーメン作ってくれよ」


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