23話
すみません、諸事情で短いです(;^ω^)
予期せぬ再会を得た後、予想外に時間がかかってしまったため、戻らなければならない時間が迫ってきてしまった。アルヴィスとエリナは、教会の前でマルス神父とツェリーエと別れの挨拶を交わす。
「申し訳ありません、時間をとらせてしまいまして」
「いいえ、こちらこそありがとうございました」
アルヴィスだけでなく、エリナも知己との邂逅を得ることが出来た。予定とは違うものの、良い時間を過ごすことが出来たと言えよう。
「王都にお戻りになられるのは、もうそろそろですか?」
「はい。明後日には、王都に帰還する予定です」
ベルフィアス公爵領の視察とは名ばかりで、帰省とただ懐かしき者たちとたくさんの時間を過ごしただけのような気がする。だがこの先、おそらくこれほど長い間ベルフィアス公爵領へ留まることはそうない。アルヴィスが王太子としてここを訪れるのも、これが最後になるだろう。それがわかっているからこそ、そういった時間を取らせてくれたのかもしれない。あくまでアルヴィスがそう感じ取っただけではあるが。
「アルヴィス様、どうかこの先もこの離れた地から見守らせていただきます」
「マルス神父」
「この地で過ごしたこと、出来事の全てが良い思い出ばかりではないと思います」
「はい。それでも、その全てがあったからこそ、今の俺がいる。そのことも十二分に理解しているつもりです」
はっきりとそう告げれば、マルス神父は驚いた表情になった。アルヴィスが微笑みを向ける。大丈夫だと。ここで起きたこと、シュリータと出会ったことも、その後アルヴィスが起こしたことも、こうして今ここに在ることに繋がっている。随分と遠回りをしたけれども、理解できるようになったと。
「アルヴィス様」
「昔の俺を知っている人たちには、言っておかなければと思っていました。報告が遅くなってしまい、申し訳ありません」
アルヴィスは深々と頭を下げる。本当はもっと昔に、ここを去ると決めた時にしなければならなかったことだ。随分と遅くなってしまった。そう伝えると、マルス神父は首を横に振った。
「それは私ではなく、他の皆さま、そして外ならぬアルヴィス様ご自身が頑張った結果です。私どもはただそれを見守っていただけにすぎません」
「マルス神父」
レオナと同じようなことを言う、とアルヴィスは思った。これ以上言葉を重ねてもマルス神父は必要ないと言うだろう。ならばこの先、アルヴィスが感謝を伝えたいと思うのならば、別の方法で示すべきだ。そう、王太子としてこの国を導く立場の者としてできることを。
「ありがとうございます」
「お二人のご健勝をお祈りいたします」
「マルス神父、ツェリーエ殿も、お元気で」
最後にもう一度握手を交わして、アルヴィスとエリナは教会を後にした。
その後、待たせていた馬車のところまで戻ると、エリナと共にベルフィアス公爵家へと戻ることになった。




