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【Web版】従弟の尻拭いをさせられる羽目になった  作者: 紫音
第二部

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閑話 妃の出立準備

エリナとフィラリータのお話になります。次回で出立します!ベルフィアス公爵領編です!!

マラーナ王国編があれだったので、こちらはエリナとの絡みや家族との関わりをメインにアルヴィスを愛でていこうと思っています(*´ω`)


そしてそして、Xでも報告をしましたが、3月にルベリア王国物語7巻が発売されます‼

いつもご覧いただいて本当にありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ


引き続き、アルヴィスとエリナの物語を楽しんでいただければ嬉しいです!!



「妃殿下、今回の視察に同行するにあたってですが――」


 王太子宮内にあるエリナの執務室。そこでエリナはソファーに座りながら己の専属護衛でもあるフィラリータより、視察に行くにあたっての説明を受けていた。

 アルヴィスの方ですべての調整は終わったらしく、あとは予定通り王都を出立するだけだ。それにあたっての注意事項をエリナは聞かされていた。そもそも王都を出ること自体、エリナは幼少期に母の実家であるリュングベルに数回くらいだった。王太子の婚約者だったのだから、次期王太子妃として王太子の視察に同行する程度はあってもよかったのだけれど、そもそも当時王太子だったジラルドが視察に向かったことがないのだから、エリナが同行する以前の問題だ。

 アルヴィスが王太子となりエリナと婚姻を結んでから、精力的に各地を回っているのもこの影響が大きいのかもしれない。多くの貴族はともかくとして、各領民たちからしてみれば王太子と言われればアルヴィスの顔が浮かぶはずだ。ジラルドの面影などないに違いない。


「妃殿下、聞いておられますか?」

「えぇ。大丈夫よ、フィラリータ」

「今回は特に慎重に行動をお願いします。前回のリュングベルとは違って、殿下のご実家とはいっても私たちにとっては知らぬ土地ですから」

「そうね」

「ましてや妃殿下は身重であらせられます。私たちが言わずとも、殿下から色々と言われているとは思いますが……」


 呆れたように言うフィラリータからは、相変わらずアルヴィスに対して敬意が見られない。これも一種の親しさの現れだと思うが、そのことを口にすればフィラリータは険しい表情をして即座に否定するのが目に見えている。アルヴィスとフィラリータの関係性を少しだけ羨ましくも思うけれど、二人の間にあるのはお互いに騎士として、元同級生としての関係しかないことは理解していた。何よりアルヴィスはエリナを大事にしてくれているのを実感しているのだ。羨ましい気持ちはあっても不安にはならない。


「妃殿下、何か気にかかることでもございましたか?」

「そういうわけではないの。ただ、本当にフィラリータはアルヴィス様に対しては厳しいのだと実感していたところよ」

「厳しいということは、ないと思いますが……すみません、どうしてもあの方については気持ちの切り替えといいますか、今では理由があったと理解していても気持ちが追い付かないというところで」

「フィラリータは男性が嫌いだったと聞いたのだけれど、それも理由はアルヴィス様だったの?」


 フィラリータは元々騎士団所属。騎士になる女性は男性に比べて少ないのは皆が知っているところ。ゆえに騎士になるということは、男性集団の中に入るということになる。嫌ってなどいられないほど男性が常に近くにいる場所だ。


「妃殿下、私は男が嫌いというわけではありません。私より弱い男が嫌いなのです。いえ、強かったとしてもあまり関わりたくはありませんが」


 それを男性嫌いというのではないだろうか。アルヴィスがいうには騎士団長からの推薦書にも記載されていた事項らしいので、騎士団内ではそれが周知の事実だったはずだ。そんな風に考えていると、フィラリータが深いため息を吐く。


「いえ、妃殿下の言う通りかもしれません。学園でのこともあって、男という存在は女を見下す傲慢な人間ばかりという印象が強いのは事実ですし、騎士として仕えるようになってからはそうではない男もいると頭ではわかっているのですが」

「けれど、学園では確かにそういう人もいたのね。私も友人は女性ばかりだったし、思えば男性と話すことなんて幹部会以外ではなかったわ」


 数少ない男性と話す機会も、幹部学生に選ばれる優秀な人だった。ジラルドたちは例外としてだが。

 学園は本当に小さな箱庭だった。だからこそ、己のやるべきことを見極めて行動しなければならなかった。リリアンがジラルドへすり寄った件とて一時のこと。それを理解するほどのものがジラルドにあれば、たったそれだけでもよかったのに。


「……私が今更こんなことを申してもとは思いますが、殿下はそういった類の馬鹿な連中とは違いました。それだけは事実ですし、もし妃殿下と同じ時期に学園に、ということでもあれば幹部会はとても楽だったとは思います」

「そうなの?」

「私たちの代は、ほぼ殿下が回していたようなものでした。それこそ長期休暇でも学園にいましたから、他の幹部学生の分もご自身でやられていたのではないかと」

「そういえば、アルヴィス様は学園に入ってからも、ほとんど帰郷はされなかったって仰っていたわ」


 帰りたくなかったから、その理由を作るために学園で作業をしていたのかもしれない。オクヴィアスらが聞けば悲しむだろうけれど、それだけ当時のアルヴィスは実家を避けていたのだ。


「今回の視察、もしかすると一番楽しみにしているのはベルフィアス公爵領の皆様かもしれないわね」

「妃殿下?」

「長らく帰っていなかった領主家の子息が帰ってくるのだもの。きっと皆様に可愛がられていたはずだもの。その姿を見られることはとても嬉しいことでしょう?」

「……そうかもしれませんね。可愛いがられて、という点には同意しかねますが」


 苦々しい顔をしつつ、フィラリータも同意してくれる。アルヴィスが学園を卒業してから数年。入学した頃より背は伸びているだろうし、顔つきも違っているだろう。そんなアルヴィスの姿を領民の人たちに見せることができる。考えているだけで楽しくなってきた。間違いなくアルヴィスは困った顔をする。その様子が目に浮かんでエリナからは楽しそうな笑い声が漏れ出る。


「妃殿下が楽しみにされているようで何よりです」

「えぇ、本当に楽しみだわ」


 


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